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超能力高校生はパフェがお好き  作者: まんぼう
第1章 白い薬にご用心
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侮った鈴和

鈴和がファミレスから帰って着替えていると、下から呼ぶ声がする。母親の声だった。

階段を降りてリビングに行くと、母の陽子がテーブルに座っている。

「ちょっとお話があります」

明らかに怒りの声なので、陽子の守護霊にコンタクトを取ると、鈴和の方を見ながら首を左右に振っている。ダメだと言う事なのかと思う。

母親の陽子の向かいに座ると、いきなり小言が飛んで来た。

「あなたねえ、色々と調べているけど、危険だと思ったらすぐテレパシーで伝えるのですよ。判ってます?」」

そう言われて鈴和は「危険じゃ無いよ学校で友達に訊いてるだけよ。それだけ」

「なら良いけど、貴方の能力は未だ不完全な処があるから母さん心配なのです」

「大丈夫です!大元が浅野さんて娘だって判ったから、明日訊いて真実を解明して終わりだから」

「判りました。でもチョットでも危険を感じたらすぐに……」

「はいはい、判りました。危険な事なんて無いから……」

そう言うとそれ以上陽子は鈴和に言わなかった。

「それよりお父さんは? 大変なのかな?」

「多分今日はお帰りにならないと思いますよ。さっきの連絡だと「敬愛学園」と「港南高校」にも被害が出ているらしいですから、そっちを調べているそうです」

「じゃあ、ウチの学校は私が調べる!」

「絶対無理はしないでね!」

陽子はそう何回も念を押すのだった。


翌日は午前中で授業は終わりだが、期末の結果が貼りだされた。

1年のクラスがある廊下の掲示板に1年のだけが貼りだされている。

鈴和は康子と一緒に見に来たのだが、内容を見るなり

「やはり1番は浅野さんか、薬のおかげかな?私は10番かまあまあだな、康子は?」

そう言って康子に抱きつく

「私は……ええと……やった!30番だ」

「やったじゃん!康子!」

「でも数学と英語は薬のおかげだから……あまり喜べ無いな……」

「この次頑張ればいいよ。ね!」

鈴和のその言葉で多少罪悪感が消えた康子だった。


「それよりさ、浅野さん今日も休みだって、美樹が教えてくれたよ」

そう言う康子に鈴和は

「じゃあ、家まで行って、口を割らせるか?」

と刑事物を真似た口調でふざける。

「家まで行くって、住所知ってるの?」

康子が半分呆れて言うと鈴和は

「職員室に誰も居ない時にテレポートして盗み見る!」

そう言って胸を反らせるが自分で笑い出して

「そんな事しなくても、先生に『浅野さんお病気みたいなのでお見舞いに行きたいので住所を知りたいのですが』って甘える様に言えば簡単に教えてくれるでしょう?」

康子は「まあ、そこまで言うなら、その件はお任せするわ」

そう言って笑った。


実際、鈴和の言う通りに簡単に先生は教えてくれた。

「宝町2丁目3番地2号だって」

メモした住所を見ながら二人は歩いて来た。

「このへんだよ確か……あ!あったここだ」

康子は「浅野」と書かれた表札を見ながら鈴和に教える。

鈴和はその家を見上げていた。

「結構大きな家だねえ。お嬢様だったんだ、浅野さん」

鈴和が見上げた先は鉄格子の門に囲まれた2階建ての結構大きな洋館だった。

昨日今日建てたシロモノではなさそうだ。


「まずは正攻法で行くか」

鈴和はそう言うと門柱に付けられた呼び出しのチャイムのボタンを押すのだった。

微かにチャイムの鳴る音が聞こえて来る。

しかし、誰も出てこない。

鈴和はもう一度同じ事をしてみた。

……やはり誰も出ては来なかった。

「やはり駄目か……それじゃ仕方が無い」そう言うと鈴和は目をつぶり何やらぶつぶつと言い出した。それを見ていた康子は、鈴和の能力が発揮仕出したと思った。


鈴和はこの時、家の中をテレパシーでスキャンしていたのだ。

この能力は鈴和はそう得意では無いが、友人の為を思うと全力でやってみたのだ。

「誰もいない?……ん! 誰か居る。一人居るわ!」

そう言ったかと思うと

「呼びかけてみたけど反応が無かったわ、なんか邪悪な気を感じる」

康子は鈴和を信用していたので、それを信じて

「どうする中に入る?でも不法侵入になるか?」

そんな事を言っているのだ。

「入った証拠が無ければ犯罪を立証しようが無いでしょう!」

