表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/236

ルティリア

ルティリア視点です。

 




 私の夫、亡くなった夫はイグリード商会の先代当主。

 夫とは、家の決めた結婚で、あまり夫婦仲は良くなかった。結婚してすぐに子供を3人生んだが、娘ばかりで、それからは夫の私への興味がさらに薄れ、夫婦という同居人になり、一従業員の様な扱いになった。

 後で知ったのだが、夫は男色家で、女に興味がなかったのも原因だった。

 夫も家のために結婚し、子供を作ったのだ。娘しか生まれなかったが、一応の義務は果たしたと、自分の趣味に走ったのはしかながないと思うし、その事に不満は無い。

 多少風当たりは強くなったが、好きでもない夫のと一緒に居なくて良くなり、代わりに娘達と一緒に居る時間が増えて、とても良かった。

 そして、夫は三年前に先々代共に事故で亡くなり、今は夫の弟のグレントがイグリード商会の当主になっている。



 グレントは当主になってから、私に手を出してきたが、なんとか魔の手から逃げれていた。


 これには、ご近所さんの情報網が役立った。

 私は商会に出入りもしていたので、色々と知ることができ、その情報を使いご近所さんと仲良くしていた。

 主婦は色々な物を見て、お喋りが好きだ。その話を聞くだけで、色々な事を知れるし、分かることもある。


 逃げるには家を出れば良いのだが、未亡人でる私では子供を3人抱えて暮らすのは難しい。

 家を出ても暮らしていけるように準備は進めていたが、子供達のために諦めるしか無いかと思っていのだが、領都に支店を出して、しばらくしたら、必要最低限しか干渉して来なくなった。

 商会の仕事が忙しいのかとも思ったが、経営は悪化してるように見えた。

 諦めたのかもしれないと、一応警戒するだけにして、普通に暮らした。




 私の実家は騎士爵家だった。

 村を幾つか持つだけの小さい領地だったのだが、上手く治めていたと思う。

 私が商会に嫁いでから関係が強化され、それなりに発展していたのだが、父が五年前に病死したことで、隣の騎士爵家が領主代行になった。


 妹のマリーディアが婿を貰い、家を立て直すまでのはずだったのだが、領地が思った以上に潤っていたので、手放したくなくなった隣の騎士爵家がマリーディアに結婚を申し出たが、それを拒否、それれから隣の騎士爵家の妨害がはじまり、結婚出来ないでいた。


 それでも、商会の援助があり、なんとか家を保っていたが、三年前に夫が亡くなり、援助がかなり絞られた。

 ここ最近は、村にも嫌がらせがあるようになり、村人との関係も悪化しいった。


 妹とは、年に一度の両親の墓参りで村へ帰る時にし会えない。

 いつも、街に迎えに来てくれるのだが、今年は雪が早く降ると察知した妹は、いつもより早く迎えに来てくれた。


 妹とは、街で買い物をしている時に会った。

 話もそこそこに、先に商会の当主であるグレントに挨拶をさせに行かせた。




 そして、妹がグレントと領都支部を任せている部下との話を聞いてきた。




 話からすると、この地域の管理者である。子爵家に娘共々売り飛ばされるみたいだ。


 子爵は女好きで有名で、あちこちから誘拐同然に女性を集めている。

 噂では、部下に盗賊のふりをさせて、商人や旅人を襲い、女性を拐っているらしい。娘を匿った村が丸ごと焼かれたなんて話もある。

 その噂のせいかは分からないが、王都から代官がきたりしていて、この街代官も王都から派遣された女性だ。




 話を聞いた私は、即座に逃走を決意した。


 逃避用にお金を用意していたが、心もとない。だが、妹が大金を持っていた。

 村を出る決意をしていたようだ。残念だが、仕方がないとも思う。

 今年は不作で、妹の所は溜め池などの対策がしてあったので、それほどでもなかったが、他の領地や隣の騎士爵家は酷かったらしく、かなりの収穫物を持っていかれたとの事で村人との関係がさらに悪化し、それが決定打になったみたいだ。



 逃げる先は、以前から候補地は探してた。ただ、今回は時間がない。

 東は魔境、西は領都、南は他国、北は大山脈。

 東は、はじめから選択肢にない。

 南は他国で、出入国には手続きが必要、今回は時間がない無い。密入国もできるかもしれないけど、危険が大き過ぎる。

 西は領都、普通ならこちらに逃げるしかない。だが、今回の件は領主が関わっている可能性があるので、待ち構えられる可能性がある。さらに、盗賊の事もある。護衛を雇いたいが、大々的に動けば、逃走を察知されるかもしれない。



