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譲れないものがある

作者: 黒兎

「ねぇねぇ、相変わらずあんたの卵焼き美味しそうね。1個頂戴?」

またか……。

私はにこにこと笑いながら卵焼きをよこせと云ってくる友人に呆れる。


いつもそうなのだ。以前ふいをつかれ取られてしまったとき、甘さ加減が好きだったようで、以来お昼休みになってはこのように卵焼きを要求してくるのだ。


最初は黙ってあげていた私だが、段々”あげるだけ”ということが気に入らなくなり、今では友人の弁当から卵焼きと交換で何か貰うようにしている。

しかし、これがまた大変なのである。

友人は頑固。そして私も頑固。故に、片方が拒めば当然―――


「何でよ! いいじゃないのこれで!」

「嫌よ! 何でイカりんぐと卵焼きを交換しなきゃいけないの!? 私がイカりんぐ嫌いだって知っててわざとでしょ!」

「ミートボールもタコさんウインナーも絶対あげないからね! イカりんぐで我慢しろ! そして早く卵焼きをよこせぇぇぇぇ!」

……と、なる。


自分でもつくづくアホなことをやっていると自覚はしているが、どうしても譲れないのだ。


「今日はさ、きゅうりあげるから」

……は?

にこにこと笑いながらきゅうりを箸でつまむ友人。

ちょっと待て。お前最近渡すおかずがしょぼいぞ。


「何できゅうり? きゅうりと卵焼き交換なんてありえないわ」

私は当然断った。


「しょうがないじゃない。じゃぁイカりんぐにする? それとも肉?」

にやにやと笑う友人。

まさかと思い、私は友人の弁当箱をのぞく。

その中に入っていたものは、全て私の嫌いな食べ物だった。


「お……おのれ、(たばか)ったな!」

「えーなんのこと?」

わざとらしく首をかしげる友人。


くそう、元々卵焼きと相応のおかずを持ってくる気などなかったということかっ。


友人の弁当には毎回必ず入っていた大好きな肉団子(鶉卵入り)が入ってなくて私涙目。


あれだけが……あれだけが楽しみで学校きてたのに!


「もう交換するのはやめよ。卵焼きと相応のおかずと持ってくるという約束を破ったのだから」

「いいじゃない、きゅうりだって……。ええいこうなったら力ずくで!」

友人の箸が私の卵焼きにのびてくる。

だが、私は友人の箸を自分の箸で叩き落す。

そのとき、私はしっかりとこの目で見た。友人の弁当箱を入れる袋の中に、デザートの一口ゼリーが入っているのを。


「…………か、の、ん、ちゃ~ん」

語尾にハートマークでもついてそうなくらい甘ったるい声で私は友人の名を呼ぶ。


「はっし、しまった……」

私が一口ゼリーの存在に気づいたことに、友人は青ざめる。


「その一口ゼリーくれるなら、卵焼きあげてもいいよぉ……」

私の目にはすでに、一口ゼリーしかうつっていない。友人が交換を拒絶するというのなら無理やり奪いとればいいだけのことだ。


「くっこの一口ゼリーだけは……誰にもやらん!」

「ならば力ずくで奪い取ってくれる!」

「おーいお前らー、もう昼休み終わりだぞー」

……え?

オチも何もないですね;^^なんとなく奪い合いが書きたかっただけ←

コメディーは結構好きです。自分で書くと全然面白くならないけど。

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