鈴和はそう言って「危ないから康子はここに居て、出来たら、反対側の公園に居て欲しいの」

「何か危険な事があるの?」

そう言う康子に鈴和は

「ううん、私のテレポート自分しか移動出来ないから、康子には悪いし、中に居る奴が変な気を出しているから万が一の場合よ」

「そうか、じゃあくれぐれも気を付けてね」

「うん大丈夫浅野さんに訊いて来るだけだから」

鈴和はそう言うとすうーとその姿を康子の前から消してみせた。


神城はHRが終わった後鈴和と康子を探していた。

クラスに行って教室の娘に訊いても「知らない。帰ったかも知れない」と言う答えしか帰って来なかった。

そこで、昨日の鈴和の話に出て来た美樹の処に行って訊いてみたのだ。

「レイとヤスならきっと浅野さんの家に行ったのだと思う。今日も休みだから」

「ありがとう!」

神城はそう言うと、美樹から訊いた浅野家の家に向かっていた。

「危険だ!あの二人は単なるクラスメイトの家を訪問するノリだろうが、事がバレたと向こうが知っていたら、あの二人を只では済まないと思うのだった。

「間に合ってくれ!」祈る様な気持ちで走りだしたのだ。


鈴和は家の台所に居た。洋館だから靴を脱がなくて良いのは助かった。家の中は薄暗く、外からの光しか家の中を照らしていなかった。

そっと鈴和は移動を始めた。歩きながら家の中に気が無いかスキャンしていると居間の方で反応があった。

静かに鈴和は近づいて行く。

もう少しで居間に入ると言う所で鈴和は結界が張ってあるのに気がついた。

気の結界で、要するにバリアの様なものだ。

これでは先に進めない。それにしてもこれだけの結界を張れるのは只者ではないと思った。

「そこに居るのは誰?」

思い切って声を出してみるが反応は無い。


フッとその時結界が無くなったと思ったら、今度は気による攻撃を仕掛けられた。

これはいわゆる、気を玉の様に加工して物凄い勢いで発射させるのだ。

殺傷能力は無いが当たるとかなりのダメージを受ける。

鈴和は急いで自分も結界を張り、攻撃を跳ね返す。

派手な音も何もしないが、誰だか分からない相手と鈴和は凄まじい能力合戦に巻き込まれてしまった。

「なんだよ!こんな奴が居るって思わなかったよ」

小声で呟きながら、鈴和はその自分を攻撃して来たと思われる人物の後ろに廻る事にした。

テレポートで瞬時に移動して行くが相手も同時に移動して行く。

「やるじゃんこいつ。ようし見ててご覧なさい」

鈴和は気でおおきな球体を拵えてその球体で相手をそっくり包み込む作戦に出た。

これなら、相手の自由を奪う事が出来る。

鈴和は球体を拵えると目標の相手を包みこんだ。

そして、自由を奪う為にその球体を小さく固め始めた。

その時だった。相手はその球体を自分の気を刀の様に加工して切り裂いたのだ、

固めていた大量の気が一気に切られて開放されたので、その力が爆発の様に広がって行く。

その瞬間鈴和は危険を感じ瞬時にテレポートして康子が待っている公園に移動した。

その瞬間、家の中から大爆発が起こったのだ。

ド、ド、ドーンと言うガス爆発にも似た音が周りにこだまする。

見ると洋館が半壊をしていた。幸い火の気は無かったし、ガスなどに引火する危険も無かったのだが、音だけは凄まじかったので近所の人が出て来てしまった。

鈴和と康子はそれを向かいの公園で見ていた。


「どうしたの?」

「うん、中に能力者が居てね、対決していたの」

そこまで言って力を使い果たしたのか鈴和は崩れる様に倒れてしまった。

そこに神城がやって来た。


神城は遠くから爆発音が聞こえて来たので、これは気のぶつかり合いの爆発音だとすぐに判り、鈴和の身を案じて急いで来たのだった。

「鈴和ちゃんしっかり!」

神城は鈴和を抱き抱えると鈴和の頬を軽く擦る。

「良かった気を失ってるだけだった。康子ちゃん、鈴和ちゃんは誰かと戦ったんだね?」

そう聴かれ康子は「そうみたいです。中に能力者がいて対決したって言ってました」

それを訊いて神城は

「なんて事を、もう少し待っててくれれば僕が駆けつけたのに……」

それにしても一体、鈴和と対決した能力者とは誰なのか、それに浅野さんは何処へ行ったのか?全ては全く判らないままだった。


神城は自分の腕の中で眠っている鈴和をそっと見つめるのだった。

「起きたら訊いて見るしか無いな」と……

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