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アストラーデ一家参戦?




 魔具を設置したルートで聖堂院を目指している。


 出発したのが15時前だったので、日没までに到着する事はできるが、帰りは確実に真っ暗になるだろう。

 夜間装備は、十分に準備してあるので、きっと問題は無いハズだ。



 ルート擬装のために、聖堂院の手前で森の中を横断し、街道に出てから聖堂院へ向かった。

 馬車やソリを牽いていないので出来た事だが、南でするより、遥かに短い距離だったので、時間のロスは少ない。


 それでも、聖堂院には予定より早い時間で聖堂院に到着する事ができた。




 皆には、砦の見える位置で待機してもらい、俺とオシホ様で砦へ向かう。

 前回の事もあるので、俺とオシホ様だけで出向き、用件を伝えたら即時撤退をする予定だ。



 俺とオシホ様は、正面から堂々と砦へ向かっているので、砦側には気付かれている。

 俺達は、門まで30mほどの距離で止まり、声をかける。


「俺は広坪 土倉!緊急の用件があり、聖騎士団団長殿に面会を求める!」


「面会する事はできない!立ち去れ!」


 なに?緊急の用件だと言っているのに、拒否して来るとは思わなかった。

 思っていたより、関係が悪化していたか……。

 しかし、伝える必要はある。もう一度だけ呼び掛けよう。


「我々は、緊急の!用件できている!聖騎士団団長殿との面会を求める!砦に入れたくないのならば、お前達が居る場所まで聖騎士団団長殿を連れてくるだけでも良い!」


「そんな必要は無い!どうしてもと言うなら、連れ去った五人をこちらに引き渡し、詫びとして魔法道具100、回復ポーションを1,000持って出直して来るんだな!」




 このアホどもは何を言っているんだ?




 俺は思わずオシホ様を見る。

 オシホ様も、俺の方を向いていた。


 俺はゴーレムのスピーカーの音量を絞り、アホどもに聞こえない様にしてから、オシホ様に話しかける。


「あれは、どんな意味で言っているのでしょうか?」


 意味の分からない事を言われたが、俺には分からない意図が隠れている可能性があるので、オシホ様に聞いてみた。


「いや、そのままの意味で、奴等は単なる馬鹿なんじゃろう」


「そのままの意味ですか……。まぁ、伝えに来ただけですし、伝えてさっさと帰りましょう。あ、少しうるさくなるので、離れた方が良いかも知れません」


「了解したのじゃ」


 オシホ様が後方に下がったのを確認してから、音量を最大にして、一方的に話す。


「俺は広坪 土倉!一方的に通告する!現在、オークの集団がここを目指して移動している!到着予想は、三日後の昼だ!数は一万五千!一万は南から!五千は西の森から接近中!繰り返す――」


 伝える内容をゆっくり喋り、この内容を三度繰り返してから撤退したのだが、二度目の終わりに頃から、弓矢で攻撃を受けた。

 オシホ様達が反撃に動きそうになったが、全くダメージを受けなかったので、手で制して動かない様に要請した。

 オシホ様達も、ゴーレムがダメージを受けていないのを確認してから、下がってくれた。



 やることはやった。

 結果だけ見れば、面会するよりは面倒事が少なかったかも知れないし、時間短縮にもなった。

 今なら、まだ夕食に間に合うかもしれないので、急いで帰る事にする。



 後ろで何か叫んでる気もしたが、脇目も振らず帰路を急いだ。




 急ぎはしたが、夕食の時間には間に合わず、少し遅れて帰宅したが、皆夕食をとらずに待っていてくれた。


 ルティ達は、アリストラさんからオークの件を聞いて、聖堂院の対応も気になり、待ってた。

 食べずに待たなくても……。とも思ったが、遅くても一時間程度の遅れになるだろう、という予想があったので、食べずに待ったそうだ。


 テーブルの上にあったオセロ三セットは気になりはしたが、何もせずに待つ必要は無いので、気にすること無く、皆で夕食を食べた。




 夕食を食べた後、食器類を片付けてから、食堂で報告する事になったのだが、なんと報告するか迷った。


 知らせには行ったが、面会は拒否され、一方的ではあったが、通告もした。

 だが、矢を射掛けられ、伝わったかも確認せずに帰還してしまっている。


 確認せずに帰還した事に後悔は無いし、気にもしないが、ルティ達になんと思われるか、不安になったのだ。

 せっかく四時間以上もかけて往復したんだし、しっかり知らせてこいよ!というのもあるので、言い辛い。


 まぁ、オシホ様も全部知っているので、正直に話すしか無かった……。


 そして、正直に、できるだけ客観的に、話しをした。


「――というわけで、帰還しました。ですが、聖堂院にも、切り札があり、安全が確保されている可能性もあります。それに、対応した人達は、情報を十分に渡されずに、印象操作された者達かも知れないので、皆が皆悪いというわけでは無いと思います」


