表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物の恋人  作者: あお卵
11/15

ep.11

 あたりも暗くなり、ヴィクトリア夫婦とソフィーは食堂に集まった。一人一人に食事が運ばれてくる。


「ソフィー、そろそろ家族に此処に居ることを連絡したらどうだい?」


 テーブルの向こう側にいるダニエルが切りだした。


「家族に?」


 ソフィーはぎくりとする。


「ソフィー達にはここにいてほしいわ。そう決めたじゃない」


 ヴィクトリアは声を上げた。


「そうだけど、凄く心配してるはずだよ」


 屋敷を出る際、家族には北西部の保養地へ旅行に行くと手紙を書いた。以降はずっと連絡せず月日が流れている。

 優しいエリックはソフィーを探しているかもしれない。


「でも…、ロージーはどうなるかしら。私ロージーは手放せないわ」


 それが一番の気がかりだった。


 未婚で子供を産んだことを知ったら、最悪の場合養子や孤児院に出されてしまうかもしれない。そして何事もなかった様にソフィーを誰かと結婚させるのだ。


「取り敢えず今はロージーのことを伏せて、無事なことだけでも伝えてみたらどうだい?」


 もしロージーのことを知っても、エリックなら理解してくれるかもしれない。

 ソフィーは悩んだ末、その晩エリックにだけ手紙を書いた。



 翌週、エリックから返事が届いた。こちらに来たい事と、休暇を取るので都合を教えてほしい事だけ書かれていた。エリックらしいあっさりした手紙だ。

 手紙に怒った様子は無かった。ソフィーは少し安堵した。


 ソフィーはダニエルとヴィクトリアに了承を取り、返事の手紙を書く。

 エリックの訪問は2週間後になった。



 エリックの来る前日。ソフィーは広間まで降りて来た。ヴィクトリアと使用人達が慌ただしく動きまわっている。


「ヴィクトリア、何かあったの?」

「明日ジェイムズ王子も来ることになったわ。晩餐会のメニューを考え直さなきゃ。一番いい部屋も準備しないといけないわ」


 言いながらもあちこちに指示を出す。


 懐かしい名前だった。エリックがソフィーを王子に会わせようとしたあの頃を思い出す。恋をした事も無かった。


 エリックは王子と休暇を共に過ごす仲になったのだろうか。王子の側近としてうまくやっているようだ。ソフィーは嬉しくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