漢詩:妻に示す/1222年の元日
お正月にふさわしい漢詩を2つ挙げます。
漢詩なんて年寄りが愛好するものって感じかもしれませんが、中には今の我々にもよく理解できるものがあります。最初は沈受宏っていう清の時代の人です。離れたところに住んでる妻に春の景色を詩にして送ったものです。
なお、横に書いてある訳文みたいなものはそんな立派なものではなく、自由にと言うか、今の感覚で勝手に書いてみたものです。
示内 妻に示す
莫歎貧家卒歳難 まあ嘆くなよ。貧しいから年を越せないなんて
北風曾過幾番寒 北風が寒くてもいつも何とかなったじゃないか
明年桃柳堂前樹 年が明ければ家の前には桃や柳
還汝春光満眼看 君の瞳もいっぱいの春の光でまた輝くさ
前半2行の「貧、難、北、寒」といった文字による暗いイメージが後半2行の「明、桃、柳、春、光」といった明るいイメージになるのがいい感じです。それがそのまま妻への愛情表現になっています。
次は耶律楚材っていう人ので、今のウズベキスタンのシルクロードの町サマルカンドで、故郷を遠く離れて新年を迎えたときのものです。彼はモンゴル系の契丹族の貴族で、チンギス・ハーンやオゴタイ・ハーンに長く仕えました。
壬午元日 1222年の元日
西域風光換 新春はサマルカンドにもやってきたけれど
東方音問疎 はるかな故郷からは手紙もめったに来ない
屠蘇聊復飲 屠蘇でももう少し飲むか
鬱塁不須書 門松を立てたりすることもない
旧歳昨宵尽 過ぎ去った年は昨夜で終わり
新年此日初 今日から新年
客中今十載 異郷にもう10年
孀母信何如 父を亡くし、母はどうしているだろう
昔だって、一人ぼっちのさみしいお正月を送っていた人がいるんだって思うと、なんかほっとしますね。