序章3話
「ほ~う。お前等オクル村から来たのか」
「はい!!」
「そうか……まあ、こっちも仕事でな。なんか身元を証明できるもんはないか?」
「え~と。村長から預かった手紙が……あっ有った。これです」
「あ~どれどれ~。……よし、内容は問題ないな。じゃあ、今から名前を呼ぶからな返事しろよ」
「「「「「「「はい!!」」」」」」」
アーネストが衛兵のおじさんに手紙を渡し、オクル村から今年冒険者に成る私達の名前を読み上げて全員を確認して街への入場を許可してくれました。意外とすんなり終ったんですけど、良いのかな?
「あの」
「おう、君はセラちゃんだったか?どうした?」
「え~と、街に入るのにお金払わなくて良いのですか?」
「ああ、お前さん達みたいな冒険者希望で身元のしっかりしてる者達は免除されている」
ざっと説明してもらうと、近隣の村で冒険者を希望し尚且つ村長や村の世話役の推薦がある人間には免除って事になってるみたいです。ただし、冒険者希望でも身元を証明する物が無い場合は入場料を徴収するって事みたいです。これは所謂、優遇してあげるからしっかり稼げって言ってるんですね。
「何せ、ここには迷宮があるからな、身元のしっかりしている冒険者は貴重なんだよ。次に来るであろう同郷もんの評価にも関わるから流れもんみたいにガラが悪くなる可能性が低いんだ」
「あっそうですね。確かに納得できます」
「嬢ちゃんは、そこらへん解るか。公平じゃないって喚くやつ等が居るからなぁ。嬢ちゃんみたいに聞き分けが良いのがありがたいよ。まあ、だから言っとくがこの街で余計な揉め事起すんじゃないぞ。起せば次に来るお前等の同郷もんが肩身の狭い思いをする嵌めになるからな」
「わかりました。肝に銘じます」
あっ折角ですし冒険者に成るためのアドバイス的なものが何か無いか聞いてみようかな?
確か、こういう時には手土産を渡しつつさりげなく聞くのがベストと、村に来て私を甘味の煩悩に悩ませていた行商のおっちゃんが言ってたです。あっ丁度クルルの実がありますね。松の実みたいで美味しいんですよこれ。
「あの、これ、クルルの実なんですけど、お仕事の合間に皆さんで如何ですか?」
「おっ?良いのか?嬢ちゃんは気の効くな」
「あっ、でも、これって大丈夫ですか?」
「はは、問題ない。金銭じゃないし高価な物でもないからな」
「そうですか、良かったです。折角ですし、これからの事で何かアドバイスと言うか、注意する事とかありますでしょうか?」
「ん?そうだな……。まあ、もう昼も過ぎてるしまずは寝床の確保を優先させるべきだろうな」
「寝床、ですか?」
「ああ、先に街に入った新入り達は今頃冒険者ギルドに向かっているだろうな。そんで、あれだけの人数の新入りに冒険者としての心得やらなんやらを教えるんならえらい時間が掛かるだろう。でだ、嬢ちゃん。寝床は基本早いもん勝ちだで、尚且つ冬越えが終った中堅冒険者以上も宿代を節約する為に馬小屋にだって泊まる連中が多いんだよ。後は解るだろ?お前さんらが泊まる事の出来る宿屋なり馬小屋なり空きがあると思えるか?」
……なっなんと言う真理!!
目から鱗が落ちますよ。さすが、ナイスダンディな衛兵さん!!
「おいおい、まあ、これでも長年ここで衛兵やってるからな。……嬢ちゃんになら構わんか、俺はグレンって言う。ここ北門で衛兵長やってる。俺で相談に乗れる事があるなら聞いてやるよ」
「ほっ本当ですか!?ありがとうなのです!!」
「まあ、時間に余裕がある時って条件が付くがなっと、ほら、そろそろ街に入れや。嬢ちゃんの仲間が待ってるぞ」
と言うわけで、ナイスダンディな衛兵長グレンさんに背中を押されて私は街へと入ったのでした。
とりあえず投稿は以上です。また書き溜めてから投稿したいと思います。