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超能力高校生はパフェがお好き  作者: まんぼう
第2章 事件は西で起こる
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怪しい現場

ホテルを出て現場に向かって行く途中で、英梨はさっきから疑問に思っている事をアルファに訊いてみた。

「あのう、アルファって言うのは、正式な名なのですか?」

それを聞いたアルファは嬉しそうに

「はい、関西支部ではコードネーム制になっていて、各人はコードネームで呼ばれています」

「コードネーム!」

鈴和と英梨は思わず大声を出して仕舞った。

「名古屋支部なんて、そんなの無いから皆名前で呼んでるんですよ!」

「東京も同じ、まあ愛称でも呼ぶから決まって無いんだけどね。それは父も認めたの?」

その鈴和の疑問にアルファは当然という顔をして

「はい、むしろ感心してくれて、各地の支部にも取り入れる様に提言するそうです」

知らなかった……まあ大した事では無いかも知れないが、それにしても父は何処で何時そんなやりとりをしているのだろうと思った。

その鈴和の思いを感じたのかアルファは

「ボスは一度に100人以上の能力者とコンタクト取れますから」

100人以上……自分には到底出来ないと思うのだった。


市立高校を過ぎて、現場近くに来たのだがGPS情報だと近くなのだが、目の前にはマンションの工事現場があるばかりで、スマホ上の地図とは大分違う。

「ここなの?」

鈴和はアルファに問うと、彼女は

「そうなんです。ここはつい最近幾つかあった住宅が壊されて、マンションが建設される事になって、工事が始まったのですが、そこで色々な事が起きてしまったのです。

地図と現場が違うので、今日は私が出て来ました」

そうだったのかと鈴和は思ってその工事現場を霊視した。

確かに良くない気が渦巻いている。

「判りました。後は情報と同じですね?」

鈴和の問にアルファは「同じです追加も上書きする事もありません」

「ありがとうございます。終わりましたらまた連絡させて戴きます」

鈴和がそう言うとアルファはにこやかな笑顔をして帰って行った。

それを見ながら英梨は

「もしかして、テレポートすれば早かったと気がついたんですけど」

そう言って笑い出した。

鈴和もそれはそうだったと思い、笑い出してしまった。


「夜にならないと勝負にはならないわね。部屋に一旦帰って、パフェでも食べて待ちましょう」

そう鈴和は英梨に言うと英梨も「それがいいですね」と言って二人は周りを見て誰もいないのを確認するとテレポートで部屋に帰った。


「やっぱり関西って食べ物美味しいのかな? このパフェも美味しいよね!」

鈴和は久しぶりのパフェを楽しんでる。

ホテルの近くの喫茶店に二人は入ってるのだ。

英梨は「東京ってそんなに不味いんですか?」

そう訊いてしまった。無理も無い、彼女は東京へは小学校の社会見学で2泊3日で行った事があるだけなのだ。中学の修学旅行は関西と中国(広島)だったからだ。

「いや、そりゃ美味しい所も沢山あるけど、なんかほら、水が変わると味覚も変わるって言うじゃない……ね」

英梨はそんな格言あったか?と暫く考えていたが、先程の現場の周りの感じが統一感が無いのを鈴和に確認してみた。

「あの、話し違うんですが、先程の現場ですが、なんかそぐわないと言うか何と言うか……」

英梨の言葉に鈴和も

「そう!気がついた? あのへんって家が皆新しくて、きっと震災後建て替えられたと思うのよね。それなのに新しい家を壊してマンションを立てるなんて変だと思っていたんだ」

「何かありますね。きっと」

そう言う英梨に鈴和は

「暗くなったらあのへんの霊を呼び出して訊いてみるわ。それよりもう一個食べようかな?」

「ええ!夕食は? お腹空きますよ!」

「じゃあ、ほらここでお腹に貯まるもの食べなよ。色々あるよ」

英梨はこんな喫茶のメニューではなく、関西に来たら色々と食べたいものがあったのだ。

たこ焼き、明石焼き、お好み焼、串かつ、未だまだ色々と食べたかったのだ。

それを鈴和に言うと

「そうなんだ! ああほらここにもたこ焼き、あるよ!」

いや、そうじゃ無くて、と喉ま出掛けたが我慢して「こうなったら私が事件を解決

して好きなものを食べる!」そう思い直したのだ。


午後も9時になった、日の暮れるのが東京より遅い関西でもこの時間になれば、あたりは真っ暗になる。

新しい住宅街の街灯が点々と灯っているが、そのマンションの工事現場だけは明かりが無く闇に沈んでいる様だった。

鈴和は英梨を後ろに立たせて「後ろから攻撃されたら宜しくね」

そう言って、霊視を初めた。

「いるいる、かなりの数だね。こっちはどうだ」

そう言って現場の反対側を見る

「ほう、こっちにも居る、でもさっきの連中とは違うねえ……」

英梨は鈴和が霊視を始めてから、どんどん気が強くなって来ているのに驚いた。

「すごい!気の能力が変化するんだ!」

そう思いながら、後ろに気を配っている。


「英梨、判ったわ、行きましょう」

そう言って、鈴和は英梨の腕を取ると、「いい?中にテレポートするからね。私に合わせてね」

そう言うと「1,2,3それ!」と合図をし、二人はスーツと消えて行った。

中に入ると二人は背中わせに立つ。

真っ暗になった空間には恐ろしい気が充満していた。

「英梨、中を透視してちょうだい。通路みたいなのがあると思うの」

そう言う鈴和に従い英梨は周りを透視してみて驚いた。

「鈴和さん!ここダンジョンになっています!」

「ダンジョン? あんたRPG好きなんだ?」

「いやそうじゃ無くてですね」

「ここ地下じゃ無いからダンジョンじゃ無いよね。それにしてもこの前のFFはガッカリしたわよね。もう買わないんだ」

「いや鈴和さん、そこはボケたりする処じゃ無いです」

「判ってるって、あんたが余り驚くから、からかったのよ。で、その迷路は出られるのね?」

「多分……あたしRPG最後まで解説本読まずにクリアした事無いんですよ……」

なんだって!と鈴和は思った。それじゃ役立たずじゃないかと……

「じゃあ、私が霊視しながら進む事にするわ。でもマンションが迷路なんて完全におかしいわね」

そう言って真っ暗な中を二人は手を繋いて歩いて行く。

少し行った所で鈴和は歩くのを辞めた。そして

「そこに隠れている霊よ出て来なさい。あんた達ぐらいじゃ私に歯が立たないから」

そう鈴和が言い放つと、闇の中から3つの影が浮かび上がった。

もちろん普通の人には真っ暗なままだが……

そして、その霊は

「お嬢ちゃん、悪いけどこのままにして帰ってくれないかな。そうすれば俺達も悪さはしないから」

3つの霊魂の意志はそう鈴和に語り掛けたのだ。


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