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新しい仲間

 




 砦を出た俺達は、ルティリアさん達がソリに乗っているので、ソリを中心にし、細心の注意を払いながら移動する。


 寒くないか確認をしながら移動して、半分ぐらいに来たところで休憩を兼ねた昼食にする。


 簡易シェルターを設置し、中で昼食を食べる。

 昼食は、サンドイッチとスープになる。

 サンドイッチはいつでも通りだが、スープは一人分を、器を兼ねた保温魔具に入れて持ってきてあるので、手早く準備できた。

 ただ、座る寝台が二ヶ所に減っているので、全員は座れない。

 座れない事も無いが、かなり窮屈になる。なので、俺が床に座って食う事にしたのだが、そこで多少揉めた。

 誰が床にとか、色々あったが、結局全員で寝台に座ったのだが、ルティリアさんと妹さんと長女、俺と次女と三女に分かれて座る事になり、次女と三女に挟まれて昼食を食べる。


 どうせならルティリアさんと座りたかったが、次女と三女に押し切られる形でこうなった。

 かなり好かれているみたいなのだが、理由が分からない。

 嫌われるよりは良いので、良しとしておく。




 昼食を終え十分に暖まってから、移動を再開し、研究所へ帰還した。


 アリストラさんに簡単な報告をし、ルティリアさん達を歓迎してもらった。

 十分に防寒したとはいえ、寒い中を移動してきたので、ルティリアさん達には大浴場のお風呂に入ってもらい、俺も自室で風呂を済ませる。

 ルティリアさんに交際を受けてもらい、無事に連れ帰る事が出来たので、緊張の糸が切れて風呂で寝てしまい、溺れそうになったりした。



 十分に暖まり風呂を出たが、ルティリアさん達はまだらしい。

 女性の風呂は長いと言うし、のんびりと待つことにし、飲み物でも用意する。

 風呂上がりなら、コーヒー牛乳や牛乳を用意したいところだが、牛乳が無い。仕方がないので、フルーツジュースを用意する。


 俺のお勧めは、リンゴかブドウのジュースになる。

 バナナが種アリだったので、原種系かと思ったのだが、リンゴは甘かった。それからはリンゴがお気に入りになっている。

 ブドウは、ワイン用が多かったが、そのままやジュース用もあったので、今はジュース用を少し増やしてもらっている。

 どちらも美味しいので、風呂上がりに少量飲むだけにしている。

 他にも柑橘類やパインのジュースもキンキンに冷やして準備している。



 お風呂を済ませ、戻ってきたルティリアさん達にジュースを勧め、子供達だけでなく、ルティリアさんと妹のマリーディアさんにも喜んでもらえた。

 ルティリアさんとマリーディアさんには、お酒でも良かったが、この後報告会があるので控えてもらった。






 改めて自己紹介をした後に、アリストラさんに報告を行った。

 オークの事、告白の結果、ルティリアさんと付き合うこと、聖堂院との関係悪化、副団長の行動などを報告した。


「私は、オシホ様と同じ様に、聖堂院とは関係を切っても良いと考えます。広坪様に斬りかかる輩と交流を持つ必要を感じません」


 アリストラさんも相当に怒ってるらっしゃるご様子だ。


「俺もそこまで交流を維持したいとは思いません。ですが、ルティリアさん達の為に必要です。俺の事を嫌いになった時に行き先が必要なのです。去る場合に十全に支援はするつもりですが、行き先が無いとどうしようもありません。北は封鎖、南は魔境、隣の地域はルティリアさんには危険な支配者が居り、結果として聖堂院のみが唯一と言って良い外部との接点です。維持できるなら、それに越したことはないでしょう」


「……そうですね。私が浅慮でした」


「広坪様、私達の事を考えての事、ありがとうございます。てすが、広坪様のお命を危険に曝す様な事は必要ないと思います」


 ルティリアさんにまで止められた。


「いや、しかしです。マリーディアさんの伴侶の事もあるし、いずれは娘さん達にも相手が必要になります。その時に必要になるります」


「それなら大丈夫です。当てがありますし、皆も納得しています」


 当て?親戚なり何なりに、当てがあるという事か?

 それとも、騎士団長さんや見送りの人達みたいな知り合いに頼んだのかな?


