救援要請
昨日のPVが1,000を大きく突破しました!
やっとですが、登場人物の分もあると思うので、改めて一日のPV1,000突破を目指したいと思います。
新たに評価ポイントを頂きました。
文章8、ストーリー9でした。
二人分だったので、記念の5、5と3、4なのだと思います。
高評価なので嬉しかったです!
ありがとうございます。
そして、明日の投稿は難しそうです。
申し訳ありません。
研究所
変態になった翌日、ルティ達に報告をした。
画策していたルティは勿論、皆が祝福してくれて、俺に四人目の妻が出来た。
まだ奴隷だからと、ステラが側室か愛人でと言ってきたが、手放すつもりは無いと言って、無理矢理妻にした。
無理矢理妻にした、という表現では、かなり語弊があるが、ステラは喜んでくれていたと思う。
それから、ステラさんからステラ呼びになった事と、ステラが僕っ娘に戻ったのは、昨夜の俺の成果だ。
そして、俺は搭乗型ゴーレムに乗って、久々に精霊トリオと模擬戦をしている。
今後の方針を決めるために、精霊トリオ全員が帰還しているのもあるが、ステラが訓練をお休みしているからだ。
盾と剣ならなんとか互角に戦えたが、大剣二本で戦った時は、アインの右腕を切り飛ばす事が出来たが、ドライに俺の左腕を切断され、その後はフルボッコにされた。
大盾二枚の方がかなり有利に戦えた。
攻撃を受けるのが容易で、盾で殴ると範囲や威力もあり、互角以上に戦えた事もそうだが、まだまだ戦えそうだったので、一番生存率が高くなりそうなのは、大盾二枚持ちだった。
朝の訓練を終えて、会議室に集合した。
今後の方針を検討する事になっているのだが、出来ることなんて限られている。
村人の保護については、まだまだ収容自体は可能だが、保護できる村人がもう居ない。
聖堂院西の村、ヤハナリ村から向かえる村は西と南西にあるが、南西のメイダ村は既に収容、西の村は大山脈中腹の監視所で、西に逃げるのを確認している。
メイダ村の隣村も退避しており、既に近場の村に人は居ない。
なので、これ以上の収容の可能性は低い。
次に状況改善の方法だが、正直今はどうしようも無い。
状況を改善するには、オークをどうにかしなければならない。
だが、俺達では自由に行軍は出来ないので、王国軍に期待するしかない。
だが、この事態は、恐らく王国軍が魔境侵攻に失敗し、オークに押し込まれている状態だと思われる。
なので、すぐに改善する見込みは、無いだろう。
一部のオークがたまたま流れてきただけなら、この入り込んだオークを殲滅すれば終わりだが、押し込まれている状況なら、この状態は継続的に続く。
もし、仮に王国軍が全滅でもしようものなら、領都が落とされて、人類は撤退を余儀なくされる。
そうなれば、俺達は魔境の中に取り残される事になる。
村人達は、今からでも街に向かわせた方が良いかも知れない。
なら、ルティ達はどうだ?
