辺境伯父娘を天使な息子に助けてもらって成敗しました
私はさすがにやばいと思った。
今回の件はすぐに軍を率いて来いと弟には連絡したけれど、あいつは絶対にすぐに来ない。
そもそも私が負けそうになっているなんて心にも思っていないはずだ。
エドは半死半生の状態だし……龍之介は目の前の敵で目いっぱいでここまでは到底来れそうにもない。
でも、何としても可愛い天使なシャルルちゃんだけは逃さないと。
転移魔法を私が使えたら良かったんだけど、私では使えないし……。
私はチェックメイトされたのに気付いたのだ。
「ふん、厄災女よ。私に楯突いた事を息子ともども地獄で詫びればいいわ」
そう言うと、ゴキブリ女は手を翳したのだ。
私は覚悟を決めた。
「天なる神よ。私に力を与え給え!」
やった、こいつも馬鹿だ。
私はまだ助かるチャンスが有るのに気付いた。
神に祈るなんてこの女も余程のお人好しだ。
「喰らえ、爆裂魔術!」
そう叫んだ時だ。
私はとっさにシャルルを抱いたまま地面に突っ伏したのだ。
ズコーーーン
私達の頭の上を爆裂魔術が通り過ぎたのだ。
本当にうまいこといった。
私がほくそ笑んだ時だ。
「何しているの。あなた、折角一瞬で殺してあげようとしたのに」
ゴキブリ女が私を見下ろしてくれるんだけど……
私は万事休すなのを知ったのだ。
この位置ではいくら私でも逃げられない。
「このまま大地ごと燃やしてあげるわ」
「天なる神よ。我に力を与え給え」
でも、また女は祈り始めたんだけど。
私は慌てて起き上がった。
そして、後ろに下がる。
「出でよ、火の玉」
女は大きなファイヤーボールを出して攻撃してきた。
今度は横にすっ飛んで躱す。
ドカーーーーン
ファイヤーボールは残された屋敷の建物に激突して爆発した。
爆風に翻弄されつつもなんとか立てた。
「往生際が悪いわね」
女は叫ぶと私を睨みつけてきた。
「じっとしていなさいよ」
誰がそんな言うことを聞くか。
私は思わず心のなかで舌を出していた。
「もう、許さないわ。」
女は怒り狂っていた。
「天なる神よ。我に力を与え給え」
また女は祈り始めた。
そう言えばこの隙に攻撃すれば良かったんじゃないか!
私は今頃気付いた。
本当に馬鹿だ。なんでさっさと攻撃しなかったんだろう。
今回は無理だけど、次回攻撃しようと私は決めたのだ。
そう思ってちらっと天使な息子のシャルルちゃんを見たら、
「まーまー」
急にシャルルちゃんの手に金色の光が光ってシャルルちゃんの光が私をも包んだのだ。
「えっ、シャルルちゃん、これって」
私は驚いてシャルルちゃんを見たんだけど。
シャルルちゃんはニコって笑ってくれるんだけど……
「喰らえ。爆裂魔術」
その時だ。女から爆裂魔術が放たれて、私達に襲いかかる。
しかし、その爆裂魔術はシャルルちゃんの張った金の光に反射されたのだ。
ズカーーーーン
盛大な爆発音がした。
あたり一面が真っ黒になる。
そこには黒焦げになった辺境伯とその娘が立っていたのだ。
他の兵士たちはほとんど倒れていた。
私は唖然とした。
天使な息子のシャルルちゃんは障壁を張ってくれたのだ。それもミラーだ!
私は自分の天使な息子のシャルルちゃんを抱き締めていた。
「凄いじゃない! シャルルちゃん」
「まーまー」
私の言葉に天使な息子のシャルルちゃんは手を振って喜んでくれているんだけど……
「ば、馬鹿なミラーだなんて」
辺境伯の娘は唖然としていた。
ふんっ、天使な息子のシャルルちゃんを狙って天罰が下ったのだ。
私達の周りは金色の障壁で覆われていた。
「マーマー」
そして、シャルルちゃんの言葉とともに温かい金色の光が私を包むと私の体に魔力が流れ込んできたのだ。
なんとシャルルちゃんが魔力を分けてくれたのだ。
さすが天使な息子のシャルルちゃんだ。
こんな小さい時から魔術を使えるなんて!
私は感激した。
「マーマー」
そう言ってシャルルちゃんは私の体をペチペチ触ってくれた。
「はあい、天使な息子のシャルルちゃん。今すぐ、このゴキブリ父娘を成敗してあげますからね」
私はシャルルちゃんに頷いたのだ。
「ふんっ、何か言い残すことはあるかしら」
私は一応聞いてあげたのだ。
「そんな馬鹿な」
「見ていなさい。神よ我に力を与え給え……」
娘が祈り始めるんだけど、こいつは本当に馬鹿だ。
祈っている暇に攻撃できるのだ。
「喰らえ!」
私は間髪おかずに叫んでいた。
雷撃が周りにいる敵兵も含めて一斉に直撃したのだ。
「「「ギャーーーー」」」
皆一斉に悲鳴をあげる。
そして、光が消えるとともに黒焦げになって倒れ込んでいた。
「ふんっ、私に逆らうからよ!」
私は胸を張って言ってやったのだ。
立っているものは私達以外にはもう残っていなかったのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございました。
明日完結です。
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