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オーク

 




 報告の後、求婚の件について、全てを吐かされ、しかも、同じことを何度も聞かれ、答えさせられた。


 俺に抵抗する術は無く、深夜まで続き、オシホ様が止めてくださらなければ、永遠に続いていたかもしれない。オシホ様には深く感謝しなければならない。原因がオシホ様であったとしても、だ。





 翌日は、俺の休息日になった。護送と報告後の詰問による疲労故だ。


 アリストラさん達は、魔力範囲外活動用のゴーレム達の整備と再調整を行っていた。


 ルティリアさん達を護送する時は、増槽を無理矢理くっ付けただけなので、短時間で済んだが、細かい調整などで、二日かかってしまった。だが、活動時間が二割ほど延ばす事に成功した。


 これで、連続戦闘可能時間が14時間以上、通常行動なら29時間近く可能になった。




 こうして、帰還してから三日目には偵察行動に出ることができた。



 偵察一日目と二日目は、詳細な地形の確認だけで終わった。


 モンスターが一匹も発見できなかったそうだ。オークは勿論、ゴブリンや他のモンスターも一切居ないそうだ。


 一日目近場のみだったが、二日目の広範囲でも発見できなかったので、ゴブリン北上の余波であると考えられた。



 三日目は、とにかく南下し、モンスターを発見することを優先した結果、ゴーレムで6時間ほど南下した地点で、オークを発見した。


 10匹の群れが12組確認され、10匹という定数の群れである事、ある程度統率された動きから、指揮個体の存在が居る可能性が高い。



 四日目以降も偵察を行い、オークの群れの調査や、他のモンスターの探索をした。




 そして、度重なる偵察の結果、ルティリアさん達を聖堂院へ護送してから、半月が経った今、皆で会議を行う事になった。


 いつもの会議室に俺、アリストラさん、オシホ様、精霊トリオが集まっている。


 進行のアリストラさんから話し出す。


「では、まず、偵察の結果を確認します。ここから南を中心に偵察を行った結果、オークの群れを発見。数は三千以上になります。そして、オーク以外のモンスターを発見することはできませんでした。また、オークの統率具合から、オークジェネラル以上の個体が居る可能時間が極めて高いと思われます。そして、群れの行動ですが、雪に阻まれていますが、徐々に北上しており、あと6日程で我々の居る地点まで北上する事が予想されます」


 そう、アリストラさんの予想があたっていたのだ。地域中心部から見たら、ここは端になる。そんなところに、三千ものオークが居るのは異常事態になる。まず、オークキングが居ることは確定的になったと言える。


「それで、今後の方針ですが、ここはまず安全です。あの程度の群れに侵入されることはありませんし、もし、侵入されても大丈夫です。なので、無視する事も可能です。いかがなさいますか?」


 アリストラさんが、俺を見ながら聞いてくる。


 答えは決まっている。オークの群れの北上を見逃せば、ゴブリン同様に聖堂院へ向かうだろう。そうなれば……。


「ルティリアさん危険にさらしたくありません。殲滅を希望します」


「分かりました。殲滅方法はどうなさいますか?攻撃か、迎撃か、どちらになさいますか?」


「雪上装備のテストも兼ねて、狩りに行きましょう。ここからゴーレムで3時間もあれば行けますし、どの程度の強さなのか、実際に戦ってみたいです。場合によっては、何らかの対策を立てる必要があると思います」


 オークとはまだ戦闘をしていない。どの程度の強さなのかによって、対応が変わる。


 戦闘用ゴーレムで問題なく倒せるなら、なんの問題も無い、だが、苦戦、もしくは、勝てない、となると、対策が必要になる。


 それに、初の本格的な雪上戦闘で、初めての相手だ。試してみる必要がある。



「分かりました。オシホ様はどうですか?」


「ワシからは特に無い。広坪に従おう」


「では、装備を整えて、明日攻撃をしに行くということで良いですね。それでは、どの程度の戦力で攻撃をしますか?」


「そうですね……。ルティリアさん達を護送した時の編成で行こうかと思います。オシホ様にもお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」


