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俺のラブコメどこ行った  作者: 如月 羽藺葉
3/22

衝撃

 悠馬と駅で別れたのち俺は帰宅するための電車に乗り込む。

 高校と自宅は電車で約三十分の距離にある。そのために電車での移動は少々暇を持て余すことになる。中学までの俺ならばラノベを読みながら、アニソンを聞いていたとこだろう。音楽を聴くという時点は同じだが、今俺のイヤホンから流れる音楽はアニソンではなく流行のドラマ主題歌。時間を潰すために手元には本。本好きはやめられないようで、でもラノベではなく文芸書をたしなむことにした。そうすれば少なくともヲタクではなくなることができると俺は踏んでいた。

 今までとは全く違う趣味を始めたにも関わらず意外と集中することができたのか、気が付けば自宅最寄り駅まで帰っていた。

 最寄り駅から家までは10分程度。自転車での移動になる。さすがにこの状態で読書はできるはずもなく。というかマナー違反。音楽ももちろんルール違反なので聞かずに、自転車を漕ぐ。夕暮れに染まる生まれ育った町の景色を眺めながら自転車を漕いでいると10分なんて時間はすぐで家へとたどり着く。

 家に到着した安心感からか全身を覆っていた緊張感がほどける。緊張感のせいでたまっていた疲労を自覚する。

 「ただいまー、疲れたー」

 玄関を開け、家の中に入るといつもとは少し違う騒がしさが聞こえる。具体的には我が家は自分を含めて4人。つまり談笑していても3人がいいところが居間から聞こえる談笑の声は6人くらい規模を有していた。

 ふと足元を見ると、見慣れない靴が三足並んでいた。ただそれも祖父母のものではなく、別の家族の靴だ。

 「お兄ちゃん遅い」

 俺が帰宅したことを察知した妹が居間のドアから顔をだし俺に居間へ来ることように呼びかける。

 妹に言われた上に客人が来ているのに無視して部屋に上がるのはさすがに外聞が悪いので、居間へと移動する。服装が制服のまま?そんなものは気にしない。というか学生にとって制服が正装なんだむしろ畏まりすぎているまである。

 居間のドアを開けて、隣接するダイニングのテーブルのほうへ移動する。

 我が家に来ていた家族はどうにもこうにも目を引く家族だった

 「おお、おかえり。こちらは父さんの大学時代の友達家族でな、息子さんが日本の高校に通うからと引っ越してきてな久々に挨拶に来てくれてな」

 親父の友人。元々親父はとある大学の外国学部出身のせいもあり、友人にかなりの数の外交官や海外商社勤務の友人がいる。今回我が家を訪ねてきた友人もその一人だった。そのため父さんの友人はまあ言わずもがな日本人で、その奥さんは金髪碧眼外国人、それも多分かなりの美人に属する類のだ。でもまあ今までもこういったことが多かったので今更大して驚きはしないはずだった。

 息子を見るまでは

 「な、な、な、なんでここにいる悠馬」

 「それはこっちのセリフだ」

 驚くも何もお父さんの友人の息子はまさかのつい今しがたまで一緒にいた今日友人になったばかりの悠馬だった。

 「なんだ二人とももう仲良くなったのか」

 「学校で席が前後で」

 「そんな偶然があるんだな」

 と父親を含めダイニングにいる俺以外は全員のんきに談笑していた。

 が俺はそんな談笑できないでいた、何この展開、ラノベというかご都合主義の作品ならここで出てくるのはシャルでしょうが、金髪碧眼の外国人お母さんがいて父親同士が友人で入学式の日にわざわざ遊びに来るような付き合いでってなるとそこはメインヒロインの役割でしょうが、シャルの用事って何だったの、腐女子がメインヒロインってのもどうかだけれども、こういう流れでしょうが、なんで悠馬、お前なんだ。何お前がメインヒロインなわけ?やめてやめてBLが始まっちゃう?

 と馬鹿な思考が俺の頭の中でグルグルと巡っているとふとシャルが放った衆道が頭をよぎる。

 

 や・め・ろ

 

 本気で頭の中から馬鹿な考えを追い出す。

 

