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第三話 学園の仲間

「腹減った…幸一、学食行くぞ~」

「おう、今日は何にするかな…」

「私はカツ丼にするわ」

「はいはい!俺、キツネうどん!」


 俺と真一が学食に行こうとすると、俺の前の席の四野見実里しのみみのりと隣の席の種瀬達也しせたつやが話に入ってくる。

 四野見は長い黒髪で薄緑色の目で、黒縁の眼鏡をかけている如何にも優等生な女子だ。クラスでは基本的に大人しいが、話してみると結構面白い。余談だがクラス一胸がでかいらしい。

 達也は金髪のつんつんした髪に茶色い目の如何にもチャライ奴だ。実際かなり明るく前向きだが、空気を読めない節がある。

 いつの間にかクラスでは、この四人で行動することが多くなっていた。俺もこの面子だと変に気を使わなくて済むし、結構居心地が良かったりもする。


 四人で学食に向かう。学食は中等部棟、高等部棟の最上階にそれぞれあるが、俺らがいつも使うのは職員棟にある少し小さめの学食だ。

 この学食は基本的に誰でも使用可能だが、職員棟にあるため職員も使用する。そのため、学生は自然に使用するのを避けているらしく、結構空いているのだ。


 高等部棟から職員棟に行くには基本渡り廊下を使う。この渡り廊下は通行に学生証を通、路の両端にある端末に読み込ませる必要がある。なんでも、職員棟は試験や生徒の個人情報などの、重要な情報を保管しているためにセキュリティーが厳重になっている。


 職員棟の学食は広い半球状のホールになっていて、北側に調理場がありその横に二台の券売機がある。

 券売機には和食と洋食、中華がある。実はガルディア人は料理の習慣がなかったらしく、ご飯はブロック状の固形食品だったらしい。

 その為か、地球の調理には驚かされたと同時にかなり魅了されたらしい。

 今の俺の腕でもカフェをやっていけるのも、ガルディア人のお客さんが多いからだ。


「キツネうどん~」

「カツ丼…メガ盛りでいっか」

「やっぱり和食のA定食だな…」

「四野見、よく食えるよな」

「そう?私は普通だと思うんだけど…」


 基本的に学食は無料だ。なんでも、しっかり食べ、しっかり学び、しっかり体を作るのが学生のあるべき姿というのが学園長の意向らしい。

 まぁ、金がない俺からすれば願ってもない事だ。

 俺は人気メニューのカツカレーにした。この職員棟の学食のカツカレーは他の学食と違い、カツがサッパリとしていて厚めに作られているので食べ応えがある。


 それぞれトレーを持って場所を探す。

 この学食のテーブルは大きな長テーブルに椅子が六脚ある。いつも座っている場所があり、今日もそnテーブルは空いていた。


「飲み物貰ってくるけど、何が良い?」

「俺コーヒー」

「私は緑茶で」

「おれっちは麦茶!」

「了解」


 学食の中央にある円形のカウンターには様々なドリンクが置かれている。緑茶、コーヒー、オレンジジュースなどの定番のものから、青汁、まむしドリンク、すっぽんエキスなどなど、謎なものまで置いてある。

 人数ぶんのドリンクをトレーに乗せて席に戻ると、詩音とミリア先輩が来ていた。

 この職員棟の学食を使う理由の一つが詩音だ。詩音を誘うのに互いの棟の学食だと、遠くて面倒だからという理由でここを使うようになったのだ。

 

「はいよ、おまたせ」


 持ってきたドリンクを配る。詩音とミリア先輩はいつも同じ物だ。詩音はオレンジジュースでミリア先輩は牛乳だ。まぁ、いつか努力は報われるであろう。


「おう、ありがとうな」

「ありがと」

「次はミリア先輩だからな」

「わかってるにゃ~」


 ミリア先輩はいつの間にか俺らの輪に入っていて、気が付けばそこに居るのが普通になっていた。まったく、恐ろしいな。


「んじゃ、いただきます」

「「「いただきます」」」


 

