表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/236

一時撤退

 



 オークの先頭集団二つと前衛集団、合計で700匹のオークを倒した俺達は、俺の昼食のために、森の外まで戻ってきた。




 簡易シェルター魔具を起動させて、中に入って昼食を食べた。この簡易シェルター魔具は、問題点が改善されていて、寝台が一つ減った代わりに。トイレ(水洗)が設置されている。


 昼食を食べ終え、俺達はアインとドライが戻ってくるのを待っている。アインとドライは、前衛集団を殲滅した後、敵本隊の偵察に行ったので、今は一緒にいない。


 偵察で、敵本隊に変化が無ければ、敵左翼、本隊の西に配置されている100匹と500匹の群れを殲滅し、北側を経由する形で東側に回り込み、同じ様に群れを殲滅して、最後は後方の100匹の群れを殲滅後に、敵本隊に後方から奇襲を仕掛ける予定になっている。


 各個撃破は基本だよね。まぁ、場合によっては、東側の群れを殲滅したら、そのまま敵の本隊へ攻撃を仕掛ける事もありかもしれないし、臨機応変に対応していこう。


 と、こんな事を考えていたが、アインとドライが偵察から戻ってきてた。



「大変だ!全部集まってきた!」


「全部ではない。東西の群れが本隊に合流した。後方の群れは動いていない」


 アインの報告でまさかと思ったが、想像通りか……。敵は集結したのだろう。つまり、敵に俺達の動きが察知されたのだ。取り逃がしたオークは居なかった。オークリーダーには遠距離で連絡できる能力か、それに準じる能力があるのか、本隊に長距離関知能力でもある個体が居るのか、どちらにしても、前衛の群れが倒されたのを察知して集結したのだろう。




 アインとドライから、より正確に偵察の結果を聞いた。


 アインとドライが敵本隊を発見し、編成を確認していたら、東西の群れが合流してきたそうだ。外周の100匹の群れも合流したらしく、それぞれ600匹居たそうだ。それから暫く監視を続けたが、群れが再び離れる様子は無く、一つの群れとして、再編されたみたいで、オークジェネラルを中心に円形の陣形を形成したそうだ。


 敵本隊の陣容もある程度分かっていて、オークジェネラル一体とオークリーダーが複数体確認されていて、それ以外に大きな個体が10匹ほど確認され、このオークは、他のオークに比べて、筋肉が非常に発達した個体だそうで、恐らくアリストラさんに聞いていたハイオークと呼ばれる個体だと思われる。




 偵察の結果を聞いた俺達は話し合いをした。


「広坪よ、どうしたい?」


 オシホ様に問われて、俺は考える。敵本隊は、数にして2200匹以上になる。これは、流石に厳しい。殲滅自体は可能だろうが、作業用ゴーレムに被害が出るかもしれない。それに、数にものを言わせて、複数体で掴みかかられたら、メイドゴーレム達でも危ないかもしれない。


 オシホ様達は、ゴーレムのコアが破壊されても無事だと分かっていても、メイドゴーレムがオークに破壊されるのを見るのは気分がいいものじゃない。だが、それでも……。


「俺としては、是非殲滅したいです」


「……そうか。では、どの様な作戦で行くのじゃ?数的には厳しい。一撃離脱を繰り返すか?こちらの方が足は早いしの」


「それも良いとは思いますが、一度撤退しようかと思っています」


 俺の言葉が不思議だったのか、首を傾げながらオシホ様が聞いてくる。


「うむ?戦うのではないか?」


「はい。戦うつもりですが、今のまま戦えば、被害が出そうなので、一度撤退をして、準備をしようかと思います。アリストラさんに作ってもらいたい物があるので、それが作れるか確認してからでも、遅くないと思いますし、他にも対処法はあると思うので、一度撤退したいです」


