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超能力高校生はパフェがお好き  作者: まんぼう
第2章 事件は西で起こる
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束の間の休日

 東京に帰った鈴和は早速康子を訪ねた。

そしておみやげを康子に渡したのだ。

「ふううん、でこれが、ビリケンさん?」

携帯のストラップを見ながら康子が訪ねる。

「そう、願いが叶うんだよ」

鈴和はそう言って康子を見る。康子は多分あのことを訊いて来るだろうと言う予測があった。

「ねえ、神城先輩は何で後から大阪に行ったの? 初めは行かない筈だったでしょう?」

やはり、康子の心配は神城なのだと鈴和は思い

「それはね、向こうで霊の問題だけじゃ無くなったから、どうしても先輩の力が必要になったのよ」

鈴和はそう言って、大阪でのマックスの事を語って聞かせた。

「だから、名古屋の英梨ちゃんて言う子も一緒だったから、むしろその子が神城先輩のファンで、その方が私大変だったんだから……」

それを聞いて康子は

「むむむ、ライバル出現ね」

と何やら決意を新たにした様である。


「私は兎に角残りの夏休みを休ませて貰うわ」

鈴和はそう言って伸びをして、康子に笑われた。

「でも、サツキって言うあんたを狙っていた能力者も捕まって良かったじゃ無い」

そう言う康子の言葉を聞いて、後で、どうなったか訊いてみようと思うのだった。


家に帰り、母親に「ヒロポン」事件の事とサツキの事を訊いてみた。

「ヒロポンの事は大分進んで、この辺ではもう売り買いは無くなりましたよ。他の地域ではまだ若干あるみたいですがね。それから向こうの能力者の人ですが、お父さんのあまりの能力の凄まじさに驚き、素直に全て話してくれました。そして、今後は私たちの組織の一員として行動する事になりました」

それを訊いて驚いたのは鈴和だった。

まさか、二度も自分を殺そうとした奴が同じ組織の一員になってるなんて……

「イヤだな……」

そうポツリとコボすと陽子は

「そう言わずに、今度会ってみたら? きっと驚くわよ。お父様が色々とやってあげたから、印象違うと思うわよ」

そう言ったのが気がかりだった。


次の日、起きるともう昼近かった。

のろのろと起きて顔を洗い身支度すると、母と弟と一緒に昼ご飯を軽く食べて「組織に行ってみる」

そう言い残して表にでた。

夏の太陽が鈴和を襲う。

「こりゃ、たまらないな、テレポートしちゃおう」

そうつぶやくと、その姿は消えていた。


鈴和は組織のあるビルの前にいた。

正面から堂々と入っていく。

受付で受付の女子にテレパシーを送り了解を得ると

「父は居ますか?」と訪ねてみた。

すると、5階の会長室ににいます」と返って来たので、礼を言ってエレベーターに乗った。


5階で降りるとすぐそばの「会長室」と書いてある部屋のドアを開ける。

秘書の人とは面識があるので、すぐに奥に案内される。

「どうした? 休んでて良いのだぞ」

そう父親の達也に言われたが鈴和は

「お父さんこそ会社の方?」

「大丈夫だ! 夕方までには会社に帰るから。それよりここに来たのはサツキに会ってみたかったからだろう!?」

そう言われてしまった。

図星だった。自分を二度も窮地に追い込んだ相手がどう変わったのか見て見たかったのだ。


「ここに居るの?」

その鈴和の問いに達也は

「ああ、地下の訓練場で訓練しているよ。お前と会いたがっていたから喜ぶぞ」

それを聞いても鈴和はぞっとしなかった。

「お父さん具体的にはどうしたの?」

鈴和はサツキをどう変えたのか興味があったのだ。同じ能力者として興味もあった。

「ああ、まず魂を幽体離脱させ、隠っている悪意を洗い流した。そして生まれた時に持っている心の状態にして、今までのしがらみ等を捨てさせたんだ」

聞くだけなら簡単そうだが、自分の今の能力では到底出来ないと鈴和はおもうのだった。

「会って来ても良い?」

そう聞くと達也は「もちろんだ」

そう言って許可してくれた。


鈴和は通常のエレベーターでは無く、「訓練場」直通のエレベーターに乗り込んだ。

やがてドアが開くと、そこは能力者が訓練をする訓練場だった。

すでに色々な能力者が自分の技を磨いている。

広い訓練場の隅に一人静かに瞑想している者がいた。

「サツキだ!」鈴和はすぐに判った。


鈴和は傍に行きサツキの瞑想が終わるのを待っていた。

やがて、サツキは目を開けると

「あんたが来てくれたのはビルの中に入った時から判っていたよ」

そう言って笑いながら声を掛けられた。

「あんたにはお詫びとお礼を言わなければならないと思っていたんだ。前の組織の命令とは言え、なんで、あんなにあんたを憎んでいたのか今では良く思い出せ無いくらいでさ。本当に済まない事をしたと思ってる」

それを聞いた鈴和は、サツキの気が全く変わっているのに気がついた。

「もういいよ、済んだ事だし、でもあんた強かったね」

そう言って今度は鈴和が笑った。それを見てサツキは自分が許された事を悟った。

「この組織には本当に世話になったから、今度はお返しも含めてここで頑張ろうと思ってるんだ」

「そうなんだ、それは良かったけど、前の組織からは狙われないの?」

鈴和は疑問を口にしたが、サツキは

「ああ、それは大丈夫なんだ。あなたのお母さんが向こうの世界からこっちに来れない様に結界を張ったので、誰もやって来れなくなったんだ。向こうにも行けないけれどね」

「そうか、お母さんあれやったんだ。じゃあもう無理だわ」

「そう言う事」

「遅くなったけど、これから宜しく」

そう言ってサツキが手を出したので鈴和もそれを強く握り返した。

「ところで、あなたの本当の仕事は片づいたの?」

そうサツキが聞くので鈴和は

「それは、すっかり片がついたわ」

「それは良かった」

そう言って二人は笑うのだった。

「今度美味しいパフェの店教えてあげるからね」

そう言って鈴和が笑うとサツキは

「それは、あんたの奢り?」

そう笑いながら言うので鈴和も

「そうねえ、最初の1回は歓迎の意味も込めて奢ってあげるわ」

「なら付き合う」

二人はそう言って笑い合った。

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