魔具の設置
翌朝、しぼりカスとなった俺は、なんとか朝食前に起きることができた。
「凄かった……」
隣で気持ちよさそうに眠るルティを見ながら一言漏らす。
昨夜のルティは、完全に暴走した状態で、俺は蹂躙され、ボロボロだ。
初回とは違い、俺が腰砕けとなったが、なんとか自力で食堂まで向かったが、俺の姿にアリストラさんが驚く。
事情を話したら、納得し、喜ばれた。
マリーディアさんと、三姉妹にもプロポーズした事を話したら、皆が祝福してくれた。
朝食後、結婚について話したが、街とかなら国に届け出を出すらしいが、村とかだと村長に報告するぐらいだそうで、俺達の場合だと、お互いと回りの人達が知っていれば、それで良いそうだ。
なので、既に結婚した状態と言える。
なんとも締まりがない。
俺はあることを思い付いたので、ルティ達と自然に分かれ、アリストラさんに相談しに行った。
相談事は結婚についてだ。結婚となればウェディングドレス……とまではいかなくても、それなりに着飾らせてあげたい。
ルティが綺麗な姿は見たいが、それ以上に男には分からない何かがある。と思うので、アリストラさんにこっそり相談したのだ。
折を見て、準備を進めてくれるそうだが、今は時期が悪い。
もうすぐ聖堂院まで供給範囲が届くようになるので、その準備で忙しいのだ。
なので、一月後を目処に、準備をすることにし、アリストラさんと分かれ、訓練場に向かった。
聖堂院まで供給範囲が届けば、ルティが別れを惜しんだ人達に、結婚を報告しに一緒に行ける。
現状でも一緒に行けるが、より安全に、より早く行ける様になる。
その時にドレスを着てもらうのも良いかも知れない。
いや、純白だと、雪で見辛くなるかも?
保護色みたいに……。
後でアリストラさんと検討しよう。
訓練場では、既に魔法の訓練が始まっていた。
ルティが長女のレイシアを、マリーディアさんが次女アムリスちゃんと三女クリスティアちゃんを指導していた。
俺の時の魔法訓練は、魔力の心配が無いので、とにかく魔法を撃って撃って撃ちまくって、馴れる訓練だった。
だが、一般人な三姉妹には、そんなことをさせられないので、一般人な訓練をしている。
魔法を撃って、魔力が半分ほどになったら、瞑想をする。
瞑想で、魔力の循環と回復を行い、回復したら、また魔法を撃つ、魔力が半分になったら、また瞑想を。
こんな感じて訓練をして、魔力の増加と、精度の向上を図っている。
瞑想は、俺にも効果があったので、一緒に瞑想をしている。
お陰で、魔法の精度がそこそこ上がった。
この訓練場は、魔力の回復をしやすい細工がしてあり、瞑想のでの回復力が三倍になっている。
なのて、ここで訓練を始めて一週間ほどしか経ってないが、次女と三女は、初級魔法をなんとか発動できるようになっている。
これは、かなり早い方らしい。
俺の時は即発動できたが、オシホ様と融合していた効果が極めて大きく、土魔法に限って、難易度が大きく下がっていたかららしい。
なのて、一週間で発動できるようになった二人は、なかなかの才能があるみたいだ。
長女のレイシアも、初級魔法の段階だが、かなり安定して発動できており、今は複数の魔法発動をしようとしている。
かなり苦戦してるみたいたが、そろそろできそうだ。
これができると、今後の魔法習得の面でかなり楽になる。
訓練の様子を眺めていたら、瞑想に入るみたいなので、俺も合流して瞑想する事にした。
