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伯母視線2 甥の嫁を始末すると心に決めました

今日は遅くなってすみません

「ダニー、侯爵位の継承の件だけど」

私はベッドの中で昔の伯爵令息で、今は王宮の書記官をしているダニーに再度念押しをした。


「ああ、判っておりますとも。気にされなくてもゼロ歳児が爵位を継いだ前例などほとんどありません。心配されなくても、今は亡き侯爵様の叔父であるあなた様のご主人に降りる様に手配しております」

ダニーは私に頷いてくれたのだ。


「有難う、ダニー」

私はダニーにしなだれかかって微笑みかけたのだ。


「まあ、気にしなくても、その母親のジャンヌも今頃は商人のエイミスに抱かれているはずよ。本人が望もうと望まないとね。その息子も連れて行ったみたいだからゼロ歳児はエイミスの養子になるんじゃないかしら?」

そう言って私が笑うと、


「あの侯爵夫人をエイミスに抱かせたのですか?」

驚いたようにダニーは言った。


「だって、ブランドンに色目を使ったのよ。許せないわ」

私がむっとして言うと、


「こういう事とをしているあなたが、それを言われますか」

「何言っているのよダニー。それはあなたも一緒でしょ」

私達はじゃれあったのだ。




「これで私も侯爵夫人ね」

帰りの馬車の中で私はにたりと笑った。


伯爵家出身のあばずれ共に今まで散々コケにされたのだ。


その苦難の歴史もこれで終わりだ。


これからは私を馬鹿にしたやつらをじっくりと仕返ししてやらないと。


幸いなことに侯爵家の借金はジャンヌが体で払ってくれているはずだ。今頃は泣き叫んでいるだろうか? 自分の美貌を笠に着てわが夫や息子に粉をかけた報いを受けるのだ。あの金まみれで醜悪な老人に抱かれて泣いているかと思うと本当にいい気味だ。


まあ、パーサのように殺さなかっただけましなのだ。感謝してほしいくらいだ。


時間があればまた、呼び出していびってやってもいいのかもしれない。


それを思うと楽しかった。


馬車の中で、私はこれまで私に対してむかついた事をしてくれた奴らをどうやって虐めてやるか、考えて楽ししんでいた。そうだ、お茶会を開いて呼び出してやるのもいいかもしれない。


私は一人でこの世の春を謳歌していたのだ。





そんな私は館に帰って驚いた。


「なんですって、ジャンヌが帰って来たですって!」

「はい。シャルル様と一緒に」

騎士団長のコルビルが馬車付き場で話してくれた。


私は慌てて歓談室に向かった。


歓談室では夫と息子に囲まれてジャンヌが私の席に座ってくつろいでいたのだ。


私はピキッと切れた。


「ジャンヌ、どうだったの?」

私が鋭く問い詰めると


「あら、伯母様、お帰りなさいませ。どちらに行かれていたのですか?」

何とジャンヌは私を迎えるために立ち上がりもせずに、鷹揚に質問してきたのだ。

この侯爵夫人になる私に対して……


私はちょっとむっとしたが、

「ちょっと買い物に行っていたのよ」

「ダーリントンにですか? ならば私もご一緒しましたのに」

「ダーリントンではないわ。カリストンよ」

「まあ、カリストンなんて遠くに行っておられたのですか?」

ジャンヌは驚いた顔をして私を見てきた。その目は何をしてきたんだと楽しそうに見てきた。

「バーバラ、カリストンなんて遠くに買い物など何を買って来たのだ」

夫が不審がって聞いて来た。

ジャンヌの奴、何を余計な事を聞いてくれたのだ。

私は更にむっとしたが、


「新しいブランドの店が出来たのよ。だから、見に行ってきたのよ」

笑って誤魔化した。


「あんな遠くまでか」

訝しげに夫が言うが、

「どうしても欲しいものがあったのよ。それよりも、エイミスの所はどうだったの?」

「それがだな。ジャンヌが交渉してくれて借金を帳消しにしてくれたそうなのだ」

夫が喜んで言ってくれたのだ。この夫は何を喜んでいるのだ?


「そう、じゃあ、あなたが、エイミスさんの後妻になることになったのね」

私は喜んで言ってやった。結局ジャンヌはエイミスに抱かれて帰って来たのだ。


「何をおっしゃっていらっしゃるのですか?」

不思議そうにジャンヌが聞いて来た。


「エイミスさんは新侯爵の就任祝いに借金を帳消しにしてくれるそうですわ」

「はい?」

私はジャンヌの言ったことが理解できなかった。

あの金に汚いエイミスがボランティアでそんな事をするわけは無いではないか。

この女は何をしたのだ?


「そうか、新侯爵の就任祝いにか」

愚かな夫は笑って聞いていたが、こいつは本当に馬鹿だ。私は呆れて見ていた。


「はい、私の息子シャルルの為にそうしてくれるそうです」

「「「えっ!」」」

その瞬間私達は絶句したのだ。


「ジャンヌさん。ゼロ歳児の爵位継承はなかなか難しいのではないのか」

驚いて夫が言った。

「継承するにしてもしかるべき後見人が後ろにつくと思うよ」

息子も話していた。


まあ、まさかゼロ歳児が継ぐことは無いと思うが、もしあったとしても夫が後見人にはなるはずだ。


「まあ、そうでしょうね。その時はよろしくお願いします」

ジャンヌは媚びを含んだ目で夫を見てくれたのだ。

おのれジャンヌめ!

何をしてくれるのだ。


あのくそ豚は何をしてくれたのだ! せっかくジャンヌをくれてやったのにそれを返してくるとはどういう事だ? 私は明日問い詰めてやろうと思ったのだ。


まあ、どのみち、ジャンヌがどうあがこうが、継承権はわが夫ブランドンが継ぐことになっている。

そうなった暁にはジャンヌを絶対に始末してやる。

私は心に決めたのだ。


ここまで読んで頂いて有り難うございました。

話しはそろそろ一つ目の山場です。

ブックマーク等まだの方はしてもらえたら嬉しいです‼️

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作開始


『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』

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「3日後の卒業パーティーでお前のエスコートは出来ない」子爵家のエリーゼは婚約者の第一王子から宣言されてしまった。そんな、このままではゲーム通りにその卒業パーティーで皆の前で断罪されて最悪処刑されてしまう。そんな事になったらお母様と約束した事も守れないじゃないかと、エリーゼは絶望した。しかし、そんなエリーゼの元に超過保護な義兄が現れて話はますますややこしくなっていく。更に今まで厳しかった義兄がやたらエリーゼに優しいんだけど、何か変だ。

第一王子はエリーゼを帝国の公爵家の傍流に過ぎないと思っていたのだが、実はエリーゼの正体は……ヒロインの正体とその義兄の正体が判明した時、馬鹿にしていたこの国の貴族たちの間に激震が走る!

果たしてこの危機をエリーゼは義兄とともに乗り切れるのか?

ヒロインを守るために命をかける義兄の愛、ハッピーエンドはお約束です。



この話の元の

短編の作品はこちら


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。



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