 話を聞いていたルティの表情が怒りから無表情になったので、最後にフォローにもならないフォローをしたが、あまり効果は無さそうだ。


「コウ様、聖堂院を襲撃しましょう。そして、囚われている人達を助けましょう」


 淡々とした声でルティが言ってきた。


「いやいやいやいや」


 驚いて、いやを四回も言ってしまった。


「流石に不味いと思いますよ?敵対したい訳ではありませんし、何とか穏便に、ね?」


「コウ様、このままでは聖堂院の皆さんが危険です。何とかしたいのです」


「ほら、聖堂院に切り札があって、安全は確保されている可能性があると話しましたよね?それに、オークには俺達も対応するので、それほど心配する必要は無いと思いますよ?」


「そうでは無いのです。聖堂院に保護されている人達が、聖堂院を守護している者達によって、危険に曝されているかも知れないと、言っているのです」


「いや、女性同士ですし、そこまで酷い事にはなっていないと思いますよ?」


 バンッと両手をテーブルについて、ルティが立ち上がる。


「コウ様、その認識は甘いです。女性同士だからこそ酷くなる場合もあるのです!コウ様の話を聞く限りですが、聖堂院内は、私達が居た頃より状況が悪化しているかも知れません」


「女性同士の方が酷くなる場合があるのは、分かりました。ですが、状況の悪化は、何を指すんですか?」



 ルティ達の話では、雰囲気の悪化で、多少肩身の狭い思いをしたと言っていたが、危険に曝される、なんて言う事にはならないハズだ。

 ルティが何を危惧しているのか分からない。



「問題なのは、副団長です。今年……ではなく、去年ですね。去年本国から着任した副団長で、差別意識が強いのです。端的に言って、人間至上主義なのです」


「あー、なるほど、そういった人でもあったのか」


「はい。さらに、本国もその様な状態が大勢を占めるらしく、比較的新しく着任した者達の半数がその様な状態だそうです。ですが、聖堂院では少数派なので、団長のカティリアさんが上手く抑えていたそうです。ですが、その……。最初の決裂の時に勢力を伸ばし、聖堂院放棄の話が出た時点で、抑えが利かなくなったみたいです」


「それは……」


「すまぬ。ワシ等が怒りを押さえられなったせいじゃな……」


 オシホ様と精霊トリオが立ち上がり、頭を下げる。


「オシホ様、待ってください。あの時、オシホ様達が怒らなければ、俺が怒っていましたから、どちらにしろ、今と大差は無いような状況になっていました。ですから、オシホ様達が頭を下げる必要はありません」


「そうです。オシホ様達がお怒りになったのは当然の事です!頭を下げる必要はありません。それに、あの人達相手なら、別の事で同じ様な事態になったと思います」


「そうです。ですから、頭を上げて座って下さい」


「皆の心遣いに感謝するのじゃ」



 俺とルティの言葉でオシホ様が頭を上げて、席に座ってくれた。

 精霊トリオも、オシホ様を見て、席に座った。

 立ったままだったルティも、それを見て座た。



「それでは、ルティ、続きをお願いします」


「はい。放棄の話が出た事で、抑えが利かなくなったと言いましたが、放棄となれば本国に行くことになります。そうなると、本国に強い副団長の勢力が急激に増大して、最大勢力になっていてもおかしくありません。そうなると、聖堂院に保護されている人種以外のエルフ、ドワーフ、獣人の亜人種の皆さんがどうなっているか分かりません」


 エルフ!ドワーフ!獣人!

 今騒ぐのは不謹慎だ。大人しくしよう。

 だが、聖堂院で見た覚えが無い。


「ルティの危惧は分かりました。人間至上主義が大勢になり、亜人種の皆さんが心配なのですね。てすが、俺は聖堂院で人種以外見た覚えがありません」


「そうなのですか?聖堂院全体では四割程が人種以外でした。ですが、聖騎士団では、10名ほか居ませんでしたし、会えなくても仕方がないと思います」


「全体の四割が亜人種とは驚きですが、聖騎士団には10ですか、少ないと見るべきか、多いと見るべきが……」


「かなり多いと思っていただいて良いみたいです。カティリアさんが連れてきた直属の部下、50名の中に居た10名で、とても優秀らしいです。本国の聖騎士団に亜人種は居たそうでが、今はどうなっているかは不明だそうです」



 ……。



「聖騎士団以外で、亜人種の人達はどのぐらい居ましたか?具体的な人数が分かるとありがたいのですが……」


「確か、民間人の四割か人種で、獣人、ドワーフ、エルフが二割ずつだったと思いますが、細かい数字は覚えてません。マリー、貴女なら覚えてるんじゃない?」


 ルティが、マリーディアさんに話を振る。


「覚えてる。確か民間人は412名で、私達が抜けたので407名になっているハズです。そして、人種が159名、獣人が85名、ドワーフが87名、エルフが76名だったハズです」