俺はここから離れられないが、ルティ達は違う。
子爵が処刑されているし、今ならまだ退避も可能だ。
「ルティ、今なら――」
俺の言葉は、ルティによって遮られた。
「私達は残りますよ。コウ様とずっと一緒です。皆で決めていました」
ルティだけでは無く、皆の顔を確認する。
皆の顔を見たが、ルティの言葉を否定する者は居ない。
「そう、ですか。ありがとうございます。皆は必ず守ります」
考えてみれば、ルティ達は妊婦なのだ。
あまり激しい運動はさせられないし、馬車の振動もあまり良くは無いだろう。
それに、地域が魔物に落とされでも、ずっとそのままという訳では無い。
奪還する事もできるのだから。
「では、今後の方針ですが、できるだけこの状況に介入を試みても良いと思っています。今の俺達で、何処まで行くことが出来ますか?」
俺はアリスさんに尋ねる。
「そうですね。コアがある場所には、魔境、男爵領共に同じ程度の距離なハズなので、現状では半分程度までが精一杯なハズです。近場だと西の街は問題ありませんが、西の街より向こうの街には少々足りないでしょう。なので、ルティ達が居た街には届きません」
ルティ達が居た街、ジルト市は現在王国軍の防衛拠点になっている可能性が高く、ここが落ちるかどうかで今後の展開が大きく違う。
ジルト市が落ちれば、領都を守ることは最早難しいだろう。
だが、防衛ができて、援軍を呼べれば、盛り返すことも可能だ。
なので、説明に出てきた。
「ジルト市に届かせるのにどのくらい時間が掛かりますか?」
「最短で二週間はかかるかと思います」
「コアまでは?」
「二ヶ月半は更に掛かります」
「それでは、雪が降り始めてしまって行軍が難しいですね」
この辺りの冬は、雪が一度降り始めると、一ヶ月以上降り続き、雪の世界となって、移動が難しくなる。
「申し訳ありません。私がゴーレムの増産をしたせいで、魔核が足りなくなってしまっていました」
アリスさんが謝ってくる。
確かに、ゴーレム増産に使った魔核があれば、魔核は足りて、行動を自由にすることが出来ただろう。
「確かにその通りですが、村への救援にはゴーレムを増産していたので、オークを楽に倒すことができました。そして、何より優先すべきはここの安全です。15万以上の王国軍が敗北したなら、それは驚異です。もし、今もゴーレム増産をせずに魔核が残っていたとしても、ここの安全性を高めるために、ゴーレム増産を決断力したでしょう。ですから、現状で何の問題もありません」
アリスさんの判断が失態では無いと説明し、更に言葉を続ける。
「それに、地域が落とされたからと言って、何の問題もありません。我々だけで、研究所は守れます。最悪でも、聖堂院の村人や保護している女性達をここに招き入れて、戦力を集中させればオークがいくら来たってここは落ちません。そうでしょう?なので、力を貯めて、時期を見て俺達で地域を奪還すれば済む話です。それに、王国は大きい国らしいので、地域一つ分くらいの住民を受け入れられるでしょうし、地域を一つ奪われたとなれば、本気で攻撃を仕掛けて来るでしょう。今は、公爵の独力に近いらしいので、余力はかなりあると思います」
あれこれと言って、問題ないとアピールした。
「そうじゃな。外の事ははあまり影響せんし、大切なのはここを守ることはじゃ。外の者達に力を貸しているのは、こちらの都合もあるが、大半は善意じゃ。無理に行動する必要は無い。このまま事態の経過をみているだけでも良いのじゃ」
オシホ様も俺に続いた。
「ありがとうございます。ですが、できるだけ、人々の力にはなりたいです」
「そうですね。元々は、この研究所も人々の役に立つ技術を開発するための拠点だったのですから、力にはなっていきたいですね。ただし、無理の無い範囲で、です。今は俺が管理者なので、俺の判断で中断や引き揚げあると事も忘れないでおいてください」
アリスさんの思いは分かるが、全知全能では無い以上、限界はある。
最終的には、俺の責任とするために、改めて言っておく。
俺が全て悪い、これで丸く収まるなら、それが一番良い。
「承知しました。覚えて置きます」
