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遅くなった王宮の使者が唖然とする伯母たちの前で天使な息子を跡継ぎに指名してくれました。

帰ってきた私を義理の伯父とその息子は喜んで迎えてくれたが、嫌味を言ってくるだろう義理の伯母はいなかったのだ。


後で帰ってきたが、どこに行っていたんだか。


まあ、伯父もそうだが、この叔母も遊んでいるみたいだから、男の所にても行っていたのだろうか?

嫌味を言ったら怒りで震えていたから多分そうだろう。


まあ、そんな事はどうでも良いけれど。


でも、エドからの返事は遅い。1週間もかかるなんてあり得ない。敬語で書いたのが間違いだったんだろうか? まあ、明日も来なかったら、王宮に乗り込もうかしらと考えてその日は寝た。



そして、翌日。

私がお昼を食べて息子におっぱいをやっている時だ。


「ジャンヌ様。た、大変でございます」

マイヤーが飛んできたのだ。


「どうしたの?」

私が聞くと

「王宮からの御使者でございます」

息せき切ってきたからかマイヤーが話してくれるまで少し時間がかかった。


「やっときたの?」

私は呆れて言った。


「ジャンヌ様がなにかされたのですか?」

鋭い視線でマイヤーは見てきた。


「別に何も」

私は首を振った。余計な詮索をさせると碌な事はないだろう。


私がご機嫌なシャルルを連れて応接に行くと伯母夫妻とその息子夫妻も揃っていた。


使者は私の幼馴染のカーティスだった。王太子のエドはさすがに来なかったらしい。まあ、王太子が普通は使者なんかやらないけれど、私の依頼なのに……

それも一週間もかかってくれて!

さすがの私も少しムッとした。


「これはこれは王宮の御使者様。今日はどのようなご要件ですか」

伯母が聞いていた。


「あなたは?」

「私はこの家のバーバラですわ」

カーティスのこの言い方にさすがの伯母もムツとしたみたいだった。

「この家のバーバラと言われますと」

カーティスが更に聞く。これはわざとかもしれない。カーティスも嫌味なやつなのだ。


「あなた、この侯爵家の長女の私を知らないの」

さすがに機嫌を損ねてバーバラが言う。


「ああ、コールマン子爵夫人ですな。バーバラ様はこの侯爵家から嫁に出て子爵夫人になったとお聞きしております。侯爵家のと言われたので、侯爵夫人がこの様にお年を召されたのかと一瞬驚きました」

カーティスの嫌味が炸裂した。


「な、なんですって」

バーバラが切れたが、

「まあ、バーバラ、御使者様の前だ。落ちつけ」

横から夫のブランドンが抑えた。


「しかし、あなた」

「大事の前の小事だ」

ブランドンはそう言うと

「で、御使者殿、この度はどのようなご要件かな」

「あなた様は?」

「私はシャルルの伯父でございます」

「なるほど、で、シャルル殿はどちらに?」

「はい?」

「だから、シャルル殿だ」

「シャルルは先日亡くなりましたが」

伯父はカーティスの問いに困惑したみたいだ。


「何を言っているのです。その亡くなった侯爵殿のお子様のシャルル殿です」

「えっ? ご使者殿はあんな乳飲み子に御用がおありで」

驚いて伯父が聞いた。


「こちらにいらっしゃいますよ」

私はシャルルを抱いて現れたのだ。


私を見た瞬間カーティスは嫌そうな顔をしたが、自分の用を思い出したみたいだった。


「では、皆様宜しいですか」

カーティスは一同を見渡した。


「一同お控えなされ」

カーティスの合図で、全員跪いた。


「うっうっ」

何故かシャルルはカーティスに手を伸ばそうとするんだけど、

「あんなばっちいもの触ってはいけませんよ」

私はシャルルに注意した。


カーティスが舌打ちしたのが聞こえたが私が睨みつけると慌てて巻物を広げた。


「シャルル・オルレアン、貴公をオルレアン侯爵に叙す。また、シャルルは幼少の砌、成人するまではその母ジャンヌをその代行とする」


「そんな」

「信じられん」

伯父夫婦とその息子夫婦が唖然としていた。


「ご使者殿、これは何かの間違いではござらんか?」

「さようでございます。このような乳飲み子に爵位を与えるなど」

四人が使者に詰め寄るが

「控えおろう! この紋所が目に入らぬか!」

カーティスが玉璽が押された所を指差したのだ。

「ははあ!」

四人は頭を下げるしかなかった。


「シャルル殿にこれを」

そう言うとカーティスは書類を私の方に差し出した。


「バブ」

私の腕の中の天使なシャルルはあっさりとカーティスからその書類を取り上げたのだ。

なんかとてもご満悦な様子だった。さすが未来の侯爵様は違う。

私は親ばか全開で皆に自慢したい気分だった。


「なお、ジャンヌは子育てが忙しいと思う故、子供が成人するまでは王宮に参上するに及ばずと陛下が思し召しでした」

カーティスが言ってくれたんだけど、王太子が画策したに違いない。絶対に私に会いたくないからそんな事を言ってくれたのだ。


「そういうわけにも参りません。早速にお礼に参上しなければ」

私が冗談で言ってあげたら、

「いや、絶対に来るなとのことだ」

必死にカーティスが言ってくれるんだけど。


本来ならば王宮なんて面倒で行きたくないのだが、人というものは来るなと言われれば行きたくなるものなのだ。王子が私と一緒に行きたくないと言ったから無理やりドラゴン退治に連れて行ったように……


これは絶対に近いうちに行かねばなるまいと私は心に決めたのだ。


そんなことを考えてご機嫌な私の横で伯父たちは怒りに震えていたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

続きは明日の予定です。

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作開始


『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』

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「3日後の卒業パーティーでお前のエスコートは出来ない」子爵家のエリーゼは婚約者の第一王子から宣言されてしまった。そんな、このままではゲーム通りにその卒業パーティーで皆の前で断罪されて最悪処刑されてしまう。そんな事になったらお母様と約束した事も守れないじゃないかと、エリーゼは絶望した。しかし、そんなエリーゼの元に超過保護な義兄が現れて話はますますややこしくなっていく。更に今まで厳しかった義兄がやたらエリーゼに優しいんだけど、何か変だ。

第一王子はエリーゼを帝国の公爵家の傍流に過ぎないと思っていたのだが、実はエリーゼの正体は……ヒロインの正体とその義兄の正体が判明した時、馬鹿にしていたこの国の貴族たちの間に激震が走る!

果たしてこの危機をエリーゼは義兄とともに乗り切れるのか?

ヒロインを守るために命をかける義兄の愛、ハッピーエンドはお約束です。



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第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。



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