役立たずのリド
「さぁ行くわよ。朝御飯もいっぱい食べたし」
リドが両手を上げて大きなあくびをした。
「何よ。全部出してもらって。何もできなかったらほり出してやる」
ピーコはブツブツ独り言を言っていた。
「軽い敵は私が倒すから重い敵をお願い」
「自分勝手ね。バーカ」
ピーコがバカと言ってもリドにはイヌが鳴いているようにしか聞こえない。
「ピーコ、行けばいいのね」
チャッピーは立ち上がってピーコを脇に抱えた。
「歩くわよ」
「遅いからいい」
と言いながらチャッピーはリドに引きづられた。
村を出る。しばらくするとすぐに森に入った。ガサゴソ音がする。
「スライムね。私が倒すから」
リドが剣を振り回す。3匹のスライムを倒した。
「どんなもん」
リドは自己アピールをしてくる。
「むっちゃ弱そうやん」
ピーコが言った。チャッピーは無口のままだ。
続いて歩いていると木の裏からストロングベアーが出てきた。
ピーコがチャッピーに
「リドお願い。これも余裕でしょ」
と言わせた。
仕方なくリドが戦う。
クマがリドの頭を叩く。
一瞬で気絶するリド。
「あの子弱っ」
「じゃあピーコ行って」
チャッピーがストロングベアーにピーコを投げつける。
首筋を噛みつけるピーコ。クマはズデンと倒れる。
「あれ、今、意識あったわ。何だかいつものように噛み付けばいいって」
「何でもいいけどその子どうする?」
「もうほっとくか。チャッピー行こ」
弱いリドを置き去りにして歩き出した。
「あの子、スライムだけやん。あとチャッピーも何もしない」
「するよ。倒すよ」
と言いながら歩いていると
「待ってくださーい」
とリドが走ってきた。
「あなた何もできないじゃない」
ピーコがチャッピーに言わせた。
「ご飯作れます。寝床作れます」
「もうお手伝いさんやん。死ぬなよ」
ピーコが言わせた。
「はい。すみません」
トボトボとリドがついてきた。
森を抜けるとついにポポロ洞窟だ。
「私がたいまつ着けます」
とリドが言った。
無言で見つめるチャッピー。軽いプレッシャーだ。
「リド、絶対死ぬなよ」
とピーコが言わせた。
「絶対生き残ります。ダンナ様」
リドがへり下って言った。
「バカな女」
ピーコがそう思いながらチャッピーに抱かれていた。
「じゃあ1回チャッピーが倒して」
「次、なんか来たら倒すよ」
「そんなん言いながら逃げないでね」
「逃げないよ」
ブツブツ言ってるとシルバーフォックスが現れた。
「チャッピー来たわよ」
「わかってる」
チャッピーはピーコを左手に抱えながら右手でパンチ。
グチャ。腕はシルバーフォックスのカラダを貫通した。
「あなた強かったのね」
「怒らせないように気をつけてね」
はい、と言おうと思ったらリドがまた土下座し始めた。
「ああチャッピー様、強い。完璧です」
ピーコはリドをバカにした表情で
「こいつの18番は土下座やわ」
と冷たく笑った。