 残るは北だけ。北は大山脈になっているが、その麓にはアリストラ聖堂院がある。

 アリストラ聖堂院は王国から独立した組織で、シリトゥエラ聖堂協会の勢力下にある。

 そして、女性が最後に逃げ込む場所で、困っている女性を助けてくれる。

 勿論無条件ではない。アリストラ聖堂院は三つの地域の境界にあり、その立地上モンスターとの戦いが多い。なので、モンスターとの戦闘や、騎士団員のお世話などがある。

 この騎士団は、アリストラ聖堂院が女性の聖地なので、女性しか居ない。なので、アリストラ戦乙女騎士団と呼ばれている。

 モンスターとの戦闘の多さから、精鋭との噂だ。聖堂院周辺のみならず、隣接する地域にも突入し、モンスターを狩っているそうだ。なので、アリストラ聖堂院の周辺は街道より安全と言われている。


 つまり、逃げる先はアリストラ聖堂院しかない。



 逃げる決意をした私は、妹に北へ逃げる事を伝え、逃走の準備をしようとした。お金は貯めてあるが、北へ行く準備のためには心もとない。

 多少危険でも家財を多目に売り払うしか無い。と、思っていたのだが、妹が大金を持っていた。

 妹は村を出る決意をして、色々整理したお金らしい。妹の好意に甘える事にした。

 良い妹を持ったが、この恩、返せるだろうか……。


 今は逃走の準備だ。幸いに、馬車と馬のあてはある。ご近所さん情報網の成果だ。

 妹も協力で準備は着々と進んだ。馬車と馬を元商人から、夜営の道具も安く買えたのは幸運だった。

 他にも防寒具や矢など、必要そうなものをお金の許す限り準備した。

 ただ、食料は、不作の影響で値上がりしていて、お金をかなり使った。



 こうして準備を終えて、妹が今来たという呈で迎えに来て、無事に街を出た。

 門で多少のやり取りはあったが、村からの買い出しということで、怪しまれずに済んだと思う。





 街から上手く脱出し、北へ向かっている。

 娘達に逃げる事については、以前からそれとなく言ってあったので、今回の様に急な逃走となったが、それほど驚いては居ない。

 ただ、一週間の旅になるので、その間の夜営などが心配だった。私と妹はそれなりに馴れていたが、娘達は初めてなので、どうなるかと思ったのだが、拍子抜けするほど、大丈夫だった。

 御者などの練習をしながら、北へ順調に進んだ。



 7日目の朝。

 ここまで、特に問題も無く来れた。アリストラ聖堂院には今日のお昼過ぎぐらいには、着ける予定になっている。


 心配だった追手も無く、目的地目前になったからと、油断はして無かったと思う。

 突如、熊の魔獣、ブラックベアーが現れ、街道からそれてしまった。

 妹が御者をしていたのだが、妹を責められない。妹の咄嗟の判断で捕まらずに済み、逃げる事ができているのだから。


 逃げ始めてすぐに、妹と御者を代わった。妹が弓でブラックベアーを牽制するためだ。

 妹が熊の顔に矢を放ち、牽制してくれてるので、まだ捕まっていないが、そろそろ馬が限界だ。

 全速力で走らせている。ここまでの旅でそれなりに荷物は軽くなったが、まだ食料を多く乗せ、私達も居る。そろそろ駄目だろと思っていたら、前方の森から土魔法のロックバレットが飛んできた。