 今のまま、無理に戦う必要は無い。厳しい状況なら、こちらが有利になるようにすればいいのだ。手はいくつかある。


「そうか。分かったのじゃ。ワシに異論は無い。では、撤退するのじゃ!」


 オシホ様の号令で、手早く簡易シェルターや荷物を片付けて、研究所への帰途へ着く。




 午後3時前には研究所へ帰着し、アリストラさんが出迎えてくれ、会議室に移動して早速アリストラさんへの報告を行う。


「そうですか、700ものオークを無傷で倒してきたのですね。素晴らしい戦果です。500の時点で多少の損害があると思っていたのですが、流石です」


「今回は広坪の作戦が上手く行ったのでな。思うておったより楽に倒せたのじゃ」


 アリストラさんとオシホ様に褒められて、照れ臭くなるが、勝利自体は揺るがぬ結果だった。ゴーレムの性能やオシホ様達、精霊の方々の戦闘力を考えれば、負ける事は無いのだ。それに、作戦は、オーク相手だから有効に決まったものだし、自惚れぬ様に注意しなければならない。


「オシホ様達が俺の作戦を支持してくれて、正確に実行していただいたので、上手く行きました。ありがとうございます」


 これも、事実だ。俺なんかの作戦案を選んでくれ、さらに、正確に実行してくれた。どんなに完璧な作戦も選ばれなければ意味は無いし、選ばれたとしても、作戦案通りに実行してくれる者が居なければ、なんの意味も無い。なので、オシホ様達が居てくれたから、今回の戦果を挙げる事ができたのだ。


「ワシらは広坪のために居る様なものじゃし、気にする事は無い。もっと頼ってくれても良いのじゃぞ?」



 有り難いお言葉だ。俺がこうして生きてられるのも、オシホ様が俺との融合状態を維持してくれてるからだ。オシホ様がその気になれば、俺との融合なんて簡単に解除できる。ただし、俺の魂がズタズタになって、俺は死んでしまう。だから、オシホ様のご意向で俺は生かされている。


 それに、精霊トリオも、俺のためにオシホ様が呼んでくれた者達で、大精霊様の命令で半強制的ではあるが、色々と世話をしてくれてる。来た当初に比べて、随分と個性が出るようになったと思うし、なんだかんだと楽しそうではあった。



 頼れと言ってくれている。オシホ様の気持ちが嬉しい。有り難く頼らせてもらおう。


「ありがとうございます。頼らさせていただきます」


「うむ。存分に頼るが良い!お主が死ぬまでは付き合ってやるのじゃ!」


「ありがとうございます。早速で悪いのですが、作ってもらいたい魔具があるのです。そう難しくは無いと思うのですが……」


 俺は、作って欲しい魔具について説明をした。俺の想像通り、魔具は簡単に作れるそうだ。さらに、用途についても説明をした。


「なるほど、確かに有効そうです。というか、これは色々応用が効きそうですね」


 アリストラさんも賛成してくれた。単純な魔具だが、使い道は多いと思う。



 さらに、らもう一つ魔具を作ってもらう事にした。これは以前に提案され、保留となり、未完成の状態の物だ。これがあれば、今後色々と楽になる。これを完成させてもらい、設置を依頼した。これが、設置されれば、負けないはずだ。


「確かに、これなら負ける事はありませんね」


 今後の事を考えれば、この魔具の必要性はかなり高い。できるだけ早く用意したい。




 二種類の魔具は、すぐに作れるそうで、未完成の魔具も、完璧では無い、というだけで、もう使えるそうだ。なので、明日の朝には準備できるそうだ。


 ただ、両方の魔具は、魔玉を使用するので、数を作れない。だが、前回の事から、魔核の増産をしていたので、今回必要な分は何とか足りるそうだ。


 それからは、その魔具を使った戦術の話し合いを重ね。ある程度の結論が出たので解散した。



 オシホ様達は明日の準備のために、忙しく動き回った。



 俺は自室に戻り、ロマン魔具を作った。というか、今ある物を組み合わせて、作ってみた。まぁまぁの出来だと思う。オシホ様やアリストラさんならもっと上手く作れるだろうが、驚かせる事ができるかも知れない。ちょっと楽しみだ。


