オーク前衛
オークの先頭集団二組の内、その一つを殲滅した。100匹の群れだったが、無傷の完勝だった。
俺達はもう一つの先頭集団が居る東へと向かった。
偵察してから、一つ目の先頭集団を殲滅したが、戦闘と事後処理もそれほど時間をとられなかったので、二つ目の先頭集団の位置が予想できた。
それに、戦闘でオークの攻撃受けてみて、それほど問題にはなるようなものではなかったので、殲滅時間をさらに短縮すべく、全力攻撃できる陣形で当たってみる事にした。
二つ目の先頭集団は、予想通りの位置に居たので、オークの群れを発見した瞬間に、俺と精霊トリオは群れへ突撃した。
と、言っても、俺のゴーレムの方が足が速いので、俺だけ突出した形になるのだが、これは予定通りの行動になる。
精霊トリオは戦闘用ゴーレムを率いているので、俺より遅れながら、横一列で突撃している。
俺の役目は、オークに気付かれながらも、いち早く突撃し、先制攻撃を仕掛け、敵に突撃をさせないことだ。まぁ、強襲して、注意を引くだけなのだけだ。
俺は盾を構えて突撃する。今度は剣を構えず、とにかくオークの群れへ突進をし、そのまま突っ込んで行き、群れを突破した。これも、予定通りの行動になる。
オークの群れを盾を構えて突破した俺は、振り返り群れを見る。すると、ほとんどのオークが俺に注目していた。そして、俺に遅れて突撃してきた精霊トリオと戦闘用ゴーレムが群れへ突入し、攻撃を開始した。
俺に注目していたオーク達は、後ろから奇襲された形になり、一瞬で20匹近くが倒された。そして、反対側に居る俺は、盾と剣で攻撃を開始した。これで、一応挟撃の形になる。さらに、オシホ様率いる作業用ゴーレムが精霊トリオの後ろに展開し、弩を放ち始めると、瞬く間にオーク達は倒されていった。
戦闘開始から殲滅まで、五分とかからなかった。全力攻撃とは言え、なかなかの殲滅スピードだと思う。
まぁ、馬鹿なオーク相手だからハマった作戦だったと思う。
作業用ゴーレムが、矢と魔石を回収してる間に、集まって話し合う。
「ここまでは問題は無かったと思うのですが、オシホ様から見てどうでしたか?」
俺の視点からしたら、特に問題は無かったと思うが、全体を見ていたオシホ様にも確認する。
「うむ。皆素晴らしい動きじゃった。あの程度の数ならば、先程の様に散開して攻撃した方が効率的じゃな」
オシホ様から見ても問題は無かったみたいだ。
「それなら良かったです。それでは、次はどうしますか?俺としては、このまま攻撃したいと思うのですが?」
予定では、先頭集団でオークの強さを計り、今後の行動を判断をすることになっていた。次は、なにしろ500匹の群れになる。
アインとドライの偵察により、発見したオークは三千以上居ると分かっている。
オークは、発見当初は10匹の小集団で動いていたのだが、偵察中にアイン指揮下の戦闘用ゴーレムが発見されてしまった事があった。その時は接触を避けて、無事に離脱に成功したが、次に偵察したときには、今の様な群れの形になっていた。
まぁ、そのお陰で数を把握しやすくなったので、これはこれで良かったと思う。
今の陣形になってからも、偵察を重て、陣容は把握している。
100匹の群れが五つ、500匹の群れが三つ、そして本隊だ。本隊は1000匹以上居ると思われ、詳細は不明。
本隊には、詳細に偵察できていないが、ノーマル以外のオークと思われる個体が複数確認されている。二回りは大きいオークも確認されていて、それがオークジェネラルでは無いかと思われる。
そして、本隊の前と左右に500匹の群れが配置されていて、前の群れは横長に、左右の群れは縦長な陣形になっていて、本隊への侵攻を防ぐ肉壁の様になっている。まぁ、距離はある程度離れて居るので、各個撃破は可能だと思う。さらに、この群れには、一回り大きなオークが確認されていて、これは、オークリーダーだと思われる。
最後に、俺達が殲滅した二つの先頭集団は、外周に配置された100匹の群れで、残りは、本隊の後方と左右に配置されていて、左右は500匹の群れの外側に配置されている。そして、この群れはノーマルなオークしか確認されていない。