その後は、西の街への救援、ジルト市への遠征、コアへの攻撃作戦を話し合う事になったが、午後からは聖堂院で村人達の様子を見に行かなければならないので、西の街への救援準備だけ計画する事にした。
現状で動くとしたら、西の街にしか行けないからだ。
計画を立てると言っても、やることは変わらないのだ。
魔力供給ラインを形成して、ゴーレムを連れて突撃しかない。
なので、後は迅速に計画を実行出来るように、研究所の安全を余裕をもって確保できると判断できる戦力を残し、聖堂院へゴーレム派遣を増やした。
まず、研究所のみに配属されているアイアンゴーレムを10体聖堂院に移動させ、防御の要として配置する。
戦闘用ゴーレムも100体増やし、合計で300体にして、攻撃に備える。
そして、秘密拠点に配置してある50体も加えると、十分なゴーレムが聖堂院に配備される事になった。
ゴーレムの配備は、俺が聖堂院に村人の様子を見に行くついでに、一緒に運んで、聖堂院内に待機させた。
そして、一週間後に事態は動いた。
大山脈中腹の監視所からの報告で、聖堂院に向かう騎馬のみの一団を発見した。というものだった。
数は30程だが、かなり急いでいるらしく、昼前には聖堂院へ到着するとの事だったので、俺は訓練をそこそこで切り上げて、早目に聖堂院へ向かった。
聖堂院へ向かったのは、研究所の防御に残るツヴァイとシグマ、タウを残し、俺とオシホ様、精霊達全員で向かった。
聖堂院に到着した俺達は、村人の護衛に戦闘用ゴーレムを数体配置して、騎馬の一団が到着する前に門を開けて、騎馬の一団を迎え入れた。
「広坪様!お願いがあります!」
騎馬で駆け込んで来たのは、ガレストさんだった。
ガレストさんを落ち着かせ、話を聴く。
「私は、ビストラの使者として来ました。一緒に来たのは、ビストラの兵士達の精鋭です」
ビストラは、俺達が西の街、と呼んでいた街の事だ。
「それで、ビストラの街の使者様が何の用ですか?」
多少棘のある言い方になったが、それはガレストさんの周りの兵士が、俺に向けて敵意を向けているからだ。
現に、俺の護衛として来ているオシホ様達が警戒体勢に移行している。
「現在ビストラにオーク50,000が接近しております。明後日の昼には到達する見込みです。ビストラには避難民を含めると七万人近くが居ますが、戦える者は少なく、オークにはオークジェネラルの姿も確認されています。このままでは、ビストラに甚大な被害が出てしまいます。何卒オークを退けたお力をお貸し願えないでしょうか!」
ガレストさんは、周囲のことなど気にもせず、地に膝を着けてお願いしてくる。
「対価はいかほどてますか?」
「金貨一千を用意しました。これは前金で、後から四千枚を支払います!ですから何卒力をお貸し下さい!」
「一つ質問があります。この人達は、何故俺に敵意を向けているのですか?」
ガレストさんは、一人の兵士を見る。
その兵士は、他よりも少し良い鎧を着ており、隊長の様だ。
「申し訳ない。この者達は、貴殿方に仲間を殺されて居てな。どうしても気が立ってしまっている様なのだ。抑えるようには言ったのだが……」
人を殺した影響か、これは仕方がない。
「そうですか。それなら仕方がありませんね。敵意はありましたが、殺意は無かったので良かったです。殺意があれば、殺されて居ましたよ。ですが、事情は分かりました。協力をしましょう」
元々協力するつもりだったので、答えよう。
その後、遠征の準備を早急に整えた。
全ては、予め準備してあったので、それほど時間は掛からなかった。
兵士の皆さんは、馬が疲労していたのでらこちらの馬を貸し出し、共に移動する事になったのだが、ガレストさんや兵士達は、俺達の準備の早さに驚いていた。
俺達が準備している間に、ガレストさん達へ昼食を出して、休憩してもらった。
救援に向かうのは、俺とオシホ様、アイン、ドライに新精霊6名だ。
後は、遠征用の戦闘用ゴーレム45体、作業用ゴーレム15体に加え、通常の戦闘用ゴーレム200体、作業用ゴーレム50体を連れて行く。
更に、荷馬車を22台使う。
20台には軍から奪った食糧を積み、残り2台にはポーションやその他の荷物を積んである。
以上をもって、聖堂院西の街、ビストラ市に向かって出発した。