第1章 きっとそれはヒツゼンだった。
貴方にとっては私、アスカに出会うのは予定調和だったのかもしれない。
だけど私にとっては全てが驚きで、まったく予測不能な出来事だった・・・。
あの日も空は真っ青で、何にも持っていないように、それでいて全てを知っているような色をしていた。私の大嫌いな空だった。
私の居場所はいつも真っ白でできていて他のモノはあまりなく、静かであまり経ち歩きのできないところ。―-―平たく言うと病院の個室だ。
私にとっては檻のようなもの。
私と同い年他の人は高校とか言う場所で毎日勉強して、放課後にはお喋りをしながら帰ったり、部活とか言う名前の集団に所属して一緒に汗水たらして動き回っているらしい。
私はもちろんココが大っ嫌いなんだけど、外に出るのは至難の技。
両親は絶対にダメと言うし、医師にいたっては両親と一週間に一度会えるだけで奇跡的なことなんだと言われてしまう始末。
外に出たことは生まれてから2,3回しかない。
だから発育不良で16歳のくせに142cmしか身長がなくて、肌は自分で言うのもなんだけど透き通るように白くて、人形みたいなみためだ。
生まれつき体の弱い私には外に出られないのは当然のことだと、一応理解はしているが。
だから私は青空が大っ嫌い。
空は蒼くて何処までも広がっていて、何でも見ていそうだから。
何でも知っているみたいで、ズルイ。
そんな私には「人トスゴス」なんて夢のまたユメだ。
ある日私は突然先生から呼び出しをうけた。
こんなことはめったにない。
前呼ばれたのは初めてこの病院に来た日。
前はもっと小さな病院にいた。
その呼び出しのときは
「今日からアスカさんを担当することになった沢木です。」
という自己紹介をされた。
それだけだった。
今度はなんだろう?
病院変わったり先生変わったりするのかなぁ。。
そんな風に思った。
看護士さんが迎えにきた。
先生の部屋へ。
これまた真っ白で清潔そうで、ちょっと他人行儀な廊下をまっすぐと看護士さんが手を引いていく。
そこには赤茶けたサラサラで、ショートというにはちょっと長めの髪をした長身の男の人がいた。
夢だと思った。
ありえないと思った。
冗談だと思った。
自分の目の前に見知らぬ他人がいる。
生まれてはじめての出来事だった。
こういう瞬間にすることはいつでもひとつ。
私は思いっきり目の前にいる人物の頬を思いっきりつねった。
・・・相手の「くすぐったい」という声が聞こえた。
「痛くないの?」
「全然痛くないよ」
「じゃあ、夢ね」
「ううん、ホント。これは現実」
「じゃあ何で痛くないのよ」
「だって君、力弱すぎなんだもん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
バトミントンの羽を空振りしたような音がした。
私が叩こうとして振り回したては空気を殴っていた。
「カッコ悪ぅ」
馬鹿にされた。
なんかこいつめちゃくちゃむかつくぅ。
「ねぇ、看護士さん。先生は?」
今まで目を丸くして一言も口をはさまずに入り口のドアの前に立っていた看護士さんに呼びかける。
「・・・・・・今呼んできます」
パタパタとかける音とドアのカチャリと閉まる音がした。
沈黙。
私は生まれて初めて、気まずい空気というものを感じた。