「そうですか、分かりました。ですが、何か力になれる事があったら何でも言ってください。可能な限り力になります」


「広坪さまにそう言っていただけたなら、最早何の問題もありません。ありがとうございます」


「そうなんですか?まぁ、それなら、良いですが……」


「聖堂院への対応は、できるだけ交流を維持する方向て、いいですね。では、オークの件はいかがいたしましょうか?」



 オークをどうするか、これが問題だ。

 聖堂院とは交流の維持は決まったが、オークが聖堂院を襲っている。俺達の防衛網の外を通ってだ。


「聖堂院まで範囲を伸ばすのに、最速でどのくらいかかりますか?」


「あと10日は必要です」


「あの、範囲とはなんでしょうか?」


 俺とアリストラさんが話し合っていると、ルティリアさんが質問してきた。


「ああ、範囲は、戦力を派遣できて、常駐させる事ができる範囲とでも思っていただけたら問題ありません。ルティリアさんが居た聖堂院を護るために、戦力を派遣できるように計画をしていました」


「そうだったのてすか、離れた後もお気遣いしていただいていたのですね。ありがとうございます」


「俺が貴女方を死なせたくなかったので、無理を言ったなです。アリストラさんの協力が無ければなにもできなかったと思いますから、感謝はアリストラさんにお願いします」


「勿論感謝しています。ですが、広坪様に心配していただいたのが嬉しかったのです」


「そう言われると照れます……」


 俺とルティリアさんは、顔を赤くし、見つめ合う。


「仲が良いのは善いことじゃが、今はオーク対策の途中じゃ。後にせい」


 オシホ様の注意で、余計に顔を赤くしてしまう。


「すみません」


「それで、どうする?派遣にはまだ時間が必要じゃぞ?」


「時間が必要なら、稼ぐしかありません。遠征組で定期的に偵察を出すしか無いと思います」


「そうじゃな、それしか手はないの」


「では、聖堂院には偵察を出して、安全の確認を、北上してくるオークには、研究所の戦力で殲滅する。これでいいですか?」


「はい」


「そうじゃな」


「では、これで報告と方針の決定は終わります」


 面倒事は先に済ませて、後は……。




「ルティリア殿達の歓迎を始めたいと思います」


 研究所のメンバーで拍手をして、ルティリアさん達を歓迎する。

 と言っても、特にすることが無いので、交流が少なかったり、無かったりするので、全員で改めて自己紹介をした。


「ルティリア殿の事は奥様と呼んだ方が良いのでは?」


 ツヴァイがぶっ込んできた。


「まて、いずれはそうなって欲しいが、今からそう呼ぶと、プレッシャーをかける事になる。普通に呼ぶように」


「分かりました。ですが、広坪様はいつまでもさん付けで呼ぶのはいかがなものかと思います。結婚を視野に入れているなら、お互いを愛称で呼んではいかがでしょうか?」


「それは……」


 言葉が詰まる。

 俺にも多少そういった気持ちがあるが、正直とても恥ずかしい。


「あの、ルティと呼んでいだだけると嬉しいです」


「え、あ、はい。では、ルティ、と、これから呼びます。俺は、何と呼んでもらえば良いですかね?」


「でしたら、コウ様と呼んでも良いですか?」


「はい。よろしくお願いします。ルティ」


「コウ様」


「ルティ」


「コウ様」


 俺達は、お互いの事しか見えておらず、見つめ会い互いを呼び会う。

 まさにバカップル状態だった。



「駄目ですね。完全に私達の事を忘れてます」


「そうじゃな」


 マリーディアさんとオシホ様が呆れている。


 三人娘と精霊トリオが交流をし、アリストラさんは何やら考えている様子だ。


 俺とルティリアさんが、やっと現実に復帰し、皆から冷やかされたが、悪くない気分だった。



 皆の自己紹介も済んだので、ルティリアさん達の部屋へ案内した。

 部屋はアリストラさんが選んだが、家族用の大きな部屋を用意しており、ルティリアさん達も気に入った様子だった。

 部屋に荷物を運び込み、足りない物などを倉庫に取りに行ったが、その物資の多さにルティリアさん達は驚いていた。

 これが極一部だと知ったらどうなる事か……。

 生活環境がある程度整ったところで、施設内を案内し、騒ぐ三人娘の相手をしながら時を過ごした。


 そろそろ夕食の時間なので、食堂に移動した。

 そこには、肉料理を中心に豪華な料理が並べられ、歓迎の席が用意されていた。

 ルティリアさん達はとても喜んでくれて、お腹一杯食べていた。

 デザートにはプリンを出したのだが、三人娘とマリーディアさんはお腹一杯だと言いながら、それぞれが三つも食べていた。

 ルティリアさんも、二つほど食べて満足そうにしていた。


 やはり、皆で笑いながら食べる食事は美味しいし、とても楽しい。

 これからこんな食事が続くのかと思うと、毎日の食事が楽しみになる。


 食事を十分に楽しみ、ルティリアさんとマリーディアさんには、お酒も少し出したので、今日はこれで解散することにした。


「コウ様、とても美味しい食事をありがとうございました」


「「「「ありがとうございました」」」」


「俺も、皆と食べる食事はとても楽しかった。ありがとう。今日は色々あって疲れただろうから、ゆっくり休んで下さい。それから、何か足りない事があったら、何でも言ってください。俺は、色々足りないので、言っていだだけるとありがたいです」


