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詩―彩の言の葉―

「泣ける」なら、大丈夫だと思った。

作者: 彩人

何も考えたくなくて、

ただふらり家を出た。


車に乗って、でも、目的地なんて特になくて。

ただ街の喧騒とか、人の流れとか、そういうものを呆然と見つめる。


意識したわけじゃない。

何を考えていたわけじゃないのに、

知らず溢れる涙。


そこでやっと気づく。


「ああ、私無理してたんだ…」


日々色んなことがありすぎて、

そういえば落ち込む暇さえなかった。

仕事をしてれば気が紛れるけれど、

それでもどこか上の空で、

気持ちはそこに居ない。


誰かと話していても、

一緒に笑っていても、

それでも心はいつも違うところにある。


「そっか、落ち込んでも良いんだ」


化粧が落ちるとか、

目が腫れるとか、

頭では冷静に思う自分が居るのに、

それでも涙は止まらなくて、

少し微笑(わら)った。


涙が心の浄化作用だって、

そう言っていたのは自分。

目的地が無いんじゃなくて、

このドライブの目的(・・)は一つだった。


独りになること。

独りで泣くこと。


誰に気を使われるわけでもなく、

誰に心配されることもなく、

自分が心を浄化するためのドライブ。


そう思ったら、心はスッと軽くなった。


大丈夫。

きっと、また頑張れる。

まだ前に進める。


「泣ける」なら、大丈夫だと思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 同性だからなのでしょうか?書かれていることが痛い程よくわかり、最後の文章でお互いに励ましあうような気分にさせられました。詩が感情を表す文章ならば、この詩は花丸物だと思います。強さのかけらのよ…
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