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超能力高校生はパフェがお好き  作者: まんぼう
第1章 白い薬にご用心
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広がる疑惑

鈴和は翌日学校に登校すると康子を伴って3組にやって来た。

「確か3組は美樹がいたわよね」

鈴和は康子に中学時代のクラスメイトの名をあげた。

「いるよ。何でも浅野さんと仲がいいらしいわよ」

鈴和は、そうか、それなら呼びだすのにも好都合だと思った。


教室の入口で二人の姿を見た美樹は傍に寄って来た。

「どうしたの? ヤスとレイ」

昔ながらの呼び方に二人の頬も自然と緩む。

「あのね、浅野さん未だ登校してないかしら?」

康子がそう美樹に聴くと、美樹は残念な顔をして

「それがね、今日は休みだって、私の処にメールが来たわ」

そう言って、スマホを取り出してメールを再生してみせた

『美樹さん。今日風邪ひいて熱があるので休みます。学校にも連絡しておくけど、借りた本は治るまで待っててね』

元より合成音声だからあまり感情は入っていない。

「どうする?」

康子は短く鈴和に訊いてみる。

すると鈴和は美樹に対して

「ねえ美樹、昼休みにでも話があるんけど時間作れないかな?」

いきなりの鈴和の話にも美樹は平然として

「いいわよ! お昼食べたらそっちに行くね」

そう約束してその場は別れた。

学校を休んだとなれば、学校に居る間にする事は彼女、浅野さんの周辺を調べる事しか無い。

それには、今一番仲良しだという美樹に訊くしかなかった。


自分のクラスに戻りながら鈴和は康子に

「ありがとうね。付き合って貰って、もう大丈夫だよ、私一人でも」

そう言うと康子は目を剥いて

「それは無いよ鈴和、私だって真実が知りたいよ。何の役にもならないかも知れないけど、一緒に真相を追求させてよ」

そう言って来た。康子がここまで本気になるのは珍しかった。

鈴和はそれが嬉しかった。

「あ、御免ね。それじゃ一緒に真相を解明して行こう」

「うん!」

二人の間で話は纏まったみたいだ。

「じゃあ、始業まで未だ時間あるわね。もう一件付き合ってくれる?」

そう鈴和が言うと康子は

「いいわよ!どこでも」

そう言って笑うのだった。


鈴和が康子を連れて来たのは2年の教室のある階だった。

「ええと確か2年4組だったかな?」

2年4組の教室を覗こうとして、声を掛けられた

「鈴和ちゃんどしたの僕に用かい?」

声を掛けたのは神城だった

「神城先輩、ちょっと」

そう鈴和は言うと物陰に神城を連れ込んだ。

「先輩、こちらは私の親友で……」

「康子ちゃんだろう、知ってるよ。それに初めてじゃ無いし」

「あれ?そうでしたっけ?」

神城は何時もの鈴和だとこの時思って安心をした。

「もう時間が無いので手短に言いますけれど、この学校で『勉強が出来る薬』と言うのが流行り出してるのを知っています?」

「『勉強が出来る薬』だって? そんなのは聞いた事無いけどなぁ」

鈴和は神城の表情から、男子の間では流行ってないのかも知れないと思った。

そして、康子の事は隠して今迄の事を手短に纏めて話した。

「ヒロポンって……覚醒剤じゃないか、いくら弱くてもそんなの服用したら……」

「そうなんです。若しかしたら、ウチの学校だけじゃ無いかも知れません。組織でも取り上げて貰えますか」

「判った!でもそれなら自分でお父さんに言った方が良くないか?」

「でも今は余計な心配を掛けたくないし、それよりこの学校のルートを解明するのが先ですから」

「今日、放課後にファミレスで会わないか、それまでに今日一日学校で判った事もしりたいしね。僕の方も2年を調べて見るから」

さすが神城だと鈴和は思った。事件慣れしてると言うか一を聞いて十を知る、だと思った。


「有難うね。先輩に黙っていてくれて」

康子は自分の教室に帰りながら鈴和にお礼を言った。

「いいよ、そんなの気にしなくて。それより放課後はまたパフェが食べられるわよ」

「ええ!また奢らせるの?」

「いいの、いいの?お金持ちなんだから」

屈託の無い鈴和の笑いを見ていて康子は、ちゃんと真実を言ってよかったと心の底から思うのだった。


美樹は、昼休みに約束通りに二人の処へ顔を出した。

美樹も笑顔で出て来て鈴和に

「長い話だったら屋上行こうか?」

そう言って3人は屋上に向かった。


「なあに?話って」

美樹は何の心配事も無いような素振りをしていた。

「あのね美樹は『勉強の出来る薬』って聞いた事ある?」

鈴和はいきなり確信を訊いてみた。美樹の答えは

「知ってるよ。私も浅野さんから貰ったけど使わなかった。だってそんな魔法みたいなモノがあるわけ無いと思ったから。それに私勉強嫌いだからさ、私の成績が悪いのは勉強が出来ないんじゃ無くて、勉強が嫌いだから……」

美樹は単純にしかもキッパリと言い切った。

「きっと、そういうのを使ってしまう子って、焦っているんだと思う。脅迫観念って言うんだっけ? そう言うのになってると思うんだよね。ある意味可哀想だよね」

美樹は美樹なりに分析をしているのだと鈴和は思った。

「それを、浅野さんが何か絡んでると言う事を訊いたのだけど何か知ってる?」

鈴和の質問に美樹は

「やっぱり、屋上に来て正解だったわね。鈴和、あなたが普通の高校生じゃ無いから言うのだけど、私の知ってる事だけは話すからね」

そう言って美樹は話始めたのだった。


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