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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

鬼灯-ふたばの糸-

繫がりなんて脆いもの。

作者: ウツギ。

「ふたばが死んだ?」

 頭を思いきり鈍器で殴られたかのような衝撃が走った。

 私にとってそれは、予想だにしないことだったのだ。

「うん。自殺だったんだよね……?」

 友人が気を使ってか、控えめに首を傾げ尋ねた。

 私は突然の衝撃に対応出来ず、ココアが入ったカップを手に持って固まる。


「(いつも笑顔を絶やさなかったふたばが……)」

 自殺?


「ありえない。だって、どうして、なんで?

 ふたばはべつに家族内でも問題なかったし、学校も楽しいって話してたんだよ。どこにも自殺する要素なんて……」

「…………」

 友人も私も黙りこくって、部屋が異様な空気に包まれる。 


 信じられなかった。

 ふたばが、今この地上で息をしていないということが。

「まさか知らなかったの……?」

 友人が驚きを隠せないような、苦虫を噛み潰したような、なんとも言えない表情をして私を見る。

 知らない。知るはずないよ。

 だって、ここ三ヶ月ずっと会っていなかったんだもの。


「……でも、そっかぁ。死んじゃったんだ。」

 ふたばはもういないんだ。

 ……なんか、不思議だな。この間まで普通に会話してた人が、今はもう居ないだなんて。ふたばもまだ若いのに。

「かわいそう……。」

 そう思うと、目から涙が零れた。


 ……でも、これはしょうがないのかもしれない。

 もしかしたらこれは必然で、どうしようもないことだったのかも。

 たしかにふたばのことは残念だけど、そんなに親しいってわけでもなかったし。

 たしかに繋がってはいたけど……ただそれだけの話。


 だから別に、そんなに気に思わずにいていいのかもしれない。


 吹っ切れた私を見て、友人はおずおずと声を発する。

「……あのさ。ふたばちゃんの自殺についてなんだけど……」

 息の詰まるような静かな空間で、彼女から話しかけてくれたのはありがたい。

 私は満面の笑みで、友人の方を向く。


 なぁに?


 そう私が聞く間もなく友人は、塩をかけられたナメクジを見るかのような表情(かお)を私に向けて言った。




「なんで母親(あなた)が知らなかったの?」




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― 新着の感想 ―
[一言] 最高です笑 最後のセリフで背筋がゾッとしました! この母親恐ろしいいいい!!笑 「脆い」……私、この言葉大好きです笑
[一言] まず、発想の転換に拍手します。ありそうでないような、なさそうであるような、おぼろげな世界を描き出せる能力は大切にすべきですね。 本当に怖かった。わたしのお気に入りユーザーの方々はこういう怖…
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