ep.3
ソフィーはブライベリー伯爵邸を訪ねていた。2つ年上の友人ヴィクトリアの出産祝いだ。
「うわぁ。なんて可愛いの!ほらこの小さい手足!あ、笑ったわ!」
「ソフィー、抱っこしてあげて」
「いいの?」
「ええもちろんよ。私の大親友だもの」
ソフィーは恐る恐る小さな赤ん坊を抱っこした。温かくて柔らかい。
「ふぅ、可愛すぎて攫いたくなるわ」
「だめよ」
ヴィクトリアが笑う。
「私がソフィーおばさんよ。これからよろしくね、未来の伯爵様」
赤ん坊のオリバーは一生懸命手を動かしている。
ドアがノックされる。
「ヴィクトリア、入っていいかい?」
「ええ」
ヴィクトリアの夫、ダニエルが入ってくる。
「やあソフィー、来ているって聞いて」
「こんにちはダニエル。本当におめでとう!オリバーはハンサムな赤ちゃんだわ」
ダニエルが手を伸ばし赤ん坊を引き受ける。
「ありがとう」
ダニエルは愛しそうに小さな息子の頭をなでた。
「おめでとうと言えば、ソフィーの方もじゃないかな?婚約したんだって?」
「え?そうなのソフィー!おめでとう!どうして早く教えてくれなかったの!相手はどなたなの?」
ヴィクトリアは興奮している。
ソフィーは当惑した。
「婚約なんてしてないわ」
「え?本当に?」
「ええ」
「ダニエル、誰から聞いたの?」
ヴィクトリアが尋ねる。
「クラブにいた男だよ」
「相手は誰だと言ってたの?」
「たしか、ジョン・スミスと耳にしたけど。詳しくは聞いてないよ」
ヴィクトリアがソフィーを見る。
「知らないわ」
ソフィーは首を横に振った。
部屋がシンと静まり返る。
「ソフィー、何だかスッキリしないわね?」
「きっと誰かが別人と誤解したのよ」
しばらくヴィクトリア達と時間を過ごした後、ソフィーは屋敷を出た。
ヴィクトリアとダニエルは仲のいい夫婦だ。
2人の仲睦まじい様子。かわいい子供。
ソフィーは結婚への憧れを膨らませていった。




