ep.7
ソフィーは少しきつくなってきたドレスを新調しに、セントラル・ストリートまで来た。ライアンも一緒だ。
ライアンが選んだ仕立屋はソフィーが使ったことの無い最高級店だ。
ライアンが気に入ったドレスのデザイン画をいくつも選ぶ。ソフィーも一つ選んだ。
淡いブルーのものが気に入ったソフィーは店主にこっそり値段を聞いた。想像の十倍ほど高くてとても買えない。
「全部頂こう」
ソフィーが止める間もなくライアンは支払いを済ませてしまった。
ノース伯爵家は相当裕福なようだ。
採寸が終わる。店が並ぶ表の大通りを散策することもなく、ハワード男爵邸に戻る。
付き合う内に、ライアンはあまり外出が好きではないことが分かってきた。
ハワード邸では管理の行き届いた屋敷ではなく、庭外れのソフィーのアトリエで過ごすのがお決まりになっている。
マーガレットと執事が渋い顔をしているが、ソフィーは気づかないふりをした。
「ライアン。あなた退屈じゃないの?」
ソフィーは皿に盛ったイチジクの絵を描きながら尋ねた。
「全然退屈してないよ」
ライアンのする事はソフィーを見つめたり、抱きしめたり、食べたり、たまに本を読んだりするくらいだ。
「あなたの絵を描きたいわ」
ライアンは少し嫌そうな顔をしたが、結局付き合ってくれた。
ソフィーは木炭を持つ。
椅子に座るライアンの姿形を良く観察する。
少し目尻の下がった優しい青い目、高くて整った形の鼻、やや大きめの口。すべてがバランスよく配置している。
首はソフィーよりずっと太い。
長い脚を優雅に組んでリラックスしている。
ソフィーはついを手を止めてライアンに見とれてしまった。
「これじゃきみに触れないよ」
ライアンは不満を漏らす。
そして度々中断してはソフィーの所に来る。
「今日はもう終わりだ」
ライアンはソフィーを椅子から抱き上げると、そのまま2人でソファーに倒れ込んだ。
ソフィーはライアンの首もとに顔をうずめた。
ライアンもソフィーの頭に頬を寄せる。
ソフィーはライアンと2人きりで過ごすこの空間がとても好きだった。