「それは良いが、護送と同じ編成ということは、作業用ゴーレムも編成に入れるのか?今回は馬車やソリを使うわけではあるまいに」


「魔石回収もありますが、作業用ゴーレムに弩を装備させて使ってみようかと思いまして、駄目でしょうか?」


 遠距離攻撃用装備として、弩を武器庫から引っ張り出して、戦闘用ゴーレムでも使えるように改良しようとしたのだが、装填に問題があり、弩を自動装填できる様に本格的な改造を考えたのだが、作業用ゴーレムならそのままでも使えるんじゃないかと試してみたところ、多少苦労はしたが、問題なく使えた。なので、操作がしやすいように、弩を少し改良するだけで、楽に使える様になった。


 これで、作業用ゴーレムも戦力に数える事ができるし、戦闘が楽になると思う。


「いや、面白いのじゃ、試してみるのじゃ」


 オシホ様も認めてくれた。もし使えるなら、戦力的には大きくプラスだ。


「それでは、編成は護送の時と同じですね。それでは、聖堂院への警告はなさいますか?」


「必要だとは思うが、一度戦ってみてからでも良いでしょう」


 早く知らせた方が良いとは思うが、俺達がどの程度対抗できるのか、何ができるのか、分かってからの方が良いだろう。


「そうですね。そうしましょう。では、明日の戦闘次第ということで、良いですね?」


「それでお願いします」


 この後、オークの行動予測や、戦闘方法など、様々な想定の元、対応策を検討して、解散した。







 こうして、明日にはオークに攻撃を仕掛けることになった。


 俺は、この半月は、雪上装備のテストを中心にしながら過ごしていた。ルティリアさん達を送った時はそれほど積もっていなかったので、ぬかるみ程度であまり問題にならなかったが、今は雪が1m以上積もっていて、行動に多少の制限がかかっている。


 戦闘用ゴーレムやメイドゴーレムの移動に関しては、アインとドライが偵察の過程で、現在の雪上装備で問題ない事が確認されている。



 俺の搭乗型ゴーレムは4mあるので、1m程度の雪はそれほど問題にはならなかったが、多少改良された。


 コックピット周りが改良され、防寒着を着た状態でも快適に乗れる様にされ、クッション性の向上、夜間用の明かりも強力なのに交換してある。さらに、一応ではあるが、ロックバレットを発射できる魔具を一つだけ左腕に取り付けた。



 会議の後は、防寒着を着て軽く戦闘訓練をした。訓練後は明日へ向けて、十分に休む事にした。





 翌日、午前8時、厚い雲で薄暗く、雪が小降りの状態で研究所を出発して南下した。


 編成は、俺の搭乗型ゴーレムが1、オシホ様と精霊トリオのメイドゴーレムが4、戦闘用ゴーレムが8、作業用ゴーレムが6の19体での出撃になる。


 装備は、俺が大剣とタワーシールド、アインが大剣、ツヴァイが片手剣と丸盾、ドライが双剣、オシホ様が片手剣のみになっている。そして、ロックバレットを各員が装備している。


 作業用ゴーレムは、弩を装備している。


 戦闘用ゴーレムは、素手だが、腕自体が武器として使える。




 二時間ほどは、俺のゴーレムを先頭にして森沿いを南下した。


 オークは、南の森の中に居ることが分かっている。なので、森沿いを南下しているが、この森は、大山脈沿いに広がっていて、南下すればするほど幅を広げていく、だが、大山脈は南東に続いているので、森沿いに進めば、ほぼ真南に行くことができる。