 森を見れば、ゴーレムが見えた。人とそれほど変わらない大きさに見える。

 ゴーレムが再びロックバレットを放つが、ロックバレットは私達の馬車には当たらず、ブラックベアーを狙っている様だ。

 だが、ゴーレムがこちらを攻撃しないとは限らないし、森では馬車は走らせられないので、そのまま馬車を走らせる。


 丘があり、避けるように移動したが、丘の影になり、ゴーレムからの攻撃が無くなる。と思っていたら、岩が見え、急いで避けようしたが、馬車が横転した。してしまった。


 私は、馬車から投げ出されたが、なんとか無事だった。この魔法のローブのお陰だろう。

 娘達と妹は?!と慌てて馬車を確認しようとしたら、ブラックベアーの叫び声がし、何かに向かって突撃した。

 ブラックベアーはゴーレムに突撃をし、ゴーレムもブラックベアーに突撃をしていた。

 このゴーレムは先程のものとは違い、私達の倍以上あり、盾と剣を持っている。


 ひとまず、ブラックベアーは大丈夫なので、娘達と妹を確認する。

 妹が咄嗟に娘達を庇ってくれたらしく、娘達は無事だった。だが、妹は、腕を骨折してるみたいだが、命に別状は無い。


 妹は、自分を置いて逃げるように言うが、娘達が離れようとしない。私も置いていきたくない。

 ゴーレムが弾き飛ばされるのを見て、あれが娘達だったらと思うと、手が震えだす。

 それからは、ブラックベアーとゴーレムの戦いを固唾を飲んで見守った。




 盾を持つ腕がもげた時はもう駄目かと思ったが、最後の一突きが口に決まり、ゴーレムが勝ったようだ。

 ブラックベアーを倒したゴーレムは、ブラックベアーの死を確認し、こちらへ向かって来る。

 思わず身を固め、娘達を抱き締める。



 ゴーレムは私達から離れた場所で止まり、声をかけてきた。


 ゴーレムが喋った?若い男性の声だ。

 思わず、妹と顔を見合わせる。

 取り合えず返事をする。離れているので、大きめの声で返事をした。


 返事をしたが、反応が無い。

 もしかして、人の声の真似をするモンスターが居ると聞いた事が……。と思っていると、再び話しかけてきた。

 考え事をしてた?近寄りたいと言うので、許した。


 半分ほどの距離で止まり、話しかけられる。

 私達がブラックベアーに追われてるのを確認して助けに来てくれたらしい。

 森に居たゴーレムはこのゴーレムの仲間だったのだ。




 実際に助けてくれたのて、感謝をする。若い男性が遠隔操作してるなら、妹や娘達が危ないかも知れない。先にお金で対価をと申し出たが、断られた。

 やはり、体を……と思い怯えてしまう。あのブラックベアーに勝つようなゴーレムに他にもゴーレムが居ることを考えると、逃げることも、抵抗することも、できないだろう。


 と思っていたら、否定してきた。

 話を聞かせて欲しい?

 こんなところに居るのだから、何か特別な存在に思われたか、別の誰かに間違われたのか、分からないが、人が知りたがる様な事は何も知らない。


 その事を伝えたが、普通の事を知りたいと言う。ますます分からなくなった。だが、山の中で暮らす世間知らずだと言ってくる。

 正直、魔境で暮らすなんて、かなり難しい。かなり、怪しいが、従うしか無い。


 そう思い、返事をしたら、妹の怪我に気付いたのか、ポーションを渡すと言ってきた。

 驚いていると、ゴーレムの手を背中に回し、少しすると、ゴーレムの手にはポーションが三本あった。


 再び近付く許可を求めてきたので、承諾するが、見るからに、高位のポーションだ。魔力が凄い。

 こんな高位のポーションの代金なんて払えるか分からない。それが声に出ていたのか、ポーションは口止め料だと言い、ゆっくり近付いてくる。


 ゴーレムの手には印のついたポーションが一本と無印が二本あった。

 印がついてるのが、上級だと言う。驚いたなんて物じゃない。上級は貴族様しか使えないような高価な物だし、製法が完全に秘匿されている物だ。王国にも数十本しか無いと言われる貴重品だ。

 魔力の程から本物だと思われる。


 それを、置いて下がるのだから、驚きだ。

 唖然としているとブラックベアーの死体の奥にロックバレットが撃ち込まれた。

 そちらに目を向けると、森からゴブリンが出てきた。

 それも、尋常では無い数だ。

 それを見て、私は血の気が引いていくのがわかった。

 あの数は無理だ。このゴーレムが味方してくれても、数が違い過ぎて私達は助からない。



 諦めそうになっていた時、ゴーレムが近付いて来て、ゴブリンが来て大丈夫な様にシェルターを設置すると言い、ゴーレムの腰に付けている何かを外し、地面に置くと、置いたものが膨らむ様に大きくなり、半球状の何かができた。

