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連載版・天使な息子にこの命捧げます  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 天使な息子のために王子との結婚してはどうかと勧められました
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第二王子が剣で斬り掛かってきたのでそのお目付け役を張り倒しました

その翌日のことだ。

私は今日も何故か迎えに来たエドと一緒に馬車に乗っていた。


なんでエドがまた、迎えに来るのよ!

私は今朝はムッとしてエドを睨みつけたんだけど、母親の命令でしかたなく来たというのだ。

まあ、王妃様の命令ならば仕方がないかと私もシャルルと一緒に馬車に乗ったんだけど、エドは不機嫌で明後日の方に向いて座っていた……


馴れ馴れしくされるのも嫌だが、無視されるのもなんだかなと思わないでもない。

それはそれでムカついたので、私は思いっきりエドの弁慶の泣き所を蹴飛ばしてやったのだ。


「ギャッ」

エドが思わず足を押さえて叫んでいた。


私がニヤリとすると、


「ブー」

可愛い天使な息子のシャルルちゃんが不満げに私の顔に手を伸ばしてきた。


「えっ、どうしたの? シャルルちゃん。お母様がよそ見したのが気に食わなかったの?」

私が見るとニコッと天使な息子は笑ってくれたのだ。


「まあ、めちゃくちゃ可愛い! ごめんなさいね。変な王子を見てしまって。もうシャルルちゃんしか見ないから」

私はエドのことなんて無視してシャルルちゃんを抱き締めたのだ。


「お前な……」

なんかエドが言っているが無視だ。


「シャルルちゃん、大好き!」

私は天使な息子のシャルルちゃんに頬ずりした。


シャルルちゃんはキャッキャッと喜んでくれたのだ。


私の隣に座ったメリーはそんな私とエドを見て何故か頭を抱えていたけれど、何でだろう?





私達はそのまま王宮の中に入って王族専用の馬車止まりから降り立った。


そこには王宮の女官長が迎えに来ていて、そのまま、私達は王妃様の部屋に向かったのだ。



「兄上」

その途中の渡り廊下で庭にいる者が声をかけてきたのだ。


そう呼ばれてエドがそちらを向いた。


私も釣られてそちらを見る。


そこにはエドに良く似た男の子がこちらに向かってきていた。

後ろに騎士を伴っている。

私は何故か騎士がニタリと笑うのが見えた。


そして、こちらに向かってきた男の子が私を見て顔色を変えたのだ。


「お前、毒婦ジャンヌ。母上の仇!」

男の子はそう言うといきなり腰に下げていた剣を抜いてこちらに向けて駆けてきたのだ。


ええええ! この子はあの側妃の子供の王子か。


さすがの私も少し怯んだ。


「やめろ、ダグラス、死にたいのか」

驚いたエドが慌てて飛び出してくれた。


「兄上、退いて下さい。この女は母上の仇なのです。私がここで成敗してやります」

「お前は馬鹿か」

そう言うと、前に出て、あっさりと剣をエドが取り上げてくれた。


さすが腐っても王子だ。

私は少しだけエドを見直したのだ。その時は。

でも、そう思った私は馬鹿だった。私はすぐに後悔したのだ。


「愚か者! お前が敵う相手ではない。こいつはな、ドラゴンの巣の中に俺とカーティスを放り込んで平気で昼寝していた奴だぞ」

私を指さしながらエドは言ってくれるんだけど、そう言えばそういう事もあったかもしれない……


「俺達が死にそうになってやっとこいつはやってきたんだ。そして、いきなり怒り狂っている龍を一撃で張り倒したんだぞ。

あの史上最強の龍をだ! 俺達はただ逃げ惑うしか出来なかったのに。普通は古代龍ともなれば騎士団総出でも勝てるかどうかなんだぞ。それをたった一撃で、それも大群をたった一人で蹴散らしたのだ。

その後龍が泣いて許しを請うたのに、あの傲岸不遜な龍が泣いて許しを請うてきたんだぞ!

なのに、こいつはもっと泣けって笑って言いやがったんだ。

こいつは人の皮を被った化け物なのだ。

そんな化け物に立ち向かうにはお前はばか……ギャッ」

エドは途中まで言えなかった。


私が後ろから頭を叩いたのだ。

エドは地面に顔から激突して這いつくばっているが、私なりに手加減はした。


「ヒィィィぃ」

私が王子をちらっと見たら、完全に真っ青になって震えていた。


思いっきり張り倒してやろうかとも思ったが、まだ子供だ。一度くらい大目に見てやろうと私はそのお目付け役の騎士を見た。


笑っていた騎士はいつの間にか笑うのを止めていた。


というか、ぎょっとした顔をした。


私はシャルルをメリーに渡すとつかつかとその騎士に向かって行ったのだ。


「な、何だ。俺は公爵家の人間だぞ。侯爵家の未亡人風情が俺に敵うわけはないのだ。寄るな! 来るんじゃない!」

必死に男は叫んでいるが、この男が王子に何か吹き込んだのだろう。


私の前で勇気のある事をしてくれたものだ。


私は完全に切れていた。


こんな子供にまで私のあること無いことをエドが話すきっかけをくれたこいつは許さん。


「や、止めて!」

男が最後に頼んできたがもう遅い。


バシーーーーン

「ギャっ」

次の瞬間、騎士は私に張り飛ばされていた。


ドーーーン

そのまま、渡り廊下の木塀を2枚突き破ってバラ園の中に飛んでいったのだった。



ここまで読んで頂いて有難うございました。

王宮で平気で王子を叩くジャンヌ。

その前に第2王子の運命やいかに?

続きは今夜の予定です。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作開始


『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』

https://ncode.syosetu.com/n9991iq/

「3日後の卒業パーティーでお前のエスコートは出来ない」子爵家のエリーゼは婚約者の第一王子から宣言されてしまった。そんな、このままではゲーム通りにその卒業パーティーで皆の前で断罪されて最悪処刑されてしまう。そんな事になったらお母様と約束した事も守れないじゃないかと、エリーゼは絶望した。しかし、そんなエリーゼの元に超過保護な義兄が現れて話はますますややこしくなっていく。更に今まで厳しかった義兄がやたらエリーゼに優しいんだけど、何か変だ。

第一王子はエリーゼを帝国の公爵家の傍流に過ぎないと思っていたのだが、実はエリーゼの正体は……ヒロインの正体とその義兄の正体が判明した時、馬鹿にしていたこの国の貴族たちの間に激震が走る!

果たしてこの危機をエリーゼは義兄とともに乗り切れるのか?

ヒロインを守るために命をかける義兄の愛、ハッピーエンドはお約束です。



この話の元の

短編の作品はこちら


『天使な息子にこの命捧げます』

https://ncode.syosetu.com/n7912ip/



アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

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なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/


2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。



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