二つの先頭集団を殲滅した事で、最前衛になった500匹の群れに、攻撃を仕掛ける事を俺は提案した。
二回の戦闘で、オークの強さは分かった。作業用ゴーレムでは、オークの攻撃に負けるかも知れないが、戦闘用ゴーレムや精霊トリオのメイド型戦闘用ゴーレムならば多少攻撃を受けても問題ない事が分かったので、強気に出ても良いだろうと思ったからた。
「そうじゃな。これなら、問題は無いじゃろう。じゃが、偵察はする。先頭集団を二つとも殲滅したのじゃ、何らかの変化があるかもしれぬでな」
「分かりました」
「では、偵察を頼んだぞ」
オシホ様の言葉で、アインとドライが偵察に出た。
俺は気が急いていたのかもしれない。ルティリアさんに迫る驚異を少しでも早く排除したいが故に。
急いては事を仕損じると言うし、慎重にいこう。
「広坪よ、少し休むが良い。アインとドライか偵察から戻るまで時間があるじゃろうからな」
「はい、そうさせてもらいます」
俺はゴーレムから降りて、休憩する事にした。
降りると寒さを感じるが、防寒着を着ているので、そこまで寒気はない。雪もチラホラとしか降っていないので、それほど気にならない。
今回は、作業用ゴーレムに馬車やソリを引かせていないが、荷物運搬用に背嚢、バックパックを背負わせて来てきている。矢などのが入っているが、基本的にオークの魔石を持ち帰るためだ。だが、一体には、昼食や休憩用に色々持たせてある。
ツヴァイが作業用ゴーレムのバックパックから、折り畳み式の椅子を取り出し、戦闘用ゴーレムによって、踏み固められた雪の上へ設置する。
俺は、設置された椅子に座り、小型の保温用魔具から木製コップに紅茶を入れてもらい、一口飲んで、一息つく。飲んだ紅茶が、お腹でじんわりと暖かい。
少し落ち着いたので、オークについて考える。
オークの強さは、俺達が予想した中で一番弱いものだった。一般的な兵士と同じ程度で、力が強いとの話だったが、ゴーレムの防御の前には意味が無かった。それに、頭が弱すぎる。一般的な兵士並の驚異との話しだったが、これは、身体的なものだけだった。
ただ、次は500匹になる。100匹と比べて5倍だ。一斉に襲いかかられたら、前衛の俺達を無視して、後衛の作業用ゴーレムに襲いかかられるかもしれない。そうなると、オシホ様とオシホ様指揮下の戦闘用ゴーレム2体だけでは守れないだろう。
なので、対処方法は二つある。
一つ目は、作業用ゴーレムの切り離しだ。最初から、作業用を離れた場所で待機させて、戦えば、作業用ゴーレムに被害が出る事はないだろう。
二つ目は、作業用ゴーレムを守りながら戦えば良いのだ。極端な話し、全戦力で作業用ゴーレム囲みながら戦えば、作業用ゴーレムは大丈夫だろう。
まぁ、どんな作戦をとるかは、偵察の結果次第になる。今はゆっくり紅茶を楽しむ事にする。
紅茶を二杯飲んで、催し、用を足して、ゆっくりしていたら、アインとドライが戻ってきたので、皆で報告を聞く。
「オークに変化ありませんでした!」
「陣形、数、様子共に変化無し」
アインとドライが報告を聞く限り、オークに変化は無いみたいだ。外周に配置されている100匹の群れが二つも殲滅されたのに、なんの変化も無いとなると、情報が行っていないみたいだ。まぁ、速攻で殲滅したから、なのかも知れない。
なんにしても、前衛の群れには変化が無い事が分かった。今も横に長い陣形で北上している。
「うむ。では、前衛にも攻撃を仕掛ける事にする。どんな作戦で攻撃するか、じゃが、何か意見はあるか?」
「あの、俺が中央に突っ込む作戦が良いです」
オシホ様が攻撃の意思を固め、作戦決定するために、意見を聞いてきたので、俺は実行したい作戦を伝えた。
中央に突っ込む。これだけで大体の作戦は分かるはずだ。事前の作戦案の中には、俺が中央に単独で突っ込む物もある。オークが弱い想定で、殲滅効率が高い作戦の一つだ。
「ほう、確かに行けるだろうが、何故、それを選んだ?」
「この作戦が最も効率が良いと思ったからです。この作戦ならば、オシホ様も直接戦闘に参加できますし、いかがでしょうか?」
「ふむ。確かにな。後方で見ているだけ、というのも飽きたしの。問題も無いじゃろうし、それでいくか」
オシホ様が認めて下さったので、早速皆が準備をしだしたので、俺もゴーレムへと戻る。
