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魔法戦争  作者: ははんぽ
14/25

14.再誕 ―巻き戻る時、覚醒する師弟

戦いは終わった。

 レンの白と黒の光が交錯し、黒塔は沈黙した。


 アーク・コードは消滅し、世界は再調律を終えた――

 はずだった。


 だが、レオンの表情は晴れなかった。

 彼の中に広がるのは、静かな確信。

 “これでは終わらない”という、未来の残響。


 > 「……そうか。これが“結果”か。」


 空を見上げると、微細な裂け目があった。

 それは、世界時間層のひび割れ――“未来の断層”。


 > 「このままじゃ、また繰り返す。

 > レンがいくら強くても、この世界の法則が変わらなければ……いずれ同じ結末に辿り着く。」


 レオンは静かに手を掲げる。

 その指先に、無限の光が集まる。


 神位構文ディヴァイン・コード第零式――「輪廻逆行」。


 それは、世界そのものを“巻き戻す”術。

 時間だけでなく、因果そのものを再構築する禁術。


 「……やり直すか。

  教師としても、魔導師としても。

  今度こそ、“誰も死なない世界”を作る。」


 レオンの身体が崩れ、光の粒となって空に舞い上がる。

 その瞬間、レンの胸の奥で何かが反応した。


 > 『先生……?』

 > 「心配するな、レン。お前の力はもう完成している。

 > これは、俺の“最後の授業”だ。」


 レオンの声が、優しく、どこまでも穏やかに響く。


 > 「――世界を、再開しよう。」


 そして、光が世界を呑み込んだ。



 ――気づくと、朝の光が差していた。


 窓の外に広がるのは、懐かしい日本魔法学校の景色。

 鳥の鳴き声、学生の喧騒。

 机の上には、資料と紅茶。


 スチュワード・レオンは、目を見開いた。


 「……戻ったのか。」


 鏡を見る。

 そこに映るのは、若き日の自分。

 教師として赴任した、最初の年のレオンだった。


 だが、違う。

 瞳の奥には、神の光――世界を見通す視が宿っていた。


 「記憶も力も、全部残ってる……

  つまり、これは“再構築後の第一世界”だな。」


 彼はゆっくりと立ち上がり、懐かしい教室を歩く。

 生徒たちの名簿を開くと、そこには見覚えのある名前があった。


 > 「……レン・アークライト。やっぱり、いるのか。」


 だが今度のレンは、まだ魔力に目覚めてもいない少年。

 純粋で、無垢な眼差しを持つ少年。


 レオンは微笑み、呟いた。

 「今回は――お前を“最強の鍵”に育てる。」



 その日、1年A組に新任教師が赴任した。

 日本魔法学校における新しい風。


 > 「今日から君たちの担任を務める、スチュワード・レオンだ。

 > 魔法のことなら、なんでも聞いてくれていい。」


 教室にざわめきが起こる。

 彼の放つ空気は穏やかなのに、どこか底知れぬ重さを感じさせた。

 まるで、“世界そのもの”がそこに立っているかのようだった。


 窓際の席でレンが首を傾げる。

 「……この人、どこかで……」


 レオンは軽く笑う。

 > 「どうした? 初めて見る顔だろ?」

 「……いえ、なんでも。」


 レンの胸が熱くなる。

 記憶の奥で、かすかな“既視感”が鳴っていた。

 レオンもまた、その気配に微笑む。


 (……覚えていなくてもいい。

  だが、魂は覚えている。

  お前がまた戦う時、俺は――必ず隣にいる。)



 その日の放課後、レオンは理事長室を訪れていた。

 日本理事長・アマミヤが静かに紅茶を啜る。


 > 「久しぶりだな、スチュワード君。いや――まるで初対面のようだが。」

 「いえ、全部覚えてますよ。十年前も、今も。」

 > 「……君、やはり“やった”のか。」

 「ええ。世界を、一度巻き戻しました。」


 アマミヤが息を呑む。

 レオンは微笑んだまま、手のひらに光を灯す。

 その光の中には、かつて死んだはずの生徒たちの影が、確かに生きていた。


 > 「今度こそ、正しく導きます。

 > 世界を、戦争のない“完全な形”に。」


 > 「……それは、神のすることだ。」

 「違います。教師のすることです。」


 レオンの背後に、黄金の魔法陣が展開する。

 それは、再誕した“真魔導師”の証。



 その夜、レオンは屋上で夜空を見上げていた。

 静かな風、月光、遠くの笑い声。


 「――第二の世界、開始だ。」


 彼の瞳に、星々が映る。

 世界はやり直された。

 しかし、今度の彼は“結果を知る教師”だ。


 そして、彼の生徒たちは――

 未来で“神すら凌駕する存在”になる運命を秘めている。


 レオンはその予感に微笑み、風に呟いた。


 > 「レン……今度は、勝とうな。」

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