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敗北

 



 オシホ様の側へオークリーダー4匹とハイオーク1匹が向かうのを確認した俺は、俺達の側からアインと戦闘用ゴーレム2体を送り出した。


 その直後に俺達の側を援護していた作業用ゴーレムがオシホ様の側へ移動していった。


 何かあったのは間違いない。だが、これ以上こちら側の戦力を減らすわけにはいかない。これ以上減らせば、こちら側を維持できなくなり、作戦自体を瓦解させこねないからだ。


 俺とドライ、戦闘用ゴーレム2体で、オークを叩き潰していく。だが、戦力が減ったことにより、体当たり攻撃に対応しきれなくなり、徐々に後退してしまう。



 どのぐらい戦ったかわからないが、外側の壁の入り口から内側の壁の入り口まで後半分、という所まで後退させられた時に、突然後ろから弩での援護があった。


 オークの相手をしながら後ろを見ると、内側の壁の上に居るハズの作業用ゴーレムが3体居た。


 これは……。




 ――――――


 時はすこし遡る。


 オシホ様side




 外側の壁の入り口で広坪達と分かれ、ツヴァイと共に東側の間でオーク達と戦う。


 こちら側は広坪が居ない分戦力的には少ない。だが、広坪のゴーレムは幅をがあり、オーク達に一度に対面できる人数が制限されてしまう。


 人ならば、対応する人数を減らすことが出来、疲労の軽減になるじゃろうが、ゴーレムである我らに疲労は無い。なので、敵を倒すのに広坪のゴーレムの幅は逆にデメリットになりかねん。



 今は、ワシを頂点にし、突破陣形を簡易化したような形で迎撃しておる。オークの首を次々に突き刺し、オークを魔石へと変えていくのじゃが、オークの突進に戦闘用ゴーレムでは対応が遅れてしまい、後退を強いされる。


 作業用ゴーレムの弩による援護が無ければ、もっと後退をさせられていたかもしれぬ。最初は作業用ゴーレムに弩など持たせて意味が有るのか疑問じゃったが、なかなかに使える。


 それに、この壁。この壁でオークは前からしか来ない。囲まれた時を思えば、非常に楽じゃ。魔具の特性上、冬のこの地域では使用が難しいと思うておったのじゃが、広坪が工兵と言っておったが、作業用ゴーレムに作業させる事で見事に使いこなし、これほど楽な状況を作った。見事じゃ。


 当初は、こんな仕掛けなどせずとも、戦闘用ゴーレムの性能で押し切れると思うておったが、囲まれた時と、この体当たり攻撃を考えると、広坪の危惧は妥当なものじゃったと思う。いつまで経ってもワシの慢心は抜けぬ。



 広坪達よりオークを多く倒せてはおるが、中程まで後退させられた。広坪達がまだ入り口付近で戦闘してるのを考えると、一度押し返すか、広坪達に後退を要請せねばならぬかと考えた時、オーク達に変化があった。急に攻勢が弱まった。好機じゃと思い、押し返そうとしたが、出来なかった。


 変化はそれだけでは無く、広坪がアインと戦闘用ゴーレム2体をこちらへ送り出した。ワシは広坪の行動に疑問を持った。ワシは指揮下の作業用ゴーレムで広坪達の状況が分かるが、広坪達にはこちらの状況が分かるハズは無い。ワシの側は広坪逹よりかなり後退しているが、後退も作戦の内じゃったはずじゃし、こちらへ戦力を送る意味が分からぬ。


 じゃが、アイン達こちらへ送り出された次の瞬間に、意味は分かった。オーク達の後ろから一回り大きな集団がこちらへ向かっている。オークリーダーが4、そしてハイオーク。なるほど、広坪はこれを見てこちらにアイン達を送ったのじゃな。




 オーク達が道を開け、ハイオークを先頭にし、オークリーダー達がこちらへ突撃してくる。助走があるので、凄い勢いだ。


 くっ、これでは突破されかねない。広坪側の作業用ゴーレムもこちらへ一時的に呼ぶことにする。


「ツヴァイ!防御体勢!ハイオーク達を押さえ込むのじゃ!」


 オーク達の攻撃は完全に止まっている。なので、突撃してくるハイオーク達に専念する。ハイオークを押さえ込めば、後はどうとでもできる。


 ワシの後方で、ワシの戦闘用ゴーレムを2体ハイオーク用に待機させ、その後ろにツヴァイの戦闘用ゴーレムを並べ、その後ろにツヴァイが陣取らせ、ハイオークの突撃に備える。


 ハイオークは腕をクロスさせ、首と胸を守りながら凄い勢いで突っ込んで来る。作業用ゴーレムにハイオークを射たせる。しかし、効果がない。頭にも当たったが、弾かれていた。頭は相当に硬いみたいだ。それに、あの筋肉で太い腕で守られては、首や胸は狙えない。今は足を止めさせる事が優先。足を狙い、右斜め前に出て、ハイオークを避けながら、カウンター気味にハイオークの太ももへ突きを放つ。


