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魔法戦争  作者: ははんぽ
18/25

18.継がれし門 ―新世代の開花

入学式の日、空は青く晴れ渡り、魔法学校の巨大な浮遊城は陽光を浴びて輝いていた。

 十年前の激戦の跡は完全に修復され、いまやここは“希望の象徴”と呼ばれている。


 だが、誰も知らない――この学び舎の中心、地底に封じられた“棺”が今も鼓動していることを。



 「おい、リアム! 今日から初級一組だってよ!」

 金髪の少年、クロウ・リュシエルが声を上げた。

 陽気で、誰とでもすぐに打ち解ける性格。雷属性の素質を持ち、クラスでは早くも中心的存在だ。


 「うるさいな、クロウ。俺はまだ心の準備ができてないんだ。」

 リアムはため息をつきながらも、肩の力を抜く。

 その隣には、黒髪を後ろで束ねた少女――ミラ・ナツメが静かに歩いていた。

 無詠唱の治癒魔法を扱う才女。周囲では「白魔の再来」と呼ばれている。


 「あなたが緊張してどうするの。あの試験を無詠唱で突破したくせに。」

 「……あれは、たまたまだよ。」


 そう言ってリアムは小さく笑う。

 けれど、胸の奥ではいつも不思議な感覚がざわめいていた。

 ――誰かに見られている。

 ――誰かが、自分の中にいる。



 その夜、寮の自室で。

 リアムは夢を見た。

 暗闇の中、無数の魔法陣が浮かぶ。

 その中心に、白衣を纏った男が静かに立っていた。


 『……聞こえるか? 少年。』

 「誰だ……?」

 『十年前、世界を守るために封印された者――スチュワード・レオン。』


 リアムの瞳が見開かれた。

 「魔導師……レオン……?」

 『お前の中に、私の魔力の欠片が宿っている。……いや、正確には、“時間”そのものが。』

 『少年、時がまた狂い始めた。封印の外で、“Λ(ラムダ)”の残滓が動いている。』


 リアムの呼吸が速くなる。

 「Λ……? まさか、まだ生きて――」

 『違う。奴らは“生きていない”。 だが、再現されている。』


 夢が揺らぎ、レオンの姿が薄れる。

 『……私を、目覚めさせるな。まだ早い。だが……お前が“鍵”だ。』

 「待って、先生! 俺は――!」


 叫びと同時に、目が覚めた。

 額には冷たい汗。

 窓の外では、魔法塔の灯がひとつ、ふっと消えていた。



 翌朝。

 学園中に緊急通達が走った。


 「第二実験棟にて未知の魔力波検出。魔力構造――“時属性”。」


 リアムの心臓が跳ねた。

 その足元では、誰にも見えないほど微細な光の粒が漂っている。

 それは、まるで誰かが封印の中から“助けを求めている”ように……。



 遠く離れた地下深く、

 光の棺の表面に、細かな“亀裂”が走った。

 そのひびから、柔らかな声が漏れる。


 > 『……リアム……まだ、来るな……。』


 封印は、確実に弱まっていた。

 そして同時に、封印区画の外では――

 Λの紋章を刻んだ黒衣の影が、静かに動き出していた。

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