 ……。



「エルフが一番少ないんですね」


「人数的にはそうですが、人口の比率を考えると、エルフが非常に多いと言える数です。エルフは基本的に、隠れ里のある森から出ませんし、数も少ないので、それが76名も居るというのは、正直異常な数です」


 ルティが、エルフの数が異常だと教えてくれた。


 そうか、人口的を考えるとかなり多いのか……。


「それなら、他はどうですか?」


「人種は、全体の半分が人種であると言われてますので、少ないと言えます。獣人も、全体の三割から考えると、少し少ないです。ドワーフは一割半なので、少し多いぐらいですね。ただ、例年に比べて、人種が多いみたいなので、本来なら、もう少し亜人種の比率が高いみたいです」



 ……。



「そうですか。ところで、訊きたいのですが、全体の人口比率とかは、一般常識だったりするのでしょうか?」


「多分、そうです。ですが、私達は、これでも貴族家の娘なので、一般の方々が知っているかは分かりません」


「そうですか。では、民間人の人種の比率や具体的な人数はどうやって知ったんですか?」


「確か、広坪様達が途中でお帰りになった次の日の昼食で、カティリアさんから聞いたハズです」


「聖騎士団の人員の事もでしょうか?」


「別の日だったかも知れませんが、カティリアさんから聞いたハズです」


「では、聖堂院が所属する本国の事は、誰から聞きましたか?」


「……それも、カティリアさんです。それが何か?」



 ルティが、俺の質問に疑問を持ったみたいだ。

 なので、俺が思った事を話す。



「いえ、ルティが聖堂院襲撃を提案したのは、亜人種の人達を助ける為ですよね?なので、救出する際に人数などが分かれば、準備しやすいと思って訊いたのですが、非常に具体的な人数が分かりました。一ヶ月間居たとはいえ、これほど具体的な数字が出てくるとは思っていなかったので、少し不思議に思ったのです。聖騎士団の人員の事、民間人の人数、それに本を正せば、聖堂院の本国が、人間至上主義が大勢を占めるというのも、全て団長さんである、カティリアさんからの情報だとすると、何らかの意図をもって、情報を流したと考えられるのです」


 俺の話を聞いて、ルティ達が固まった。


「そ、それでは、嘘の情報で攻めさせようとしていたと?防壁の修理を放置していたのもそのために……?」


「最悪は、その可能性もありますが、俺は嘘では無く、事実だと思います。団長さんは、どうしようもなくなった時様に、情報を渡していた可能性があります」


「それなら……」


「まて、一つ疑問があるのじゃ。聖堂院側は、広坪の告白を知らなかった。ならば、広坪の元へルティ達が行くのを予測できなかったのでは無いか?告白の件をその団長にはなしたか?」


 オシホ様がルティの言葉を止めて、ルティ達に聞く。


「いえ、話した覚えはありません」


「私もありません」


 ルティもマリーディアさんも話してない。

 オシホ様は、三姉妹にも顔を向けるが、3人とも横に首を振る。


 三姉妹が、うっかり話した可能性が残るが、話してないと思おう。


「団長さんは、メッセンジャーか、交渉役にしようとしたのかも知れません。オークの驚異が迫ったら、警告なり何かしらの理由で再訪問を予想するのは、容易でしょうから」


「それなら、辻褄も合うか……。ならば、襲撃をするか?」


 俺の言葉に、オシホ様が納得してくれたが、襲撃論が……。


「いえ、団長さんが襲撃を期待してるかは分かりませんので、救出した際の、搬送準備だけしておけば良いと思います」


「そうじゃな。それだけで良かろう。まぁ、襲撃したとして、奴等に奥の手があったとしても、安く打ち破ってみせれば良いのじゃしな!」


 オシホ様が襲撃する気満々だ。


「いや、襲撃は、できるだけしない方向でお願いします。ルティ達も、それで良いですか?」


「はい。皆が無事なら、それで良いです。私も微力ながら、戦闘をお手伝いします!」


 ルティがぶっ込んできた。


「いやいや!ルティに何かあったら大変です!戦闘参加は認められません!俺だってゴーレムに乗っているから許されているのですよ?」


「ならば、ルティリア達も後ゴーレムに乗れば良かろう。アリス、作れるか?」


「範囲内なら、明日の昼にはできます」


「是非お願いします!」


「私もお願いします!」


「私も!」


「私も!」


「私も!」


 オシホ様とアリストラさんの言葉に、ルティとマリーディアさんだけではなく、三姉妹も参戦を希望してきた。



 俺は、必死に思い止まる様に説得したが、多勢に無勢で、押し込まれたが、搭乗型ゴーレムの操作は簡単だが、すぐには慣れないし、戦闘も大変なので、なんとか訓練次第という事で落ち着いた。


 これなら、参戦は見送られるだろう。




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