アイテムボックス持ちの旅商です。何かご入用ですか?
バッサリと、目の前でわいばーんが一刀両断されて倒れました。
「危ないところだったな」
そう言って、私をわいばーんの襲撃から助けてくれた隻眼の剣士が、かっこいい決め台詞を言います。
しかし、残念なことに彼の愛剣の刃が折れてしまいました。
「申し訳ありません」
自分なんぞのために、わいばーん相手に貴重な剣を使ってしまって。
頭をさげると、仕事だから気にするなと言われました。
彼は容姿だけでなく、心もイケメンです。
すごいですね〜、モテそうですね〜、英雄とかになりそうですね〜。
そんな方に恩を売っておいて損はありません。
何しろ、私は旅商人。
「命を救っていただいて、何もしないというわけにはまいりません。こう見えて、私旅商でして」
「商人? その割に荷物が無いが?」
「アイテムボックスにあります」
「ほう、珍しい魔法だな」
アイテムボックスの魔法は、異空間に様々なものを収容できる希少な魔法です。
その中に商品を詰め込み、旅をしております。
「せめてものお礼に、剣の代わりとなるものをタダでお譲りしましょう。使い慣れなくても、折れた剣よりは頼りになるはずと自負しております」
「そうか。タダというならば貰っておこうか」
彼は無欲な人間というわけではなさそうです。
命を救っていただいたので、相応の剣をお譲りしましょう。
というわけで、剣を一振り。
「こちらなどいかがでしょうか?」
「力強い気を感じる剣であるな。何処の剣か?」
「銘は《カシュルク》と申します」
「ふむ。鑑定をしても良いか?」
「どうぞ」
銘:殺神剣 《カシュルク》
等級:神造兵器
価値:A
「ブッ!?」
……どうかなさいましたか?
なにやら彼が吹きました。
「りょ、旅商よ……な、なんだこれは!?」
「……剣ですが、何か?」
「どこから出てきたのだ、こんなもの!?」
お気に召さなかったようです。
「アイテムボックスですが、何か?」
「ちがう! こんな剣ホイホイだすでない!」
「お気に召しませんでしたか?」
「気にいる以前の問題だ! 神殺しの剣なんぞ、過剰戦力にもほどがあるわ!」
……確かに、神様と会うことなど無いでしょう。
別の剣を見繕いましょうか。
「わかりました。これはいかがでしょう?」
「質素な剣だな。うむ、こういうものを–––––」
銘:獅子王剣 《アルスーラ》
等級:神造兵器
価値:A
「またアーティファクト!?」
「それが何か?」
「なぜ二本もアーティファクトがあるのか!?」
「……いえ、二本では無いです。こちらに」
銘:妖刀 《国崩し》
等級:神造兵器
価値:A
銘:海魔剣 《ディラントー》
等級:神造兵器
価値:A
「ありふれたものでは?」
「ありふれてたまるか!」
テンションが高いお方です。先ほどよりもとっつきやすくて面白い。
「面白いものも見させていただきました」
「こっちは心臓が飛び出そうなものを見せつけられたが……」
「お礼に、これらの剣をお譲りします」
「………バタ(キャパシティーオーバー)」
「……し、しっかりしてください!」
等級:上から武器は神造兵器、戦略兵器、対国兵器、対城兵器、対軍兵器、対団兵器、対人兵器、中等兵器、粗悪兵器となっています。
対城兵器はドラゴンと対抗できる兵器、対国兵器は国を吹っ飛ばす兵器、戦略兵器は世界を終わらせる兵器、神造兵器は神々の作り上げた兵器となっています。
価値:上から、A、B(国宝級)、C(名品)、D(一級品)、E(二級品)、F(粗悪品)となっています。もちろん、アーティファクトは測定不能、未知の価値につけられます。




