将棋が好きな神様の悪戯4
「この世界を統べる神よ!シンバンによる裁定を申請する!
対戦相手は目の前のこいつだ!
こいつが負けた場合はこいつを王国民に登録の上、同時に五級犯罪者に落とす!
俺が負けた場合の代償はこいつの労働力と等価値の王国銀貨だ!」
『代償確認。
先攻サガワナオト。0戦0勝。敗北の場合は王国民五級犯罪者へ身分落ち。
後攻アラミド。4237戦2522勝。敗北の場合は銀貨30枚の支払い。
相違ないか。』
「ねぇよ!おら、おめぇも言えや。」
「ソーイアリマセン…」
地獄耳の副団長に副音声を聞かれた俺は、広場のど真ん中で空中に浮かぶスクリーンになんかよくわからないまま、深刻そうな事を確認させられていた。
どうやらこの国では、国民でない人間を発見した場合、例のシンバンとやらを使って強制的に王国民に組み込むらしい。
その時今回のように捕縛の必要があるなら、王国民犯罪者として組み込み、捕縛の大義名分を一緒に作るのだそうだ。
アラフィフおじさん…あの土壇場で説明ありがとう。
出来れば全力で逃げたかったが、逃げると罪が重くなると言われ、行き先がないのも相まって止むを得ず受ける事にした。
(まぁ五級なら死刑になるって事もなさそうだし…。)
そういう訳で、僕は今シンバンとやらによる勝負を強制させられようとしている。
ゲームにしては随分近代的で、副団長が「ボードオン」と厨二っぽいポーズで叫ぶと空中にスクリーンが浮かび、そこで何を賭けるのかを宣言するようだ。
ボイス入力可能とかスゴすぎでは?
「てめぇはシンバンを知らねぇっつってたな?
兵一人動かせねぇカスとやっても面白くもなんともねぇ。
最低限のルールだけは教えてやらぁ」
(随分親切っすね、ロリコンなのに。)
「いいか?シンバンってのはな…
【中略】
って競技だ。
わかったか!」
「…。」
まじかこれ。
「わかったか!!」
「え、あぁ。ハイ…」
「ふん。じゃあ始めんぞ。」
いや、もしかしたら俺の聞き間違いかもしれない!
地球でも『いち』と『しち』の聞き間違いや『ディー』と『イー』の聞き間違いはよくあった!
念の為の確認だけしよう!そうしよう!
「すみません!ルールの確認をさせて下さい!
シンバンのルールって
【中略】
という事で合ってますか!?」
「お、おぉ。よくわかってんじゃねぇか。
一度で覚えるとか…顔に似合わずやるなお前。
しかし…俺そこまで説明したっけか?」
いや…覚えたっつーか知ってたっつーか…。
いやしかし…まじか。
これまじか。
「まぁいいや。
じゃあ次こそ始めんぞ。バトル開始!」
目の前のスクリーンにゲームの舞台が映し出される。
まず四角いフィールドが表示され、そこに縦横八本ずつの線が走る。
作られた八十一個のマス目に、対戦者の依代となるユニットが現れる。
その数は一人につき二十体。
玉将一名!
金将二名!
銀将二名!
桂馬二名!
香車二名!
歩兵九名!
角行一名!
飛車一名!
「ふん!カスはカスなりに少しは楽しませろよ!」
シンバンって将棋じゃん!!!!




