将棋が好きな神様の悪戯12
「ショーギドウジョー?」
「ええ、将棋という盤上遊戯を教える場所です。
子供だけでなく、大人にも。」
翌日、俺は村長の家に足を運び、村に将棋道場を作りたい旨を伝えた。
シンバンを使ってもいいんだが、どうもあれは指導対局に向いてない。
駒落ちができないし、何か物を賭けないといけないし。
将来的に村の産業として育てる意味でも、将棋は普及させたい。
「バンジョーユーギというのが何か私には解りませんが…。
それは、村にとってどんなメリットがあるのでしょうか?」
「そうですね…。まぁ長期的に見れば色々なメリットがありますが、一言でいえば…
昨日の副団長程度にならシンバンで勝てるようになります。」
「それは本当ですか!?」
寧ろあんなのに負けるような指導なんかする方が難しい。
受ける側のやる気次第だが、成人への指導は量より質が重要(だと俺は思ってる)ので、一定水準の棋力までなら、子供より早く身に着く。(はずだ。)
何れにしろ、戦術も定跡も煮詰まってない奴らを相手にするなら、さほど込み入った練習をする必要もない。
一年もあれば常勝安定くらいに持っていけるだろ。
「ええ、もちろんです。
昨晩、記憶の一部を思い出したのですが、私はその将棋道場でシンバンの勉強を行いました。
昨日の対局はその結果です。
私が今の実力を身に着けるのにかかった時間は二年ほどですが、副団長程度に勝ち越すな私の半分ほどの力があれば十分です。
例のキシ団による徴収を真っ向から正々堂々拒否できるというだけでも、村にとってはメリットだと思いますが。」
「それが出来るなら是非!!
して…どの程度お支払いすれば…」
「?
いえ、いま使わせてもらってる家あるじゃないですか。
あれをそのまま使うので、追加の施設とかは不要ですよ?
いくつかの小道具を作ってもらう必要はありますけど…」
「いえ、そうではなく。
ナオトさん本人にはどの程度お支払いすればよろしいのでしょうか…。
村の財政もあまり豊富ではないので、あまり大きな額はお支払いできないのですが…」
…?。
あぁ!把握した。将棋を教わることに対して対価を払おうとしてるのか。
「自分が好きで教える事なので対価はいらないですよ。
まぁ、食うに困らない程度頂ければ。
必要なら畑仕事もお手伝いしますし。」
「そ、その程度で本当によろしいのですか!?
キシ団にシンバンで勝てるようになる秘術など、いくら積んでも惜しく無いという人は多いと思いますが…。」
まぁそうかもしれんけど、別に金欲しさにする事でもないしな…。
「私が好きですることですから(ニッコリ)」
「おおぉ…
ありがとうございます!ありがとうございます!」
そこまで感謝されると流石に照れるな。
日本じゃもう将棋道場の需要はなくなってきていたけど、この世界は寧ろ今から始まるんだ。
あんな理不尽な所業なんぞ、文字通り片手で跳ね除けられる将棋指しを育ててやろうじゃないか!!




