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魔法戦争  作者: ははんぽ
23/25

23.断裂の空 ―天と魔の接触

七日七晩続いた戦いの末、地上は崩壊寸前だった。

 リアム率いる「時導連盟」は北方大陸の防衛線を維持していたが、魔界軍の侵攻速度は凄まじく、すでに大地の半分が黒に染まりつつあった。


 炎が空を裂き、雷が地を焼く。

 人と魔の咆哮が交錯するその中心で、リアムと魔王レオン=ディザイアは遂に対峙していた。


 「――先生……!」

 「リアム。お前がここまで来るとは思わなかった。」


 紅の瞳と蒼の瞳が交錯する。

 その瞬間、空気が凍りつき、天地の魔力が悲鳴を上げた。


 二人の魔力が激突した瞬間――世界が悲鳴をあげる。


 ゴォォォォォォォォォォ――ッ!!!!


 空が裂けた。

 見上げたリアムの目に映るのは、“もう一つの空”。

 そこには、純白の大地、金色の塔、そして羽を持つ存在たちがいた。


 ――天界。


 天界と魔界、そして地上を隔てていた結界が、二人の力によって粉々に砕け散ったのだ。


 その瞬間、無数の光が降り注ぐ。

 天より舞い降りたのは、白銀の甲冑をまとい、翼を広げた戦士たち。


 「我ら、天界第七師団セラフィア

  神の秩序を守るため、この乱世を終わらせる。」


 眩い光の矢が放たれ、魔獣たちを一瞬で灰に変える。

 しかし次の瞬間――魔界からも黒き翼の群れが現れた。


 「フフ……天が動いたか。ならば、地の底も目覚める時だ。」


 魔王の言葉と共に、四天王の背後から闇の裂け目が広がり、そこから翼を裂かれた堕天たちが溢れ出す。


 ――天使 vs 悪魔。

 ――秩序 vs 破壊。

 世界は三界が交錯する“最終戦域”へと変貌した。


 リアムは天界の大天使ミカエルと肩を並べ、レオン=ディザイアは堕天の王アザゼルと共に立つ。

 そして、二人の目が一瞬だけ合う。


 「……先生、あなたの意志は、まだ……!」

 レオンの瞳の奥で、かすかに人の光が揺れた。


 その瞬間――天も魔も、互いの戦いを止めた。


 空が、悲鳴を上げるように泣いていた。

 大地には巨大な裂け目が走り、世界そのものが崩壊寸前にある。


 天界最高主“セラフィエル”と、魔界の至王“アザゼル”がそれを見て言う。


 『……今、戦えば、この世界は終わる。』

 『ならば、一時の休戦だ。』


 その言葉と共に、天使も悪魔も武器を下ろした。

 リアムは膝をつき、血まみれの拳を握る。

 レオンは静かに空を見上げ、どこか遠い目で呟いた。


 「……まだ終わらない。これは、始まりに過ぎん。」


 その声は、かつて“教師”だった男のものではなかった。

 しかし――その瞳の奥には、まだ確かに“レオン”がいた。

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