「十分に良くしてもらっています。ですが、分かりました。何かありましたら、ご相談させていただきます。それでは、おやすみなさい」


「「「「おやすみなさい」」」」


「おやすみ」


 ルティリアさん達が部屋へと戻り、俺も自室へ戻る。




 俺は、自室のベッドで横になりながら、今日の事を反芻する。


 聖堂院の事は仕方がない。

 女性の避難所である以上、ああいった事が起こる事は想定すべきだった。

 だが、人の敵意や殺意を向けられたのは初めての体験だったが、モンスターとは違った圧力があり、慣れる必要があるかも知れない。


 今回は、ルティリアさん達をダシにしたが、外との接点は欲しかった。

 どうしても、という訳では無いが、俺がここに召喚された理由の一端に関わる事。


 あの学生四人だ。


 どこかに召喚され一年が経つ、噂が流れて来てても不思議では無い。

 どうなっているのか調べられるなら調べたいが、顔もおぼろげだし、面倒事は避けたい。

 あまり、深く考えるのは止めておこう。




 それにしても、俺に彼女が出来た。

 未亡人で子持ちではあるが、勿体無いぐらいの美人だ。

 こんな事になるなんて、元の世界に居た頃は考えられない事だ。

 こちらに来て一年になるし、何か変化があったのかも知れない。

 いや、変化は確実にある。モンスターとの戦闘なんて元の世界には無いのだから。

 命の危機を強く感じて、生存本能が変な風に目覚めたのだろうか?

 これが正常なのかも?


 何にしも、ここなら浮気とか不倫的な事も無いだろうし、安心ではあるが、精一杯大切にしていこう。

 順調に行けば、夫婦になって……。



 良からぬ妄想が頭を駆け巡った時、ドアがノックされる。



 俺は、ピクッと体が反応してしまったが、もしかして……。という期待を持ちながらドアを開ける。

 そこには、アリストラさんが居た。


 思わず気が抜けてしまったが、初日から部屋に来るわけが無いので、気を取り直して、アリストラに用件を尋ねる。


「どうかしましたか?」


「広坪様のお部屋を片付けに参りました」


 片付けにって……。

 キレイだよ?机の上が多少ゴチャゴチャしてるけど、あれは自分なりに整理されたものなので、触らないで欲しい。

 というやり取りを何度かしたことがあるが、何故今日なのだ?


「いや、大丈夫だよ。だから、お引き取りを――」


 俺の言葉は続かなかった。

 俺は、アリストラさんに拘束され、ベッドに押さえつけられる。

 本気モードだ。

 身動き一つ出来ない。


 ドアからは精霊トリオが入ってきて、机の上の物を片付けるという凶行行っていく。


「待って!それをごちゃ混ぜにされると分からなくなるから!やめて!お願いします!」


 俺の懇願虚しく、全て撤去された。


 俺は拘束ら解除され、アリストラさんが立ち上がり、言葉をかけてくる。


「広坪様、彼女ができましたし、部屋に訪れる可能性が有ります。危険な物は片付けておくべきですのですので、何卒ご容赦下さい」


「……言ってくれたら明日にでも片付けましたよ」


 俺は、アリストラさんの言葉に力なく答える。


「あれで整理されているという方の言葉を鵜呑みには出来ません。申し訳ありませんが、荷物は研究室の方に移動させておきます。それでは、失礼しました」



 俺は、自室で最高の気分から最低に叩き落とされていた。

 女性が男性の趣味に苛烈な対処を取る事があると聞いたことがあったが、実際にされると、クルものがある。

 捨てられたり、売られたわけでは無いので、まだマシだとは思うが、悲しい。


 今日は、さっさと寝て、明日の朝にでもルティリアさんに癒されよう。




 ベッドに潜り込み、目を瞑る。


 うとうとしだした頃に再びドアがノックされる。


 また、アリストラさんが来たのかと、ドアを開ける。


「まだ何か用です――」


 ドアを開けた先に居たのはルティリアさんだった。


「え?……あの、何かご用ですか?」


「はい。夜這いに来ました」


「……いや、あの、嬉しいのですが、付き合いだした初日に来ることは無いと思いますよ?もっと、こう、仲が進展してからでも遅くは無いかと」


「私は生娘ではありません。それに、広坪様が奥手で、未経験であるとも聞いているので、私から来させてもらいました」


「誰がそんな事を言ったのですか?確かに俺の方が生娘みたいですが、その、気を使う必要はありませんよ?」


「広坪様、女に恥をかかせるつもりですか?お覚悟下さい!」


「え?あーーー!」



 俺は、寝室に押し込まれ、ベッドに倒れる。

 抵抗できない事も無かったが、ルティリアさんにキスをされ、抵抗する気を無くした。



 その後、ルティリアさんに美味しくいただかれました。


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