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チャッピーとピーコ  作者: タニコロ
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ヤスコとエレン

「異世界って何」

とリドが聞いてきた。

「こことは違う世界なの」

日和が答えた。

「何だ違う世界か。あはははは」

「あいつ、バカで良かったわ。あ、何で今日、私らの前でフンしたの」

「したくなっちゃって。馬だからいいかなって」

「絶対おかしいわ」

日和はジロリとリドを睨んだ。

「ところで港南ちゃん、本当の名前は」

「福田泰子です」

「私は鈴木日和」

「学校から帰ってすぐに車にひかれたんです。ライフの前で」

「ああ、新北島のライフ?」

「あそこ便利なんです。家から近くて」

「あの辺にシャトレーゼない?」

「あります。あります。行くんですか」

「よく行くよ」

「へええ。あっ違うわ。私、犬の散歩中に死んだんです」

「私と一緒だ」

「で、犬も一緒なんですけど、実は人間になって」

「それも私と一緒。チャッピー、この子」

日和がチャッピーの手を引っ張った。

「私はエレンって女の子がいるんだけど、シベリアンハスキーだったのでプロレスラーみたい。今、近所を探検中。あ、帰って来た」

190cmはあるでかい女の人が入って来た。

「ヤスコ、こいつらは」

「こら、ちゃんと丁寧な言葉使いなさい。この人たちは同じ住之江区から来た人よ」

「よろしくエレン」

と日和が手を伸ばした。一応、手を伸ばすエレン。

飼い主に従順なイヌのようだ。

「エレンはどんな必殺技使えるの」

日和が聞いた。

「思いっきり殴るの。一発ノックアウトよ」

と泰子が言うとエレンが壁を思いっきり殴った。

ボコッと大きな音が鳴り、ぼろい小屋の壁が倒れた。

「あわわわ」

とリドがまたビビる。

「え、エレン様」

「こいつ、びっくりすると土下座するのよ」

日向は笑った。

「で、あなたたちどうするの。この世界で」

日向が泰子に聞くと

「わからない。どうしたらいいか。ずっとここにいられないし」

「じゃあ私たちと行く? お金もあるし。この何も出来ないリドがたまに魔王っていうワードを出すの。本当かどうかわからないけど、いたら面白そうじゃない。チャッピーならなんか倒せそう。それにエレンがいたら完璧よ。とりあえず、向こうにある村に行きましょう。そこでおいしいもの探そ」

「うん。わかった。何があるかわからないけど、動いたほうがいいわね。りくろーおじさんよりおいしいドーナツ探そう」

「おや。ドーナツ派か。私はカレーパン派よ。チーズケーキが出てこないところを見るとマニアね」

「ばれた。そうよ。あはははは」

チャッピーとエレン、泰子と日和とリドは村に向かって歩き始めた。

「ねえ、ピーコさん、私お肉食べたい」

とリドが言うと

「何がお肉よ。馬なんだから草よ」

「馬じゃないもん。人間だもん」

「あ、ピーコって何ですか」

と泰子が聞いた。

「私、昔からピーコって言われてるの」

「そうなんですか。私もピーコさんって呼びます」

「ピーコでいいわよ。さんは付けないで。おかまみたい」

「あはははは。おすぎとピーコね。もう死んじゃったのかな」

「最近見ないわね。っていうか異世界でおすぎとピーコ?」

「あはははは。っていうか、あれ、走ってきてるヤツ、もしかしてウチらに向かってる」

「ヤスコ、やるわ」

とエレン。猛牛ドウザが走ってきた。

「リドが肉食べたいって言うから」

日和がそう言った瞬間、エレンの右ストレートがズドン。

猛牛ドウザは顔の上部を殴られ目が吹っ飛んだ。

「エレンちゃんすごい。チャッピーとエレンちゃんがいれば世界は私たちのものよ」

「そうなれば私を大臣にしてください」

とリド。

「あなたはスライム以外も倒せるようになりなさい」

日和は冷たく言った。

「あ、あれって村? っていうか異世界だけど、ちょっと日本の香りがするわね」

「あれ、そうなんですか。異世界だけど、日本っぽいんですか」

「ホテルの食堂行ったらわかるわよ。お箸と醤油とごはんがある」

「ええ、私、ごはんに卵焼き乗せて醤油をかけて食べたい」

「卵焼き丼ね。いいわね。それ。私も」

日和と泰子は笑いながら村に入った。


ポンコ村。人口2万人。まぁまぁ大きい。街の真ん中には大きな湖がある。

湖で遊ぶ人も多い。湖の真ん中には大きな橋が通っている。

「大きい湖ね。琵琶湖ほどじゃないけど」

「え、琵琶湖行ったことあるんですか」

「ウチの大学、鳥人間コンテストに出ていて応援に行ったことがあるの。友達の彼氏が飛んでね」

「うわ、そうなんだ」

湖の橋まで行く。

「何か文化がありそうでなさそうなんだよね。この橋、技術ありそうじゃん。でも、車とかないんだよ。馬車だけ。あ、リドに馬車を引かそう。それなら4人乗れるわ」

「ピーコ、無茶言わないで」

とリド。

「一緒にいたかったら言うこと聞いてよ」

5人はホテルに行った。3部屋を借り、リドを一番遠い部屋にした。

「ねぇ、お風呂ないのかな」

日和が服の匂いを嗅ぎながら言った。

「地図を見ると温泉があるみたいですよ」

泰子が持っていた地図を日和に渡した。

「温泉があるの。よかった。もうちょっとで死ぬとこだった。リドも絶対連れて行きましょう」

5人は温泉に向かった。

「温泉なんてスパ住之江以来だわ」

「私も湯楽以来」

「でも、湯楽って潰れたんでしょ」

「そうなの。不便になったわ。スパ住之江、外国人だらけでしょ」

「今、私ら、外国人を越えた異世界人ですけどね。あはははは」

「そうね。あはははは」

日和と泰子は陽気になっていた。一応、温泉効果だろう。

一方、リドは両手、両足をばちゃばちゃ動かして泳いでいた。

「こんなところに来てもバカなの。カラダ洗いなさい。ほら、ワンちゃんたち、綺麗に洗ってるじゃない」

日向がリドを掴んで怒る。

「わかりました、師匠」

とリド。

「あの子、美人なんだからもうちょっとちゃんとしたらいいのに」

と日向。

「でも、背中に焼き印入ってるし、何か過去にあったかも知れませんよ」

泰子が背中を洗いながら言った。

「でも、バカなのよね」

日向は徹底的に自分の身体を洗った。

そして温泉から出ると近所のレストランのようなところに入った。

「日向さん、あっピーコ、今、あの店員さんに聞いたんですけど、この村のすぐ隣にお城と城下町があるんですって」

「え、行ってみる。行っちゃう」

「はい。お城見たいです」

まだ、昼過ぎなので今から行くことにした。

「歩いて行こう」

と日向が言うと

「どこに行くんですか」

とリドが言ってきた。

「お城」

と言うと

「じゃあこれで」

と言ってくる。

何か変だ。おかしいと思って日向はリドを魔法で馬にし、強引に引っ張って行った。


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