オークの群れが見える位置まで来た。
俺は、単独で敵の正面方向の木に隠れている。4mと巨大なゴーレムだが、少なくとも気持ち的には隠れてるつもりだ。
オーク達はまだ俺に気付いていない。他の皆も、そろそろ配置に着く頃だ。俺の突撃が合図になり、作戦が開始される。
俺は深呼吸をして、オークへ突撃した。当然、オーク達は俺に気付くが、とにかく、中央の指揮個体と思われる、一回り大きなオーク、オークリーダーに向かって突進をする。
これは、二つ目の先頭集団を殲滅した時同様に、俺に注意を引くための行動になる。
俺の突撃を見たオークリーダーは、鳴き声を上げながら、指示をしているみたいだが、ほとんどのオークが俺に注目している。4mもあるゴーレムが突撃してくるのだから、当たり前だな。
俺が突撃したのを確認した皆も、今頃突撃しているだろう。
オシホ様は、アインとドライを連れて、敵左翼、俺達から見たら右側の端のオークに突撃したはずだ。
これは、一つ目の先頭集団にした攻撃を、俺とツヴァイを抜いて、代わりにオシホ様が入って行っている物だ。
オシホ様とアイン、ドライが戦闘用ゴーレムを率いて、敵を攻撃し、それを作業用ゴーレムが弩で援護する形だ。
そして、オシホ様達にオークが集中し過ぎない様に俺とツヴァイが居る。
俺は中央に突撃したので、中央と敵右翼が俺に群がって来るだろう。俺はそれをひたすら引き付ければ良いので、オークリーダーに突撃をしている。
ツヴァイは、中央と敵左翼の中間に突撃を行い、オシホ様達にオーク達が行きすぎない様にする、第二の足止め役になる。
作戦は、俺とツヴァイが敵の注意を引き、端から殲滅作戦だ。これなら、作業用ゴーレムも比較的安全に戦闘に参加出来るし、アインとツヴァイの攻撃力も発揮できるたろう。
後は、オシホ様達が敵左翼を殲滅するまで、中央で大暴れしていれば良い。
俺は、敵中央に突撃したので、既に、オークに囲まれている。なので、盾を構え、オークを押し退けながら、時計回りに移動しながら、左手の大剣でオークを斬り倒して進んでいる。
オークの群れの中に居るので、できるだけ攻撃を受けない様に行動をしているつもりだが、四方八方から攻撃をしてくるので、当然いくらか攻撃を受ける事になる。だが、ブラックベアーに比べたら大した事は無く、もう、あまり防御を意識しなくても言い様な気がしたので、盾と大剣を大きく振り回し、オークを蹴飛ばしたりしながら、群れの中で大暴れだ。
四方八方をオークに囲まれるのは気分が良いものじゃないが、無双はなかなか楽しい。でも、まぁ、生身では、こんな状況にはなりたくない。生身ならきっと恐怖に負けて、まともに戦えないかもししれない。4mの搭乗型ゴーレムに乗っているからこそできる芸当だ。
戦い始めて、どのくらい経ったかわからないが、周りのオークが半分ぐらいになったかな?と思っていると、オシホ様達が合流してかた。
まさに、破竹の勢いで、オークを殲滅しながら、オークリーダーの元へ向かっている。
俺は俺で、周りのオークを片付けていたら、オーク達の俺に向かってくる圧力が弱まったと思ったら、ツヴァイが援護に来てくていた。
それから間も無く、オシホ様によって、オークリーダーが討たれ、他のオーク達も全て倒し終わった。
オーク500匹の群れを殲滅し終わったので、皆で集まる。
「楽しかったのじゃ!」
オシホ様が機嫌が良さそうに合流してきた。オシホ様の戦闘を見たが、率いていた戦闘用ゴーレムと作業用ゴーレムと緊密に連携しながら、オークを殲滅していた。
オシホ様が、オークの足を攻撃し、怯んだところを戦闘用ゴーレムが殴ってトドメを刺していたのだが、その殲滅スピードが尋常ではなく、アインやドライに比べて、かなり早かった。なので、作業用ゴーレムはアインとドライを中心に援護していたが、距離が近かったので、オークの頭を撃ち抜きまくっていた。
「それは、良かったです。この後はだうしますか?」
「もう昼じゃろうし、魔石と矢の回収が終わったら、一度下がって広坪の昼食じゃな、その間に本隊の偵察をしてから判断する」
「了解です」
作業用ゴーレムにより、魔石と矢を回収し、北西へ移動した。