 俺のゴーレムほ4mと巨大なため、雪を踏み固めて、道を作りながら南下していた。



 こうして、二時間南下したところで、アインとドライが、先行偵察に出た。


 そして、30分ほど南下した頃に、アインとドライが戻って来た。


「オークの先頭集団発見」


 ドライがオークを発見してきた。


「数は100、方向は南東方向」


「もう一つ東に同じく100のオークを確認しました!」


 ドライに続き、アインもオークを発見してきていた。これは、事前の偵察で、ここ最近になってから、先頭集団が100匹の群れとなり、それが二組ある事はわかっていた。


 オーク達は当然森の中に居るが、この森は木の密度が薄く、見通しが利くので、弩もある程度は使える。なので、予定通り、一番近い先頭集団に攻撃を仕掛ける。



 初めて戦う敵なので、分散はせず、一塊になって攻撃をする事を事前に決めていたので、俺達は陣形を作って真っ直ぐ一番近い群れへ前進する。


 陣形は、防御力の高い俺とツヴァイを中心にして、右にアイン、左にドライ、そして、後方にオシホ様という陣形になる。




 森の中を進んでいると、オークが見えた。


 情報通り、少し大柄な人程度の大きさで、肌は緑色、体毛は無く、武器はこん棒だ。


 100という数はなかなか多く見える。



 俺達がさらに接近すると、オーク達も気付き、こちらへ無秩序に突撃してくる。


「よし、全員構え!」


 オシホ様の号令の元、全員が武器を構える。


 オークが弩の射程に入った所で、弩を一斉射する。矢は先頭を走るオークの足に当り、矢の当たったオーク達は転んで、後続を巻き込む。


 足に当てたのは、転ばせるためでもあったが、急所に当てて殺してしまうと、魔物であるオークは、魔石を残して、黒い霧になって消えてしまう。そうなると、突撃の勢いを削げないので、わざわざ足を狙ったのだ。


 弩の一斉射を受けて、転んだオークによって突撃の勢いは削がれた。この隙に俺達も突撃して、オークに攻撃する。


「おおっ!」


 俺のゴーレムの方が足が早いので、気合いを入れながらオークの群れへ最初に突入した。大剣をオークの首の高さで力任せに横に振る。思っていたよりも上手く当てることができ、4匹まとめて倒せた。


 そこへ精霊トリオが戦闘用ゴーレムを引き連れて突入し、全員が順調にオークを屠っていく。


 オークは、ゴブリンよりは手強く、一体を倒すのにそれなりに手間取る。だが、それでも順調に倒せ、弩の援護もあり、10分程で殲滅でき、こちらの被害は皆無だった。



 オシホ様が作業用ゴーレムに魔石と弩の矢をを回収させる。雪に埋まって分からなくなるかと思ったが、魔石の魔力を感知でき、矢も鉄を感知できるので、全て回収できた。




 皆で集まり、オークとの戦闘について、話し合う。


「広坪よ、最初の一撃はなかなか良かったぞ」


 オシホ様に、オーク4匹をまとめて倒した一撃を褒められる。


「ありがとうございます。自分でも思っていた以上良い一撃が出せました。オシホ様指揮下の作業用ゴーレムの矢が、オークの頭に刺さるのを何度も見ました。なかなか使えると思ったのですが、どうでしたか?」


 俺の発案での事なので、成果が気になる。


「うむ。なかなか良かったのじゃ。精度もそれなりじゃし、威力もオーク相手ならばなんの問題も無いじゃろう。ただ、作業用ゴーレムの目の性能がもう少し高ければ、制度はかなり上げられそうじゃ」


 そうか、作業用ゴーレムの目か、狙撃用に調整すれば、さらに命中精度を上げられるのか、そらなら十分使えるな。


「それなら、良かったです。皆はどうでしたか?」


 精霊トリオにも聞く。



「大剣で一刀両断にしてやった!」


 アインが元気よく報告してきた。俺は、アインがオークを縦に一刀両断してるのを目撃した。ゴーレムなので、力はあるのだが、正直、縦に割る必要性を感じなかったが、アインがうれしそうなので、これはこれで良いのだろう。



「盾での防御は質量差があるので大変です。攻撃は、急所を攻撃すれば楽でした」


 ツヴァイは、俺の一番近くだったので、盾で防御して、オークの手足を攻撃して、体勢を崩させてから、急所を突き刺していた。確かに、盾で防御した時に体が後ろにずれていた。ゴーレムとは言え、細身のメイド型なので、質量差で負けるのだろう。



「首」


 ドライの報告は極めて短いが、意味は理解できた。ドライは、飛び跳ねながら、オーク首をはねていた。



 戦闘用ゴーレムは、オークに攻撃されても、ものともせず、攻撃していた。頭や胸を攻撃していて、一撃で倒せていたので問題は無いと思う。




 まぁ、問題ないという事で、もう一組の先頭集団を攻撃しに向かった。




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