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偽物の恋人  作者: あお卵
12/15

ep.12

 兄の到着時間が近づいた。ソフィーはヴィクトリア達と館の前で待つ。


 紋章が刻まれた馬車が入って来た。

 エリックは何と言うだろうか。ソフィーは不安と期待が入り混じっていた。


 馬車から現れた兄を見て、駆け寄りたくなったが、王子の手前ぐっと堪える。


「ソフィー」

「お兄様」


 エリックは何も聞かずにソフィーを抱きしめた。

 ソフィーも抱きしめ返す。


「ごめんなさい」

「いいんだ。無事でよかった」


 エリックは優しくソフィーの頭をなでた。


 近づいて来たジェイムズ王子にソフィーはお辞儀する。金髪の青年だった。


 王子と目が合う。


 その瞬間、ソフィーの心臓はドクンと大きく跳ねた。


「こんにちは」


 王子が言う。

 口は笑っていても、目は笑っていない。

 

 ソフィーは驚きを隠せなかった。

 

 ライアンだと言った男。ロージーの父親。


 その正体は、目の前のジェイムズ王子だった。

 



 食堂で晩餐会が開かれた。


 ソフィーの両隣はヴィクトリアとピーターだ。ヴィクトリアは向かいの王子と話している。ソフィーはピーターの話を聴いていた。領地フォーダムの歴史についてだ。


 斜めに座る王子がどうしても目に入る。口や顎には金色の無精髭が生えていた。どうやら地毛がブロンドのようだ。


 ロージーの金髪が腑に落ちる。ソフィーは苦笑いした。最初から騙されていたようだ。


 晩餐会で他人のように振る舞う王子を見て、ソフィーは悲しみが込み上げてくる。


 何をしに来たのか。またソフィーで遊ぼうとでもいうのか。それとも覚えてさえいないのか。


 自分だけが本気だったことに、ソフィーは改めて打ちのめされていた。

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