 「みんなで晩御飯を食べよう」

 親父の一声で食事を始めた。

 お母さんのいつも通りでいつもよりも豪勢な食事に舌鼓を打った。


 食事は終わり、父親同士は久方ぶりの再開もあってすぐさま酒宴へと移行していた。そうなると必然として子供たちは食事の席を離れ、リビングへと移動していた。

 妹は友達との電話があるといって自分の部屋へと上がっていった。

 つまりリビングにいるのは必然として俺と悠馬の二人。

 お互いに気まずく会話を開始する空気ではなかったけれども沈黙が続くほうが余計に頭の中を「衆道」の二文字がちらつくので無理やりに会話を始める。

 「悠馬お前は知っていたのか?」

 「いや、知らなかった。ここに来ることすら知らなかったくらいだ」

 「そうか、でもまさかお前がハーフだったとは」

 「うん、父親の遺伝子が強く出てるだけで実はハーフなんだよ」

 これで俺の高校生活のスタート時の友人は2名ともハーフという極めてイレギュラーな状態で始まったわけだが

 「お前、金髪碧眼に見慣れてるのに何でシャルに一目ぼれしたんだよ」

 そう実はこれが少し気になったのだが、金髪碧眼の美少女なんて見慣れているはずで、話によれば中学卒業まではイギリスで過ごしていた彼ならば金髪近眼の美少女に惚れるよりかは、今まで見慣れない日本人の女の子のほうが惚れる確率が高いはずだと思ったのだ。実際、教室で話した直後には教室の日本人美少女に花を伸ばしていた。どうでもいい話ではあるが悠馬の距離感の近さはどうやら外国育ちによるものだというのが発覚したわけだ。正直どうでもいい。

 「実は...昔見たアニメの女の子に似ていたから」

 「はあ?ちょっとまてお前ヲタクじゃないんじゃなかったか?」

 「ああ、ヲタクではない。でも初恋がそのキャラクターなんだ」

 つまり、悠馬はヲタクではないが、初恋の女の子がシャルに似ていたからシャルに恋したということらしい。

 「でも初恋がアニメキャラなのに何故ヲタクにならなかったんだ?」

 まあ至極当然の話ではあると思う。

 「向こうって規制が厳しいじゃないか?それでそのキャラクターを調べても調べてもわからなかったんだ。だから日本に来ればわかるかもと思って」

 悠馬に関する情報がさらに上書きされた。

 ヲタクではないが初恋がアニメキャラクターで規制が厳しいせいで、初恋が分からずにその正体を探すために本丸日本に家族を巻き込んで進学。進学先で初対面のシャルが初恋のキャラクターに似ていたから恋をした。ということだ、まあシャルは二次元めいた見た目ではあるけれども

 「それお父さんたち知ってるのか?」

 「もちろん、タイミングもよかったんだ、父さんの海外赴任がなくなったのと時期がかぶってな」

 うーん寛容。そしてナイスタイミング。

 「ちなみにそのキャラクターわかったのか?」

 「いや、まだ分かっていないんだ。何かの縁だ頼む手伝ってくれ」

 「ヲタクにするって言ったしな、むしろその手助けになりやすいから構わん」

 「キャラクター名とかはわかるか?」

 「わかるのは見た目だけなんだ」

 どうやら小さいころどこかで見かけただけらしく、手掛かりはほぼない。強いていうのならそのキャラクターが金髪碧眼で髪をアップにしていて、光る剣を持っていて、金髪碧眼なのに日本人ぽい顔をしていたことが手掛かりになりそうではある。まあ金髪碧眼で日本人ぽい顔ってなると確かにシャルは当てはまる。ただまあ、そのキャラクターに心当たりがないことはない。ただ問題はどこで見たかによる。

 「なあ、悠馬それ見た場所思い出せないか?」

 「うーん、多分親父の書斎だった気がする。侵入がばれてものすごく怒られたような気がするし」

 悠馬のお父様アウトーーーーーーー。というか金髪碧眼に惹かれる理由ってもしかすると親子そろって同じなのではないか?

 まあここで推理を披露するとしよう。

 「多分、分かった。」

 「本当か?やっぱすげえな」

 「わりと有名だしな」

 「そうなのか?でも見つからなかったぞ」

 「まあ、そこにも理由はある。とにもかくにも種明かしをしよう。まず、日本国内で金髪碧眼のキャラクターは正直ごまんといる。しかし、この中で光る剣を所持しているキャラクターは数少ない」

 「ほうほう」

 いや、ほうほうじゃなくて多分予想通りのキャラクターであればイギリス人出身であるお前が気が付かないのか不思議だ。いや、そもそもで本来は男か。この時点で気づく人は気づく。

 「加えて今から10年近く前にキャラクターとして成立しているのならさらに絞られてくる。さらに言えば今現在に知名度は上がってきていて有名ではあるものの10年近く前にはその中身からほぼ確実に海外では規制対象のキャラクターとなればただ一人。F〇te/stay nightのア〇トリアだ。」

 俺はイギリスの世界最高の顧問探偵ばりの推理を披露しながら、開いた画像を悠馬に見せた。

 「こ、こ、このひとだーーーーーーーーー」

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