序章1話
つらつらと書き溜めた設定を死蔵するのは勿体無いかなぁと思い文章にして投稿してみることにしました。
大体1500文字前後で投稿してゆくのでちょっと短いかもしれませんが、よろしくお願いします。
厳しい冬が明け、春の風が心地良く吹きぬける。
故郷の村から飛び出して一週間、小高い丘を登るとその先には高い城壁に囲われた大きな街が眼下に見えた。
「よし、みんな!!後少しでラオルスクに着くぞ!!」
「おおぉぉ~すっげーでっかいなぁ、おい!!」
「おっおれ、あんなでっかい街はっ初めてだぁ~」
「ははっ、お前、今まで街に行った事ねぇのに何言ってんだよ」
「もう~、皆ふざけてないで早く行かないと日が暮れちゃうよ?」
「そうですよ。少しは落ち着いて行動しなくては」
先頭を行く幼馴染達の会話を聞きながら私は、ラオルスクを見下ろす。私と幼馴染6人は今、この『迷宮都市』『冒険者の街』として名高いラオルスクへとたどり着いた!!
……厳密に言えば、後少しでたどり着く。なんですけどね。
唐突では有りますが、まずは自己紹介を。
私はヴァールベルン帝国の北側にある辺境の村オクルという村で修道士補佐役の家の第3子次女として生を受けたセラと申します。今年の誕生日が来れば晴れて10歳になる幼女であります。因みに、前世の記憶とやらを何故か持っています。……死ぬまで魔法使いだった方の記憶ですが。
どうして私に前世で死ぬまで魔法使いだったと言う人の記憶が有るのかは正直わかりませんが、ただ、その人の記憶の中で子供の時からなんでも一生懸命何でも学ぶべきだった……と言う強い後悔があったみたいです。
そのおかげで、お手伝いできるぐらいの年齢になってからは兎に角出来る事は何でも手伝いしましたし、学べる事は積極的に学びました。おかげで簡単では有りますが読み書きが出来るくらいにはなったんですよ。他にも色々あるんですが、まあ、今では良い経験をしたと思います。
え?10歳?まだ子供じゃんって思われると思いますが、こっちの世界では二桁に達した子供は、食い扶持の問題さえなければ貴重な労働力となります。がんがん働かされます。労働基準法?なにそれ、美味しいの?って感じで。前世の学校の様な物に通い、18歳までぬくぬくと学べるのは王侯貴族に裕福な商家ぐらいです。……他にも前世との違いはちょくちょくありますが、そこらへんはおっつけ説明できればと言う事でご容赦を。
おっと、話が脱線しそうになりましたね。因みに実家の修道士補佐役と言うのは、ようは農家やりながら村の神殿(ご神像が祭られた小さな神殿)の維持管理と村の祭事の準備を行う家と言う事です。後は祭事に際してお越しいただく修道士様のご接待をするって感じですね。その代わり役得として村では村長の邸宅に次ぐ大きさの家(神殿込みで)に住む事が許されています。ただし、その役得の所為でさらに色々と雑用を押し付けられたりもしますけど。
オクル村はここ近年は可も無く不可もなく多少食料に余裕があったおかげで、私達はラオルスクに送り出して冒険者にしようと言う事になったのです。まあ、体の良い口減らしではあるんです。何せ私達は次男次女以降の生れで家にいても食い扶持が増えるのでどうせなら冒険者にしてしまえ、上手くいけば実家へと仕送りぐらいしてくれるだろうと言う採らぬ狸の皮算用が働いていると言う事もあります。でも、不作の所為で人買いに売られるよりはだいぶましなのであります。
「お~い、セラぁ!!早く来いよぉ!!」
「あっはい。今行きます!!」
村で一番イケメン且つ男子リーダーのアーネストが私に声を掛けてきたんですが、って皆歩くのはや!!もう中程まで降りてるじゃないですか。
因みに、上記の会話で一番目がイケメンリーダーのアーネスト(13)、二番目が姉御なクローディア(12)、三番目が子供の中では村一番の力持ちモーリス(12)、4番目が手先だけは器用なクロル(13)、5番目が女子リーダーで村一番の美少女なフィオナ(12)、6番目が村の子供で一番(ある箇所が)と言われるエリス(13)、以上6人に私セラ(今年で10)が加わって7人。これからの冒険者生活に期待に胸を膨らませ(今現在、私は物理的に膨らんですらいませんが……(吐血))皆に追いつく為に駆け出したのでした。