その後、瞑想と魔法の訓練を繰り返すのだが、訓練ばかりでは集中力が持たないので、合間にお菓子休憩を入れている。
お菓子休憩を導入してかは、訓練への集中度合いが上がった。
そして、導入した直後に、お菓子を毎日食べると、太るかも?なんて、言ったら、午後の武器関連の訓練に気合いが入った。
お菓子を減らす方法もあると言ったら、激しい反対に遇った。
という訳で、お菓子休憩を挟みながら、魔法訓練を続け、昼食になる。
昼食前には、休憩時間があり、その時間は俺とルティのいちゃつける貴重な時間でもある。
ただ、全てがそうではない。
俺が家族の時間も大切だろうと言った事で、ルティの判断で、ルティ達五人で話す場合や俺を含めた六人で話す場合もある。
今日は、俺に手を振ってきたので、ルティ達五人で話すらしい。
今日は、プロポーズしたばかりなので、いちゃつくと思ったのだが、プロポーズの件を話に行ったのかも……。
なので、一人寂しく食堂へ向かう。
食堂へ向かうと、アリストラさんとオシホ様が居た。
オシホ様が居るという事は、精霊トリオも既に帰ってきてるか、もうすぐ帰ってくるだろう。
今日の午後は、例の魔具を設置するので、午前のみの偵察になっている。
全域を十全に偵察できていないが、一気に設置するために簡単な偵察のみですませたのだ。
そして、俺も午後の訓練を中止して設置作業に参加する。
作業内容は、魔力の供給が届かない、先行した場所での魔具を設置するための穴掘りだ。
既に作製した物は設置されているが、全行程の半分ほどにしか設置できていない。
後は、現在製作中の物と、西側に設置されている物を掘り起こし、再設置する予定である。
このままでも、製作し続ければ設置自体はできるのたが、一刻も早く聖堂院へ戦力を派遣できる様にしたかったのて、再設置をする事にした。
この一週間で聖堂院になんの変化も無いのが原因だ。
防壁もそのままなので、次の襲撃に耐えられるか分からない。
ルティが居ない以上放置もできる。
だが、なんとかできたかも知れないのに、しなかった。となると、ルティ達に不信感というか、嫌悪感が生まれるかも知れない。
つまり、自分の見栄のためみたいなものだ。
それに、ルティから、聖堂院の人達について、色々聞いているので、聖堂院に居る人達を見捨てるのは忍びない。
そんな理由で設置を急いでいる。
まぁ、必要数が揃うのは、明日の朝なので、完成はそれ以降になるが、設置を開始するなら、今だ。
オシホ様達と簡単な打ち合わせをしていると、ルティ達が来た。
ルティ達は、ワイワイ楽しそうにしていたが、マリーディアさんだけが俺をチラチラ見てきた。
結婚に関して、何か思うことがあったのだろうか?
その後は、何事も無く昼食を終え、ルティとハグをして、別れた。
ハグをしたのは、一応研究所外に出るからだ。
俺は、準備を整えて出発する。
今回の装備は、いつもの盾を置いてきて、代わりに特製スコップを持ってきている。
この特製スコップは、俺のゴーレムに合わせた大きさになっていて、全部が鉄製になっている。
これで、ガンガン穴を掘る!
聖堂院への設置ルートは、山脈沿いの森の境に設置する事にした。
森との境から半径500mなら、森の中と外を使えるので、この案で決まった。
精霊トリオは既に先発しており、聖堂院の近くの森に穴掘りに行っている。
そこは、聖堂院と険悪とは言わないまでも、悪い関係にあるなで、こっそり作業しなければならない。なので、精霊トリオが派遣された。
俺は、オシホ様と共に行動し、印のある場所を掘る!
