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サブカル裁判  作者: 無相
3/9

第二条、TS表現は丁寧にアレンジせよ。

2次創作の表現において変化球な表現として好き嫌いの分かれるジャンルTS。

それは、憧れのヒーローは可憐な乙女に、そして可愛いヒロインは素敵な美少年にアレンジされる禁断の果実。

今回はそんなTSの扱いを軽く見た被告人の最期をお届けしよう。

第二条。男性キャラのTS表現にて、ベースデザインに安直に胸だけを付け足して女と言い張る者。これを電気刑に処す。


法廷の空気は前回よりもさらに重く、冷え切っていた。コンクリートの壁に投影される松明の炎が揺れる中、罪人席に鎖で繋がれたのは、同人サークル「トランス・ラブ」の主宰者・B氏。二十代後半の女で、数年前までは「TSの新星」と持ち上げられ、コミケでは長編TS本が完売続きだった。だが今は髪を振り乱し、目は血走り、唇を震わせている。


裁判官たちそれを冷ややかに見下ろす。観客席は、TS女体化の美しさを信仰するファンたちで埋まっていた。彼らは手に原作キャラの正しい女体化イラストを掲げ、B氏を睨みつけている。


「サブカル法 第二条を読み上げる。」

裁判官の声が静かに、しかし鋭く響く。

「男性キャラのTS表現にて、ベースデザインに安直に胸だけを付け足して女と言い張る者。これを電気刑に処す。」


B氏は鎖を鳴らしながら必死に立ち上がろうとした。

「違う! あれは私なりの解釈です! 時間がない中で描いてるんだから、骨格とか腰とか全部直すのは無理ですよ! 胸さえあれば女に見えるって、みんな分かってるでしょ!?それにBL表現が苦手なファンもTL要素を組み込めば、作品に興味を持って手に取ってくれる!」


裁判官が吐き捨てるように笑う。

「分かってる? お前こそ何も分かっちゃいない。TSの真髄は、元の男らしい肩幅を絞り、腰にくびれを作り、足回りを緩やかに肉付けし、首を細くし、喉仏を消し、顔の輪郭を丸く柔らかくすることだ。それを全部怠って、ただ胸をポン付けしただけの『胸付き男』を『女の子』と呼ぶのは、最大の冒涜だ。」


B氏の罪はあまりにも明らかだった。

彼女がTS化したのは、人気格闘ゲームの主人公・レオン。原作では筋肉質で肩幅広く、鋭い顎ラインの典型的なイケメン男性キャラ。一部のファンからは「女体化したら絶対美しい」と期待されていた。


だがB氏は、肩幅はそのまま、腰はそのまま、顔のラインもそのまま、喉仏すら消さず、ただ胸だけをでかく盛って「レオンちゃん♪」と投稿。しかも「これで完璧な女の子!」と豪語し、原作タグで拡散行為を繰り返した。

純粋なTSファンから「ただの鳩胸男」「美しさがゼロ」と総攻撃を受け、ついに裁判所に告発されたのだ。

「弁明は一応、聞いた。異議なし。判決、確定。」


執行人たちが無言でB氏の肩を掴み、電気椅子へと引きずっていく。古びた木製の椅子には無数の電極が取り付けられ、コードが床を這っている。B氏は暴れて抵抗する。

「待って! もうしません! 次からは骨格も直します! 腰もくびれさせます! 誓いますから……!」


だが、誰も耳を貸さない。体を革ベルトで固定され、頭・胸・手足に電極を装着される。スイッチが入る直前、B氏は最後の叫びを上げた。

「私のTSは……愛があったんだ……!」

電流が流れた。


最初は低電圧で、体がビクビクと痙攣するだけだった。

B氏の目は見開かれ、口から泡が吹き出る。

電圧が上がるにつれ、皮膚が焦げ、髪が燃え上がり、煙が立ち込める。

「ぐあああっ! 胸だけじゃ……ダメだった……!」と絶叫が響く。

目玉が飛び出し、歯が砕け、肉が焼ける嫌な臭いが法廷を満たす。

心臓が止まるまで、せいぜい十分。生命活動は完全に終了した。物理的な死。

だが、刑はこれで終わらない。


黒焦げの遺体は椅子に固定されたまま、サブカル界最大のイラスト投稿サイトのトップページにデジタル配信される。「安直TSの末路」と題され、B氏の焦げた顔と体が晒される。反応は即座に爆発した。


「胸だけ勢の標本きたあああ!」

「これ見て勉強しろ、新人」

「レオンちゃんの正しい女体化はこれだよ→(正しいイラストリンク)」

「焼け焦げ臭そうwww」


B氏のアカウントは即座に永久凍結。全作品は削除され、過去の同人誌データまでネットから抹消。実名・顔写真が特定され、会社は即解雇。両親は「変態の娘」とマスコミに囲まれ、大衆から石を投げられる。兄弟は就職差別を受け、彼らの恋人は逃げ、友人は全員ブロック。


デジタル遺体は日々晒され続ける。最初は生々しかった焦げ顔も、時間が経つにつれ風化し、目玉は落ち、舌は飛び出し、皮膚は剥がれ落ちていく。それでも削除されることはなく永遠の警告として残る。


かつて「胸さえあれば女」と言い張った女は、物理的にも社会的にも死に、ただの焼け焦げ標本と化した。観客席のTSファンたちは静かに頷き合う。


「これからはレオンちゃんの正しい女体化が、永遠に守られる……」

裁判官たちは無言で視線を交わし、次の罪人を呼び入れる準備を始めた。

TSの美学は、電流と血で守られたのだ。















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