第一話
自分の誕生日にあえての新連載です。初っぱなから反逆の大東亜のパクりと思わないで……。
流用やから。
「……それで君は何者かね? 妖怪か?」
「いやいや妖怪とちゃいますよ。普通に日本人ですはい……それと人を床に押し付けおいて言わないで下さい」
「黙れ小僧ッ!! 陛下の寝室に侵入しておいて何たる態度だッ!!」
数人の衛兵に、床に押し付けられた青年と寝間着を着た男性が話をしていた。
「……自分は楠木将樹と言います。貴方は?」
「朕は裕仁だ」
「……はい?」
「だから朕は裕仁だと言っておる」
「……本気と書いてマジですか?(……どう見ても昭和天皇ですはい)」
「あぁそうだ」
「……………」
「陛下に何質問しているのだッ!!」
裕仁――今上(昭和)天皇が力強く頷くと、青年は頭を抱えた。
「……………(これってネット小説にある逆行とか言うやつか? 天皇も写真で見るあの昭和天皇やし)」
「何とか言わないかッ!!」
「まぁ待て……それで楠木とやら。何故此処にいる?」
昭和天皇は衛兵を静める。
「いや……それが自分にも分からなくて。気が付いたらこの部屋にいたので……」
「ふむ……」
「しらばっくれるなッ!! 何が気付いたらだッ!!」
「ぐッ!!」
楠木は衛兵に殴られた。
「止めないか」
「も、申し訳ありませんッ!!」
衛兵が昭和天皇に頭を下げた。
「君らは下がりたまえ」
「は、しかし……」
「朕を狙う暗殺者なら諸君らが来る前に朕の命を奪っておる。だから下がれ」
「……分かりました」
衛兵達は寝室を出た。
「痛くないかね?」
「つぅ……いえ大丈夫です。それと陛下、つかぬ事を聞きますが今は昭和何年何月ですか?」
「ん? 変な事を聞くものだな。今は昭和十二年六月一日だ」
「……盧溝橋事件前やん……」
「何だその盧溝橋事件とは?」
陛下が楠木に聞く。
「日中戦争……支那事変の切っ掛けになる事件ですね」
「……君が言うのはまるで戦争になるような事であるな」
「戦争になるではなくて、実際に戦争になりました」
「何?」
「陛下」
楠木は陛下の顔を見る。
「今から話す事は陛下にとって現実とはかけ離れた事になるかもしれません。ですが、自分の日本はその歴史を歩んできました」
「……話すがよい」
「ありがとうございます。まずは自分の事を話しましょう。……陛下、自分は未来から来た日本人です」
将樹は陛下にそう言った。
楠木将樹は何故、昭和十二年にタイムスリップをしたのか?
楠木将樹は大阪のとある大学一回生であり軍事、アニメオタクであった。
そして2012年5月にある出来事が日本に起きた。
名古屋市内にあるとある廃工場の地下から零戦、烈風、震電、疾風、五式戦等が発見されたのである。
更に廃工場の地下に金星、ハ四三、誉、ホ103 一式十二・七ミリ固定機関砲、二式二十ミリ固定機関砲等が多数見つかったのだ。
廃工場の責任者は既に亡くなっていたが、責任者の家族によれば責任者は戦時中に元三菱の航空関連の仕事をしており、その時に零戦等を入手して隠していたのではないかと言っている。
機体の保存状態も良く、飛行も可能だった。
しかも、零戦は五四型の量産型である六四型であり軍事評論家等を騒がせた。
一番の人気はやはり烈風と震電であった。
生産機が僅かしか無い烈風に、軍事オタク達の格好の写真ネタにされていた。
そして零戦等は自衛隊の管轄内での全国展示飛行等をする事が決定されたのだ。
楠木は零戦等が6月に大阪の駐屯地である八尾駐屯地に来る事を知り、友人達と共に八尾駐屯地に来ていたのだ。
しかし、楠木は機体の写真を撮っていると気付けば陛下の寝床にいたのである。
「……しかし、君が未来から来た日本人だと言う証拠はあるのかね?」
「そうですねぇ、何があるかな……」
将樹はそう言って持っていたバッグの中身を出していく。
「ケータイとその充電器、PSPとソフトに充電器、パソコンと充電器、そして捨てられたから新しく買ったはつ恋連○艦隊、6月発売のMCあく○ず二五号くらいやな……」
「む……ハレンチな……」
陛下はあく○ずの烈風を見て顔を赤くしている。
「取りあえずパソコン起動させよっと」
将樹はパソコンを起動させた。
「……流石にネットは使われへんからな。陛下、『軍艦行進曲』でも聞きますか?」
将樹はそう言って『軍艦行進曲』を再生させる。
『〜♪〜♪〜♪』
「オオォォォッ!!」
陛下はパソコンから流れる『軍艦行進曲』に驚いている。
「……今の日本では到底作れまいな。恐らくアメリカやドイツでも……」
「他にも見せましょう。じゃあこのPSPのソフトをします」
将樹はPSPを起動させる。
ちなみにソフトは某野球ゲームだが気にしない。
「……まるで神隠しにでもあった気分だ。これだけで、君が未来から来た日本人だと証明出来る」
陛下はそう言った。
「それで……未来での日本は平和かね?」
「平和と言えば平和なのかもしれません」
将樹は陛下に日本が歩んできた歴史を全て話した。
「……そうか、日本は……東京は……焼け野原となるのか……」
将樹が全て話終えると、陛下は泣いていた。
「陛下……」
「いや済まない。思わず泣いてしまった……」
陛下は涙を拭く。
「……楠木君、君には非常に申し訳ないと思うが、我々と戦ってはくれまいか? 無論、君の人生を棒に降るかもしれない。だが……」
「……陛下、自分は何の関係かは分かりませんが激動の時代に来ました。元の世界に帰る手段は正直分かりません。ですが、むざむざと日本がやられていくのを見ているだけは無理です」
「……それでは……」
「微力でありますが自分も戦いましょう」
「……ありがとう楠木君」
陛下は将樹に頭を下げた。
「いえ……(正直、帰られへんやろな。戦国自○隊1549ならまだ手段はあったと思うけどな)」
将樹はそう思う。
「(……やるしかないやろな)」
将樹はそう決断した。
そして将樹は陛下から特別に部屋を借りて一夜を過ごすのであった。
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