 たぶん、シェルターなんでしょう。高さは立ったゴーレムあまり変わらない。横幅は馬車より大きい。

 すると、ゴーレムが膝をついたかと思うと、人が降りてきた。

 遠隔操作じゃなくて、ゴーレムの中に人が居た。こんなゴーレムは聞いた事が無い。

 降りてきた男性は十代後半になったばかりの様な歳に見える。顔は悪く無い。少し好みかも知れない。


男性は、早口で説明して、輿に着けていたマジックバックを渡してから、ゴーレムの中に戻り、ゴブリンへと向かって行った。

それを呆然と見ていたが、ゴブリンが向かって来ている。助かりたい一心で、ポーションとマジックバックを持って皆とシェルターに入った。

中は広く、寝台に使えそうな台が三つあり他には説明のあった魔具とおぼしき物があったが、使い方が分からない。


それよりも、妹を台に寝かせ、ポーションを飲ませた。

印がついていないポーションを使ったのだか、あっという間に妹の怪我が治った。

まだ、違和感があるが、もう大丈夫みたいで、安心した。

もし、代金を要求されたら、私が……。



外の様子が分からない。

扉は鍵を閉めれるようになっていたので閉めた。

このシェルターは頑丈そうで、ゴブリンぐらいなら、十分に耐えられると思うのだが、不安だ。

一息ついたら、震動がする。地面が揺れてる?複数の重い足音みたいだ。

きっとゴーレムの仲間が来たのだろう。


震動がして、少ししたら、鍵が勝手に外れ、ドアが開き、ゴーレムに乗っていた、先程の男性がシェルターの中に入ってきた。



それから、色々話をしたのだが、普通の事が知りたいと言われた。もっと、こう、男が女に要求する様な、いやらしい要求がくるかと身構えて居たが、その心配は必要無さそうだった。

彼は、ほとんど目を合わせなかった。やましい事がある……というよりは、本当に人馴れしていないようで、こちらを不安にさせない様に必死に言葉を選んでいる様に見えた。


そして、雪が降り始めたのを知った。

彼に、なんとか聖堂院へ連れていってくれないか、交渉した。

私の全てを対価にしてでも……。と覚悟したのだが、できるか分からないと言われ、途方にくれそうになる。



そんな時、再びドアの鍵が外れ、誰かが中に入ってきた。

仮面を付けた、とても偉そうな金髪メイドだ。

彼の態度から、本当に偉いのだろう。

仮面で顔は分からないが、とても美人な雰囲気がする。



外に出れると言うので、妹に手を貸しながら外に出た。

ゴブリンの姿は無く、ゴブリンの物と思われる、魔石がそこらじゅうに落ちていた。

そして、回りにはたくさんのゴーレムが居た。

あんなに沢山のゴーレムが居るなんて、相当に高位な土の魔法使いが居るのだらう。

そして、本当に雪が降ってる。


なんにしても、馬車を確認しなければ……。

馬車は車軸が折れ、使い物にならない事がわかった。

修理はとてもじゃないが、無理だ。

こうなると、彼を頼るしか生き残る道は無い。


それから、先程とは別の仮面付き金髪メイドさんが来て、話し合いの結果、聖堂院まで送ってもらえる事になった。

出発はあすなので、彼の拠点に案内されることになった。

荷物があっという間に運ばれ、私達は身軽な状態で森へ入った。

森の入り口には、また金髪仮面付きメイドが居た。今度は三人だ。合計で五人。

金髪が……好きなのなか?私と娘二人も金髪だ。


森を抜けて洞窟に着いた。

中に入り、少しすると、人工の建物があった。大きく広い。

通路は大きなゴーレムがすれ違えるほどあり、かなりの大きさみたいだ。

そして、明るい。魔具が贅沢に使われ、地下なのに昼の様に明るい。


食堂へ案内され、食事をとった。

温かく、美味しいシチューだった。

それから、客室に通されたが、とても大きく、皆で寝れる寝室があった。

私達の荷物が全て置かれていて、気遣われたのだろう。


娘達は、安心と満腹で、ベッドで寝てしまう。

私は妹と今後について、話をした。


ただ、あまり、意味は無かった。

ここは彼らの拠点で、ゴーレムも信じられないほど沢山居るので、私達ではどうのしようもない。

彼らの意思次第になる。

もし、体を求められたら、断る術がない。

せめて、私だけで済んでくれたら……。親子だと告げたとき、驚いていたので、私みたいな年増でも、なんとかなるかも知れない。



彼らが善人であることを祈ろう。




可能な限り、女性な感じにしたつもりですが、これが限界でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