na ma ka
周りを見るとほぼ霧が無くなっていた。そして信じられないほどに明るくなっていた。
「ここどこだ?」
校門を見ても見慣れない。こんな学校近くにあったのか?校舎の鐘がなる。時計では8時20分を指していた。
「おい!何してるんだ‼」
雷のような怒号が響く。
「あ、すみません。」
見た目熱血教師が立っていた。こんなのが担任だったらきついだろうな、と思い学校を去ろうとする。
「どこへ行くんだ!もうホームルーは始まるぞ。」
「へっ!?」
驚きながら腕を引っ張られる。
その教師はオレの下駄箱やクラスを教えてくれた。
「お前は2年A組だろう。」
なるほど、ホームルームが始まる時間は25分かららしい。周りの生徒も急いでいた。
席は…どうやらいつも学校で座っている窓際の場所らしかった。
「ようし、皆そろっているな?」
…あの熱血先生が立っていた。多分担任確定だろう。
(てか、どういうことだ?)
オレはさっきまで買い物に出かけていた。そして気づけば他の高校に来ていた。しかも周りは特に気にする様子もない。
(…そうか、夢だ。)
きっとそうに違いない。こんな夢を見ることだってあるだろう。
机の中を見てみると、見事に教科書が入っている。とりあえずは開いておきたい。
「はいそこ、起こしてあげて。」
いつの間にか眠ってしまい、隣の生徒に体を揺すられる。周りはクスクスと笑いこっちを見ていた。
「あ、すみません!」
あと少しで1時限目が終わる時間か。夢で眠ってしまうとは…。
(って、これ夢じゃないだろ。)
さっきから空腹と夏特有の暑さを感じる。あまりにもリアルすぎている。夢じゃないとしたら考えられるのは…。
ドッキリだ。多分テレビでやっているようなドッキリをしているのだ。そういえば[よ〇こ]のは〇ぐちさんも大学ドッキリに引っかかっていた。
多分これが答えに近い。
きっと校舎を作って1000人近いアシスタントを雇い、霧を出して時間を遡らせた…。
「んなわけあるかっ。」
昼休みになってパンとコーヒーを買いひと気の少ない屋上で食べていた。夢にしてはリアルで、テレビにしてはやりすぎている…。!
「これは今流行りの、異世界転生だ!」
言葉に出してみたがそっちのほうが違和感があった。そっちの線のほうが難しい。
「にしても暑いな―。」
あいにく近くに水道がある。少し水を浴びようと思って上を脱いだ。
「きゃあ!!」
可憐な女子の声が聞こえた。見るとなるほど、黒髪のスタイルいい人が立っていた。
「なんで脱いでるのよ!?」
「それは人がなぜ息をするのかという質問並みに愚弄な問いだ。」
「変なこと言ってないで。私はあなたより年上よ!」
たしかに上履きの色が違う。オレは緑で相手は赤だった。
「ということは3年ですか?」
「そ、そうよ!」
「それは失礼。つい暑かったんで。どうすればいいですか?」
「とりあえず服を着なさい!」