 俺のゴーレムでも持てる様に作ったので、多少思っていた物と形が違うものになったが、機能にはなんの問題も無い。これなら、多数の敵を倒せるだろう。






 翌朝、全ての準備を終えて、再び出発した。


 今回の編成も前回と同じになっている。


 今回は出発と同時にアインとドライが偵察に出る。かなり近い距離まで来ている可能性があるからだ。


 俺達は、昨日と同じ様に森の西側を南下した。1時間ほどで、アインとドライが森から出てくる所を発見した。


 アインとドライと合流して、偵察結果を聞く。


「予想通り発見!」


「昨日のままで、2000以上居た。それ以外は変化が無かった」


 一晩経っても一塊のままか。想定内なので、早速準備に入る。20分ほど北に戻り、森の外に作業用ゴーレムを置き去りにして、オークの群れへ向かう。森の中を進み。敵本隊を発見したので、観察する。


 敵本隊には、特殊な個体が居る。オークジェネラルは勿論、ハイオークも確認されている。今まで通りに戦えば、不測の事態になりかねない。なので、観察する事でその可能性を減らそうとしてみる。




 百聞は一見にしかずと言うが、やはり直接見ることで分かることもある。100匹の群れの時は、100匹集まっただけの群れ、500匹の群れも、横長な陣形を形成を維持はしていたが、隊列などは組まれておらず、横長な群れだった。だが、この本隊は、100匹と500匹の群れと合流したはずなのに、それなりの隊列を組んで、陣形を形成している。


 森の中なので、全体が見える訳では無いが、200匹ほどで一つの部隊になっているみたいで、前衛は一つと三つで凸陣形、その後ろにオークジェネラルの部隊があり、オークジェネラルの部隊の左右には、それぞれ横に並ぶように二つずつ部隊が配置され、後方にも、二つの部隊が配置されてるみたいだ。それぞれの部隊にオークリーダーと思われる個体が一体配置されている。本隊に居たのを分散させたのだろう。いや、元々この様な陣形を形成していたのを、場合に応じて変化させていたのかもしれない。


 中央のオークジェネラルが居る部隊には、ハイオークが全て居るみたいで、近衛や護衛の様なものみたいだ。これなら、中央の部隊に接近し過ぎなければ、ハイオーク達の事はあまり気にしないでも大丈夫かもしれない。



 オークと戦って分かったのだが、オークは馬鹿だ。それが、オークジェネラルが居るだけで、あんな隊列を組んで陣形を形成している。やはり相応の統率力があるのだろう。多少小細工を用意したが、効かないかもしれないな。




 ある程度の観察を終え、一度敵から離れ、作戦会議をする。


「思った以上に統率力されておったな」


 オシホ様が観察した感想を言ってきた。


「そうですね。下手な軍隊並にあったんじゃ無いかと思います」


「全くじゃな。それで、作戦はどうする?あの分なら、全ての部隊にオークリーダーが居るみたいじゃぞ?」


「俺も、部隊にはオークリーダーが居ると思います。ですが、基本戦略は変わりません。なので、敵左翼の部隊に攻撃を仕掛けまたいと思います」



 今回の作戦は、俺主体で立案したもので、今すべき事は一撃離脱になる。攻撃をして、囲まれる前に離脱し、再び攻撃し、離脱。これを繰り返すだけだ。俺達なら囲まれても多少は大丈夫だろうが、ここはまだ決戦すべき場所じゃない。無理する必要は無いので、敵戦力を削る事に集中する。



「陣形はどうするのじゃ?またお主が先陣を切るか?」


「いえ、今回は一番後ろで殿(しんがり)をしようと思います。俺のゴーレムは脚が速いですから、一番安全に離脱か可能だと思います」


「分かったのじゃ。それなら、先陣はワシが行こう」


「よろしくお願いします」


「それで?アレは使うのか?」


 研究所で、作戦を話し合っている時に、アリストラさんがあるものを持ってきたのだ。それは、煙幕用の使い捨て魔具だ。倉庫に放置されていた物で、撹乱や撤退の時などに使用する物だそうだ。今回の作戦では色々と使えそうなので、持ってきていた。


「オークリーダーが居るので、効果は薄いかもしれませんが、使おうかと思っています。最悪は離脱の時だけでも使えるかと」


「そうじゃな。使用は広坪の判断に任せるのじゃ」


「了解です」



 簡単な作戦を立てた俺達は、オークの群れへ向かい、陣形を整えて、オークに対して攻撃を開始する。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