オシホ様と共に行動するのは、護衛を兼ねているからだ。
オシホ様先導で、作業する場所へ到着した。
設置が済んでいる場所の先端では、研究所の作業用ゴーレム達が穴掘りしているので、俺達は聖堂院と設置作業が済んでいる場所との中間の辺りから掘り始める。
俺達は、三つのグループに分かれて作業をしている。
まず、俺とオシホ様で適当に深さ2mの穴を次々に掘っていく。
そして、作業用ゴーレムが二つのグループに分かれた内の一つが、穴を整えて魔具を設置する。
最後に、もう一つのグループが穴を埋める。
この手順で作業しているのだが、ゴーレムは凄く力強いので、凍った地面にもサクサクスコップが刺さり、ガンガン掘れる。
なので、予定していた時間の半分ほどで作業が終わったので、他の応援にも向かい、予定より作業が進み、全ての穴を掘ることができた。
勿論、明日の朝設置する分の穴は、落下防止をしてある。
研究所に帰還し、作業の報告をしたら、ルティ達も喜んでくれた。
明日の朝に、完全した分の魔具を設置すれば、今現在に問題が進行していても、すぐさま対処が可能になる。
これで、一安心だ。
夕食後にルティと、軽くいちゃついてから、就寝した。
翌朝、朝食を終えた後に、アリストラさんと共に魔具を設置に出発した。
今回の護衛がアリストラさんなのは、魔具を設置していけば、研究所のゴーレムを全面的に使えるので、護衛として十分な戦力がある、という意味もあるが、オシホ様達が偵察に出ていて、同行できないからだ。
昨日は簡単な偵察のみだったので、何か変化がある可能性があるので、入念に偵察するために早朝から出たのだ。
よって、アリストラさんと共に設置作業に出た。
まぁ、俺が同行する意味はあまり無いのだが、完成に立ち会いたい俺の我が儘だ。
「よし、これで最後の魔具の設置完了です」
穴の底に魔具を置いたので、埋めて作業終了だ。
「アリス、確認をお願いします」
アリストラさんは、メイドゴーレムの動きを止めて、少しすると、結果を知らせてくれた。
「異常は確認できません。聖堂院を囲むように、魔力供給範囲を展開できています」
アリストラさんは、魔力供給可能な範囲を感知する事ができるので、最終確認をしてもらった。
「そるなら良かった。時間はまだありますし、聖堂院を確認して行きますか?」
設置作業で近くまで来ていたし、時間もあったので、アリストラさんに提案してみた。
「……そうですね。一度見ておきたいです」
アリストラさんと共に聖堂院へ向かう。
見つかると面倒な事になりかねないので、森の中から遠目に見る。
「本当に、木製の砦があるのですね。位置も間違い無さそうです」
アリストラさんの声は、少し寂しそうだった。
「では、帰りましょう」
全ての作業を終えて、研究所に帰還した。
研究所に帰還した俺は、魔法訓練の終わったルティ達と昼食を食べ、午後の訓練をしていた。
すると、アリストラさんが来て、オシホ様達の帰還を知らせてきた。
オシホ様達は、夕食前後の時間に期間予定だったのに、かなり早い時間の帰還になる。
何やら急用らしく、訓練を中止して会議室へ向かった。
会議室では、既にオシホ様達が着席していたので、俺も自分の席に座る。
「それで、何があったんですか?」
「端的に言って、大規模侵攻じゃな」
俺の質問にオシホ様が答えた。
「大規模侵攻ですか?数は?」
「総数で約15,000、南に10,000、西の森に5,000じゃな」
3,000や4,000を殲滅はしたが、15,000は多い。
確かに大規模侵攻だ。
「どのぐらいで来そうですか?」
「ゴーレムで四時間ほど、オークの足なら二日はかかる。聖堂院まで三日じゃな」
時間はまだある。十分に対処は可能だ。
「今から出て、聖堂院に日没までに到着できますかね?」
「いうものルートでは、ギリギリじゃな。魔具を設置したルートならば、十分に間に合うハズじゃ」
いつも使っている、街道に出るルートではギリギリだが、魔具を設置した山脈沿いなら、直線的な距離なので、余裕があるか……。
「魔具を設置したルートで、聖堂院に知らせに行きます。すぐに準備をお願いします。対策は帰ってからにしますが、アリストラさんは、全ゴーレムの戦闘準備だけはお願いします」
「全てのゴーレムを出撃させるおつもりですか?」
「いいえ、戦闘準備だけですね。多少は出撃させると思いますが、ここを危険に曝すつもりはありません」
「分かりました。すぐに準備します」
手早く最低限の装備を整えて、すぐに聖堂院へ向かって発した。




