表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/53

襲撃してきた奴らに囲まれました

矢が馬車の屋根を突き破って足元に突き刺さったのだ。

そう、わが天使な息子のすぐ傍に。


「何するのよ!」

私は瞬間湯沸かし器になった。


矢が飛んで来た方向から敵の気配を把握するや否や、右手を出して雷撃を放ったのだ。


馬車の中から……


バシンッ


という音と共に馬車を突き破って雷撃が飛んで行った。


「ギャ」

叫び声が聞こえ人が落ちた音はしたが……


「ギゃーー。馬車を壊してしまった」

私の叫び声が響いた。


馬車の横面が破壊されて風がビュービュー吹き込んでくるようになったんだけど……


「お嬢様!」

「何をしているんだ、ジャンヌ!」

皆の白い目が私に突き刺さる。


「仕方がないじゃない。天使な息子のシャルルの傍に矢が突き刺さったのよ。そんなの許せるわけないでしょ」

私は言い訳したのだった。


「何も馬車の中からやる必要は無かったのでは」

「そうだ。窓を開けてやれば良かっただろう」

アリスとエドが責めてくるんだけど、


「もう煩いわね。そこまで考えが回らなかったのよ」

私がぶすっとして言うと


「考えて下さい!」

「本当にお前は昔から考えなしだよな」

アリスに言われるのはまだいいんだけど、エドに言われるのは許せない。


くっそう、アリスがいなかったらエドを張り飛ばしたのに……


ムツとして睨みつけると


「おい、ジャンヌ、お前また良からぬことを考えただろう」

エドが言うんだけど。


もう一度頭を叩こうかと思った時だ。


「あのう、ジャンヌ様。取り囲まれていますけれど、いかが致しますか?」

御者をしてくれているトムが聞いてくれた。


「えっ、適当に相手しておいて」

私はどうやってエドをいじめようかと考えていたのだ。


「悪役令嬢ジャンヌ! いるのは判っているぞ。素直に出てこい!」

大音声が馬車の外からした。


「悪役令嬢って何なの?」

私が周りの三人に聞くと


「「さあ」」

女二人はあっさりと首を振ってくれたが、

「悪役の令嬢だろう。お前そのままじゃないか」

エドがまた余計なことを言うので頭を叩いた。


「ギャッ」

馬車の足元にエドを叩きつけた。



「さっさと出てこい。そこにいるのは分かっているぞ。悪役令嬢ジャンヌ。出てこない場合は馬車ごと破壊するがそれでも良いのか?」

なんか言っているけれど、私としては別に攻撃して来ようがしまいがどうでも良いのだが、寝ているて天使な息子のシャルルが音で起こされるのはまずい。


私は仕方無しに外に出ることにした。


「大丈夫なのですか、ジャンヌ様?」

メリーが心配してくれた。

「有難う、心配してくれるのはメリーだけよ」

私が喜んでいうと、


「お前はジャンヌの恐ろしさを知らないからそんな事言うのだ。こいつは許してくれって泣いて頭を下げてきた巨大ドラゴン相手に、もっと泣けって強要するやつだぞ。血も涙もない奴だ。気にしなくて良い」

エドが酷いこと言ってくれるんだけど、


「ちょっとエド。それと私が安全かは別の話でしょう!」

私が文句を言うと

「冷血非道なジャンヌがあんな奴らなんて、相手してもびくともしないのは当然のことだ」

エドは自信を持っていってくれるんだけど。


「あっそう、次からはエドを弓矢よけに使ってあげるわ」

私が不敵な笑みを浮かべたら


「いや、ジャンヌ。それだけはやめて」

慌ててエドが頭を下げてくるが無視だ。


「おい、いいかげんにしろよ」

そこへさらに大きな音量で叫んで来たのだ。


「本当にもう煩いわね」

私は仕方無しに外へ出てやった。


「ジャンヌ。ようやく出てきたか」

「ヴァーナス」

そこには今回のバーバラら伯母等の蜂起の責任を取って止めた執事長のヴァーナスがいた。


「どういうつもりなの?」

私は一応聞いてやった。

「どういうつもりだと! よくもお館様達を殺してくれたな。お館様と奥様の仇討ちだ」

ヴァーナスは言い切った。


「仇を討ってどうするのよ」

「お館様と奥様のお孫様に継いでいただく」

私の問にヴァーナスが答えてくれる。


「孫って言っても、あちもまだ2歳くらいじゃなかったっけ」

「貴様の息子に比べればましだ」

「そんなの陛下に認められるわけ無いでしょう」

ヴァーナスに私が言うと


「何を言っている。王太子殿下に自分の体を使って息子の爵位の継承を迫った貴様には言われたくないわ」

「何言っているのよ。そんな事していないわよ」

「そうだ。されていないぞ。やめろ、変な噂を流すのは」

私に続いて黙っていられなくなったのかエドまで馬車から出てきたんだけど。


「王太子殿下!」

ヴァーナスは驚いてエドを見た。


「貴様ら判っていると思うが、俺はジャンヌとは寝ていないからな。余計な噂を流したら不敬罪で訴えるぞ」

なんかとてつもなくエドが酷いことを言っているような気がするのだけど……


叩いていい?

私が目でアリスに合図したらアリスが首を振ってくれた。


「それよりもあなた達、剣を引きなさい。エドはこれでも王族よ。王族に剣を向けたら3族皆殺しよ。それでも良いの?」

私はついでに脅してやったのだ。


「えっ?」

兵士たちはぎょっとしたみたいだった。

元々我が侯爵家の兵士だと思うけれど。


「ええい。何をうろたえている。今回の件は側妃様もご存知であるぞ。何かあっても庇っていただけるそうだ。こうなったら第一王子殿下もろとも殺すのだ」

ヴァーナスが叫んだ。


「貴様ら反逆罪で処刑されたいのか」

エドが王子の貫禄で脅した。


兵士たちは完全に止まってしまった。


その時だ。


そのエドにグサリと矢が突き刺さったのだった。

どうなる第一王子、続きは明日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作開始


『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』

https://ncode.syosetu.com/n9991iq/

「3日後の卒業パーティーでお前のエスコートは出来ない」子爵家のエリーゼは婚約者の第一王子から宣言されてしまった。そんな、このままではゲーム通りにその卒業パーティーで皆の前で断罪されて最悪処刑されてしまう。そんな事になったらお母様と約束した事も守れないじゃないかと、エリーゼは絶望した。しかし、そんなエリーゼの元に超過保護な義兄が現れて話はますますややこしくなっていく。更に今まで厳しかった義兄がやたらエリーゼに優しいんだけど、何か変だ。

第一王子はエリーゼを帝国の公爵家の傍流に過ぎないと思っていたのだが、実はエリーゼの正体は……ヒロインの正体とその義兄の正体が判明した時、馬鹿にしていたこの国の貴族たちの間に激震が走る!

果たしてこの危機をエリーゼは義兄とともに乗り切れるのか?

ヒロインを守るために命をかける義兄の愛、ハッピーエンドはお約束です。



この話の元の

短編の作品はこちら


『天使な息子にこの命捧げます』

https://ncode.syosetu.com/n7912ip/



アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/


2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