 突きは、狙い通りにハイオークの左太ももに直撃させることができた。だが、ハイオークの勢いと筋肉に阻まれ、深くは刺さらず、ハイオークは止まる事無く突進を続け、さらに、剣先が折れてしまった。


 直後に後続のオークリーダーの突進に当たりそうになるが、咄嗟に避け、太ももを撫で切った。その後ろのオークリーダーには対応しきれず、避けきれずに接触してしまい、弾かれる。だが、切ったオークリーダーは体勢を崩して転け、ワシを弾いたオークリーダーを巻き込み転倒した。



 弾かれて、内側の壁へ飛ばされるが、当たり方が軽かったので、それほどダメージは無い。急ぎツヴァイ達の方を確認をする。


 そこには、左右に弾き飛ばされた戦闘用ゴーレム達と、正面からハイオークを受け止めようとするツヴァイの姿だった。だが、ツヴァイはハイオークを受け止める事が出来ず、弾き飛ばされ、外側の壁に激突した。



 あれで受け止められぬとは……。


 陣形は完全に崩された。オーク達も攻撃を再開しようとしている。とにかく建て直しを図る。


 まず、作業用ゴーレムの弩で、オークの足を射たせて、足止めをする。次に戦闘用ゴーレムにオークリーダーの相手をさせる。ワシが転ばせたオークリーダー以外は、弾き飛ばされた戦闘用ゴーレムに攻撃をしている。戦闘用ゴーレムは頑丈だったが、ハイオークの突進で腕にダメージを受けているみたいだ。それでも、他にオークリーダーを相手にできる戦力は無いので、戦闘用ゴーレム達にオークリーダーの相手をするように命じ、ツヴァイに追撃をしようとしているハイオークへ全速力で向かう。今ツヴァイの戦力を失えば、作戦は完全に崩壊してしまう。


(間に合わぬ!)


 ハイオークの方が攻撃が早く、その拳がツヴァイへ降り下ろされそうになった時、大剣がハイオークの目の前に突き刺さる。


 ハイオークは大剣に怯み、攻撃が間に合った。


 剣先が折れている。突きは使えない。狙いはハイオークの膝裏。剣を横に振り抜き、膝裏を斬る。流石に硬くは無く、斬ることができた。ハイオークが悲鳴を上げるが、素早く連続で斬りつける。


 ハイオークはたまらず腕を振り回して来る。咄嗟に下がり避けることが出来たが、目の前を拳が凄く勢いで通り過ぎる。


(ハイオークの注意を完全に引けたようじゃな)


 それに、アインが来たか。なんとか持ち直せるかも知れぬ。


「アイン!まずは此奴を倒す!」


 ワシの言葉を受けて、アインが戦闘用ゴーレム2体をハイオークへ体当たりさせて、ツヴァイから引き剥がす。その隙にアインが大剣を回収し、攻撃に参加する。


 戦闘用ゴーレムはハイオークへ体当たりをして、外側の壁まで押し込む。だが、ハイオークは腕力で2体の戦闘用ゴーレムを弾く。


 2体とも弾くとは……。攻撃力はアインに頼るしか無い。じゃから、ワシが囮として攻撃を仕掛ける。


 身を低くし、ハイオークの左足へ攻撃を仕掛ける。ハイオークは拳を降り下ろし、攻撃してくるが、右へ避けて足へ攻撃しようとするが、左足で蹴りをしてきた。攻撃を中止して剣で受けるも、蹴り飛ばされて、距離が空いてしまった。


