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叔母に商人の家に交渉に行くように言われました

「天使な天使なシャルルちゃん! あなたはどうしてそんなに天使なの?」

私はその日もシャルルをあやしていた。


その横で呆れてアリスが見ているんだけど……

そんなのは無視だ。


「あれっ? アリス! この白いのはひょっとして」

「歯だと思いますよ」

私の質問に冷めた声でアリスが答えてくれた。


「凄いわ! シャルルちゃん! 歯よ! 歯! 歯が生えてきたのよ!」

私は有頂天になった。

それをアリスが呆れたように見てくれるんだけど。

「アリスは冷たい!」

「だから、私は赤ちゃんが苦手だって言ってるでしょ」

冷めた声で言ってくるが、私がいないところではシャルルをめちゃ可愛がりしているのを私は知っている。


「普通は半年で生えてくるのに、この子ったら三ヶ月で生えて来たのよ。凄いわ、シャルルちゃん!。あなたは天才ね」

私はシャルルを抱き締めたのだ。


「歯が生えるの人によって違うんですよ。それだけで人より優れてるとは一概に言えないんですから」

アリスは冷静に答えているが、私は聞いていなかった。


「ジャンヌ様、奥様がお呼びです」

そこへノックが鳴って侍女長のマイヤーが入ってきた。


「ちょっとあなた、この屋敷の奥様はジャンヌ様でしょ」

ムッとしてアリスが食ってかかるが、


「アリス、そんなのどうでもいいわよ。それよりも何の用かしら」

私はアリスを抑えて言う。アリスを怒らせると碌なことはないのだ。


「さあ、判りかねます」

無愛想にマイヤーは答えた。


でも、折角シャルルをあやしているのにと思わないでもなかったが、


「お嬢様。何でしたら私が断ってきますけれど」

「いや、良いわ。あなたが行くと死人が出かねないから」

私はやむを得ずにシャルルをアリスに渡すとマイヤーについて行ったのだ。


「ジャンヌ様。あのアリスというメイドの生意気な態度はあなた様の教育が足りないのではないのではないですか」

歩きながらマイヤーは言ってくる。


「まあ、私からちゃんと言っておくから」

私はマイヤーには逆らわないようにしていた。

逆らってバーバラに告げ口された日にはまたお説教が長くなるのだ。


「奥様、連れてまいりました」

私が中に入るとそこには伯母のバーバラと大叔母のベッキーがいた。

また、嫌味の二重奏か? 私は警戒した。


「ジャンヌさん。あなたにぜひともやってほしいことがあるんだけど」

でも、バーバラは上機嫌だった。


「実は侯爵家では弟のヘクターの病気を治すために高価な薬を買っていたのよ。ヘクターの病に効く薬がなくて、中々難儀していた所に商人のエイミスさんからいい薬を紹介して頂いたのよ。ヘクターもその薬を飲むと症状が軽くなるととても喜んでいたわ。ただ、そのお薬はとても高くて、結構エイミスさんからお金を借りていたの。それがいきなりヘクターばかりか跡継ぎのシャルルも死んでしまったでしょう。エイミスさんは出来たら貸したお金をすぐに返して欲しいと言ってきたのよ」

バーバラは私を見てきた。


「急なことでそんな大金はすぐに用意できないと私達は驚き慌てたのよ」

話しを継いでバーバラが言った。


「でもね。エイミスさんが言うには連れ合いを無くして寂してくしていたから、あなたを後妻に迎えられるのならば、借金を帳消しにしても良いと言ってきたのよ。あなたもまだ若いし、こんな所でこのまま未亡人として過ごすのもあれでしょ。エイミスさんは大金持ちだし、これはいい縁かなと思つたんだけど」

「そうよ。ジャンヌ。今回はあなたでも侯爵家の役に立てると思うの。ぜひとも侯爵家の為に役に立ってくれないかしら」

大叔母まで言うんだけど。

エイミスって年いったガマガエルみたいな体型の男だ。

それと私を連れ添わすなんてとても滑稽なことだった。

アリスが聞いたらいきなり暴れ出しかねない話しだった。

本当に連れてこないで良かった。私はホツとしたのだ。


「先方はシャルル連れでも全然問題ないと言っているのよ。あなたもシャルルと一緒なら問題ないでしょう」

「本当にエイミスさんは親切だわ」

私が考えているうちに何か二人で言ってくれているんだけど。


「判りました。借金をもう少し待ってもらえないかマイヤーさんと私が交渉してみます」

「あなた、何言っているのよ。マイヤーさんは親切で言ってくれているのよ」

私の言葉に大叔母が怒り出したが、


「まあまあ、大叔母様。まずは二人で話し合うのも良いと思いますわ」

バーバラが珍しく止めてくれたのだ。何か良からぬことを企んでいるのかもしれないが。

「でも、バーバラ」

「二人で話したこともほとんどないはずです。二人で話せばそこに愛が生まれるかもしれませんから」

バーバラーの話しを右から左に流して


「こちらに呼んで頂きます?」

私が言うと


「ジャンヌさん。あちらには待っていただいているんだから、交渉するなら向こうに行くべきよ」

バーバラがとても面倒なことを言ってくれるんだけど。



まあ、たまにはシャルルを連れて遠出するのも良いかも。

と私は思ってしまったのだ。


私は完全に遊びに行く気満々だったのだ。


そこにどす黒い陰謀が張り巡らされているなんて思ってもいなかったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

続きは明朝です。

ジャンヌの運命やいかに?

お楽しみに。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作開始


『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』

https://ncode.syosetu.com/n9991iq/

「3日後の卒業パーティーでお前のエスコートは出来ない」子爵家のエリーゼは婚約者の第一王子から宣言されてしまった。そんな、このままではゲーム通りにその卒業パーティーで皆の前で断罪されて最悪処刑されてしまう。そんな事になったらお母様と約束した事も守れないじゃないかと、エリーゼは絶望した。しかし、そんなエリーゼの元に超過保護な義兄が現れて話はますますややこしくなっていく。更に今まで厳しかった義兄がやたらエリーゼに優しいんだけど、何か変だ。

第一王子はエリーゼを帝国の公爵家の傍流に過ぎないと思っていたのだが、実はエリーゼの正体は……ヒロインの正体とその義兄の正体が判明した時、馬鹿にしていたこの国の貴族たちの間に激震が走る!

果たしてこの危機をエリーゼは義兄とともに乗り切れるのか?

ヒロインを守るために命をかける義兄の愛、ハッピーエンドはお約束です。



この話の元の

短編の作品はこちら


『天使な息子にこの命捧げます』

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【書籍化】

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なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/


2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。



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