棋士団VSナオト道場9
今回、一部の局面図を試験的にjpegにしました。
あまりにノイズが目立つ場合は再検討します。
この3一金は当然ながら王手である。
そして何より重要なのは、角打ちを布石とする事で、盤上左側への玉の逃げ道を封鎖している所にある。
角打ちを挟まず3一金とした場合、4二玉とされると左側にユリちゃんの駒がほとんどない為、玉を捕まえられない。
そこで一度8六角とし、龍取りを見せつつ玉が左側へ逃げるルートを防ぎ、龍で角を取りに来たら3一金で右側への移動を強制するのである。
3一金は角の紐が着いているので取ることは出来ない。
角が効いている為、4二玉から左側へ逃げる事も出来ない。
よって取れるのは3三玉か2二玉に逃げる手だが
3三玉は2五桂、4四玉、4五銀で詰み。
2五桂に2四玉は、2一金から寄り筋
2二玉は4一銀から寄り筋となる。
ここまで進めば門下生にもユリちゃんの狙いは理解できる。
検討盤で駒を進めながら、皆小さく「おおぉ…!」と感嘆の声を上げていた。
「く…くそっ!!」
『2二玉』
そして未だ逃げ切れると思っている副団長サンは、盤上の悪あがきを続ける事を選択したようだった。
無駄な事を…。
『4一銀』
時間をほとんど消費せず、ユリちゃんから詰めろに至る継続手が飛ぶ。
応手は非常に速いが、焦っていたり、棋士団の方々の様に手拍子で指したりしているわけではない。
考慮時間として消費した5分間で、副団長サンの応手に関する読みまで十分に済んでいる為、この局面で新たに時間を消費する必要がないのだ。
「う…ぐ…」
4一銀は王手ではないが、例えばこの局面で8六龍などと角を取ってしまうと
3二銀成と王手がかかり、この局面が非常に厳しいものとなる。
応手としては、成銀を取る事が出来ない為玉を逃がすしかなく、逃がす先は1二玉、1三玉の二通り。
どちらも即詰みは無いが、玉の逃げ場が非常に狭く、局面は厳しいままである。
例を挙げると、1三玉には2一金で詰めろがかかる。
以下8九飛などで攻めようとすると、2五桂、2四玉、3三銀、2五玉、3七桂で詰みである。
詰めろを解くには3三の地点を先受けする必要があるが、例えば6六角などで先受けすると2五桂、2四玉を入れてから1一金と香車を取り、これを同角と取るなら1三銀、2五玉、3七桂で詰み。
同角と取らず、2五玉と早逃げしても2六香で詰む。
1二玉の場合も同様に2一金で詰めろがかかる。
先と同じように攻めようとすると2二金、1三玉、2五桂、2四玉、3三銀、2五玉、3七桂で詰みである。
こちらの場合も詰めろを解くには3三の地点を先受けする必要があるが、同様に6六角などで先受けすると2二銀で必死がかかる。
2二銀を放置すると1一金で詰んでしまうので、対処する必要があるが、角で取ってしまうと
2二同角、同金、1三玉、2五桂、2四玉、3三角、2四玉、3七桂で詰む。
と、このように,
局面は圧倒的に副団長サンの敗勢。
投了してもおかしくないほどの局面なのだが…。
『8六龍』
(ですよねー)
つくづく棋士団の方々はこちらの予想を悪い意味で裏切らない。
対局は投了まで行ってませんが、対局の描写は本部分で終わりになります。
お待たせして申し訳ありません…m(__)m