 だが、蹴りを放ったハイオークは大きな隙ができた。そこへアインが大剣でハイオークの足へ渾身の一撃を放ったが、ハイオークの右足を半ばまでしか斬ることができなかった。


 ハイオークは悲鳴を上げて、膝を着く。そこへ弾かれた戦闘用ゴーレム達が攻撃を仕掛けるが、ハイオーク豪腕で防がれる。その隙にアインは大剣を引き抜き、体勢を整えた。


 ハイオークの足は潰した。ここからは、連携してハイオークを討つ。


 ハイオークを囲んで攻撃し続け、とうとうアインの大剣がハイオークの首をはね、ハイオークは魔石を残し、黒い霧へとなった。



 ここから建て直しを図るが、ハイオークを相手にしている間に、戦闘用ゴーレム逹は大破寸前になってしまっている。ツヴァイも盾を持った左腕が肩から壊れ、戦闘は難しい。


 ワシの側の戦力は、全滅と言って良い状況じゃ。……これ以上は無理じゃな。


 戦闘継続は困難と判断し、撤退の準備に入る。


「アイン、ワシの権限で撤退をする。オークリーダー達の相手を頼むのじゃ」


「了解です」


 アインがワシの命令で、前線に向かう。


「ツヴァイ、動けるか?」


「大丈夫です。ですが、左腕はダメです」


「うむ。これから撤退する。戦闘用ゴーレムを下げるのじゃ」


「了解です」


 アイン達と入れ換える様に戦闘用ゴーレムを下げる。


 ツヴァイの戦闘用ゴーレムは腕が壊れては居るものの、まだ動けそうだ。だが、ワシの戦闘用ゴーレムは、足をやられている。撤退は無理じゃな。コアのみ回収じゃ。


 ワシの戦闘用ゴーレムはコアと増槽の魔力球を回収した。アインを中心に前線をなんとかもたせて、撤退の準備を進める。この段階で撤退とするなら、作業用ゴーレムを壁の上から下ろさなければならない。支援が出来なくなるが、すぐに移動させる。



 ツヴァイから剣を借りて、前線に混ざるが、オークリーダー4匹とオーク達の攻撃で、まともに反撃をする余裕が無い。オークリーダー達に上手く連携される。


 オーク達の圧力に踏みとどまる事が出来ずに後退してしまう。



 作業用ゴーレム達が、階段を使いやっと降りてきた。3体はこのまま後方から支援させ、もう3体は広坪の側へ送り、ツヴァイに伝言を持たせて後を追わせて、説明に行かせる。


 こちらは、もう内側の壁の入り口近くまで後退した。後は仕掛けを使い、広坪達と合流して撤退じゃ。




 ――――――



 広坪side



 後ろから作業用ゴーレム3体の援護があった。これは、撤退を意味する。作業用ゴーレムを壁の上から降ろして、こちらに3体向かわせるのは、内側の壁の入り口での合流不可か、撤退を決めた証だ。


「広坪様!オシホ様より伝言です!ハイオークにより崩壊!撤退をするそうです」


 ツヴァイの声に振り返るが、その姿に驚く。左腕は肩から無く、武器さえ持っていない。さらに、後ろの戦闘用ゴーレムもボロボロだ。ハイオークはそれほど強いのか……。


「撤退、了解!ストーンウォール!」


 俺は魔力を使い、オークと俺達の間に石壁を作り、オシホ様達の元へ向かう。




 オシホ様逹は、内側の壁の入り口前で戦っていた。


 オシホ様達の姿を確認したが、数が足りない。戦闘用ゴーレムが2体やられたのか。


「オシホ様!」


 俺は、オシホ様が俺達に気付き、こちら側へ移動したのを確認して仕掛けを作動させた。


 仕掛けは落とし穴。落とし穴は蓋がされていて、作動させる事で

 蓋が下へ開く。穴の底に槍を設置させ、自動殲滅機構にしたかった物だ。作業用ゴーレムに作らせた。ここに設置したのは、オークジェネラルには見えず、戦果を期待したのと、まさに今回の様に撤退する場合の足止めに使えると判断したからだった。




「ストーンウォール!」


 後し穴のこちら側に石壁を作り、オシホ様達と合流した。


「広坪よ、すまぬ。ハイオークを甘く見ておった」


「ストーンウォールはあまり長く持たないので、詳細は後で聞きます。作戦失敗は俺の責任です。作戦自体に無理があったのかもしれません。今は撤退を急ぎましょう」


「うむ。後で説明しよう」


「了解です。撤退する!全員準備は大丈夫ですか?」


 撤退の準備確認をする。俺とドライは問題ない。オシホ様達も荷物の整理や状態の確認をしている。特にツヴァイとツヴァイの戦闘用ゴーレムの確認だ。


 確認の結果、ツヴァイの戦闘用ゴーレムは撤退に問題は無い。だが、ツヴァイはダメージが酷く、撤退に支障が出そうとの事だった。


「ふむ。ツヴァイの足では撤退の時に後れてしまうかも知れぬ。……広坪よ、ツヴァイを抱えて走れるか?」


「オ、オシホ様!私は大丈夫です!」


「無理じゃな。広坪よ、どうじゃ?」


「大丈夫だと思いますが、戦闘には参加できませんよ?」


「ワシが殿(しんがり)をする。問題は無い」


「了解です。では、抱えてみます」


 俺は剣を仕舞い、赤ちゃんを抱っこするように抱えた。


「問題は無さそうじゃの」


 オシホ様は、俺がツヴァイを抱える様子を見て言ってきた。


「そうですね。大丈夫そうです」


 ツヴァイは俺の腕の中でカチンコチンになっている。ゴーレムなので、元から硬いのだが、関節も固まり、お人形さん状態だ。


「よし、では、準備は良いな。広坪よ始めよ!」


「了解です。魔具、解除します!」


 オシホ様に言われ、撤退のために、魔具を解除する。解除した途端に壁が崩れ、雪の世界になる。


 俺達は壁が無くなった瞬間に北へ全速力で撤退した。




 俺の作戦は失敗し、撤退することになった。オークジェネラルに敗北したのだ。






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