第1話 依頼
気がつけば私は黒歴史の主人公になっていました
それはまだいい。異世界ものによくある話だ
だが、その黒歴史がうまい具合に脚色されているのが腹立つ
生き恥を晒されている気分だ
出来れば夢オチであってほしい。夢から醒めてくれ
「おーい、生きてるかー?」
池部静が心配そうに顔をのぞかせる
美人なら大歓迎だが残念ながらイラスト調だ。恋はしない
はぁ、納得はしていないが受け入れるしかない
俺は風間拓也だ。うん、受け入れろ
「ふぅ…すまん、落ち着いてきた。帰ってきたということは依頼か?」
「ああ、このご時勢に珍しく直接交渉に来た」
「へえ?」
この冒頭シーンも覚えている
確かモノローグから始まるんだっけ
時代はXXXX年。世界は混沌を極めていた
第四次世界大戦が終結し、国という概念が廃れた時代
人々の生活は弱肉強食となっていた
各地域の政府機関が結集し、中央政府が発足されたが影響力は皆無
そんななか弱者を救うために立ち上がった人々がいた
人は彼らを「仕事人」と呼んだ
そんな感じだった気がする。
聞こえはいいが要は「何でも屋」だ
書いていく途中で少年雑誌で銀やスケ○ト団が連載され、もにょった記憶がある
「どうかしましたか?」
「なんでもない、続けてくれ」
今目の前にいるのは依頼者。ガリガリの男性だ
あーかなり古いバージョンから持ってきているな
「Flagments of Winds」は家庭の事情により幾度も冒頭が変わっている
最後に残ったのはメモ書きだが、別の女性キャラが依頼を持ってきた覚えがある
「つまり人探しのご依頼ですね。心当たりは?」
「暗礁区B-8あたりが怪しいです」
「おうふ」
突然の恥ずかしい単語に変な声が出てしまう
暗礁区って!もう少しまともな単語無かったのか?
設定を思い出す
俺たちのような一般人が住む居住区とは違い、暗礁区は紛争地域だ
ゲリラ的集団の溜り場や研究施設の隠れ蓑だとか黒い噂が絶えない場所でもある
「ずいぶん具体的場所ですが根拠は?」
「こちらです」
そういって男性は電子端末を取り出す
あれ、こんなシーンあったっけ?
「娘には万が一のために発信機を持たせてあります。その反応がここで止まっています」
「なるほど。わかりました」
はっきり言っておこう。これは罠だ
この依頼を受ければ俺たちはとんでもないことに巻き込まれてしまう
だが俺たちは依頼を破棄することができない。
なぜなら…
「報酬は言い値で出します。どうかお願いします」
「分かりました。進捗があり次第連絡します」
単純明快、金が無いからだ!
主人公は金欠、よくあるパターンがここにも反映されている
色々手続きを終え、依頼人が立ち去る
「久々の依頼だねえ。腕が鳴るよ」
「気楽なもんだな。明らかに罠だろうが」
静は久しぶりの依頼にテンションがあがっているようだ
体力バカではない。普通に久しぶりの依頼だからだ
「しかし妙な話だ…」
「どこからだよ翔仁、ツッコミどころが多くて妙だってか?」
「違う、あの地域一帯は奴のシマだろ。そういうことはしないはずだ」
奥野翔仁はたしか裏事情に詳しいキャラとして描写していたな
たしか殺し屋に近い「削除人」を以前は勤めていたんだっけ?
思い出すだけでも恥ずかしくなる
「奴って?」
「安藤秋一」
「あー。あいつね」
安藤秋一。この地域で知らないものはいない超有名人だ
この時代には珍しく義理を通すマフィアとして描いていたな
「確かにあいつなら俺たちをおびき寄せることはしないだろうな」
「罠前提で話を進めるのもどうかと思いますけどね」
西田彩夏は常識キャラポジションで情報通
彼女は光学PCを使って目的地までの経路を調べている
先ほど言ったように暗礁区は紛争地域だが入り組んだビルが立ち並ぶ地域だ
そのため直線的に進めるわけでもなく、非戦闘地域を考慮して動く必要がある
「経路検索完了です。いつでも行けます」
「それじゃあ、行きますか」
「ほら、準備しな」
正直全くやる気が無い
元々面倒癖がついているのもあるが、作品を良く知っていることもある
「いい加減この武器とお別れしたいものだな」
俺の武器は黒龍刀、血塗られた妖刀で禍々しいオーラを放っているのが特徴
シンプルな見た目でいかにもな厨二武器
もちろん扱えるのは限られた人で、使い方を誤ると自我が失うオマケつき
誰がこんな武器を好んで使用するというんだ。バカか俺は、馬鹿なのか?!
呪われた武器というのは厨二的によくある設定だよね