「あ、幸一君。今日は私バイト出れないの、ごめんね」


 食事中に四野見が申し訳なさそうに言ってくる。四野見には俺の店で、ウェイトレスとしてバイトをしてもらっている。


「いいて、いつも手伝ってもらってるんだし、たまにはゆっくりしてよ」

「そう言ってもらえて助かるわ」


 そうは言っても、少し困ったな。

 俺のカフェは軽食も出すのだが、平日の開店は夕方からなので、自然と夕飯として食べに来る客が多いのだ。その為、メニューにも少しお腹にたまる物を入れているのだ。

 だから、一人で店を回すのはかなり大変だ。調理しながら注文を取って、レジを打つ…最近は常連ワンも増えてきたので嬉しい困り事だ。


「あ、じゃあ。わた…」

「じゃあ、私が手伝ってあげるよ」

「…ミリア先輩がですか?」

「なによ、その文句の有りそうな顔は!」

「いえ、文句と言うか、何と言うか…」


 不安だ…そこはかとなく不安だ。なんせ問題児として有名だからな、いい意味でも悪い意味でも…


「そうですね…じゃあ、お願いします。放課後店で待ってますね」

「了解~」


 そういえば、さっき詩音が何か言いかけてた気がするんだけど…

 視線を詩音に向けるが、特に何事もなく食事を続けている。まぁ、俺の気のせいだったのかもな。



 放課後、部活動のある真一と別れ斬ろを急ぐ。放課後は基本的に一人で帰る。店の事もあるし、早く帰って下ごしらえなどをしないといけないのだ。


 店に帰って、二階に上がり着替える。この店の制服は無いが、ワイシャツに黒のズボンが基本の服装だ。蝶ネクタイなどはしない。

 ウェイトレスの制服はあり、白と黒を基調としたメイド服だ。フリルは少なめで、スカートの丈も長めだが、それが良いと言ってくれるお客さんも居る。


 着替え終え、開店の準備をする。

 電気をつけてテーブルを拭き、フォークなどの食器類を除菌用の食器洗い機に入れる。

 コーヒー豆を挽き、サイフォンで一杯入れて飲む。


「うん、いい香りだ」


 店のドアに掛かっている札を「open」にする。

 カランカラン、と音を立てながらミリア先輩が入ってくる。


「お待たせ~」

「ミリア先輩、今日はお願いしますね」

「まっかせなさい!…それで、制服は?」

「…あるにはありますけど。サイズが合わないと思いますよ?」

「大丈夫、少し丈が長くたって気にしないよ」

「はぁ、じゃあ、この部屋のロッカーにありますから」

「了解~」


 嬉しそうに足取り軽く更衣室に入って行くミリア先輩。

 しかし、数分後にかなり沈んだ雰囲気で更衣室から出てきた。


「……これぞ、格差社会…か」

「あの…コレつけてくださいね」

「ちょっと、先輩がこんなに落ち込んでるんだよ、慰めてよ!?」

「…ドンマイ!」

「ごめん、やっぱいい。なんかムカつく」


 酷い言い草だ、せっかく慰めてあげたのに。

 先輩はブレザーを脱ぎ、ワイシャツの上に可愛らしいピンクのエプロンを着ける。以外に似合ってるな…あぁ、体系が子供っぽいからか。


 カランカランと、ドアが開く音がする。お客さんだ。


「いらっしゃいませ~」


 元気のいい明るい声が店内に響く。笑顔もできてるし、丁寧に接客ができている。そういえば、以外にも常識はあって頭も良いんだよな。普段は分かっていてあえてふざけるんだよな。


 少しすると、店内も賑わってくる。

 カウンターに座った常連のおじさんが話しかけてくる。


「幸一君、今日は実里ちゃんじゃないんだね」

「えぇ、彼女は用事があるそうなので。今日は学園のミリア先輩に頼んだんですよ」

「そうか…まぁ、この子も元気があっていいねぇ」


 狭い店内では、元気よく動き回るミリア先輩が笑顔で接客をする姿が見える。普段の態度からは想像がつかないな。

 それでも、楽しそうにやってくれるのは俺も嬉しい。

 さて、俺も頑張りますか!

      



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