第25話『ルダ様の提案』
5時間くらいして、ルダ様が助けに来てくれた。
「大丈夫かい、4人とも」
「助かったよ、ルダ様」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
ルピナスとセイラがお辞儀する。
「ありがとう~」
ビナは軽く、お礼を言う。
心臓は潰れたが、俺が大精霊に進化していたので、大丈夫であった。
ルダ様の回復魔法で完治。
「魔神はジュピタル達が、なんとか食い止めているけど。ジリ貧だよ、これじゃあ、いずれ魔神だらけになっちまうよ」
「そうですか……」
俺が落ち込んでいると。
「八雲空音」
ルダ様が俺の名前を言う。
「あんたが、命をかける覚悟はあるかい?」
「え?」
「あるのかい? どっちなんだい?」
「……それは」
命を賭ける覚悟は、正直、なかった。
そっか、俺はそれくらいの覚悟はなかった。
俺が下を向いていると。
「あんたが、命を賭けられるな、良い案がある」
俺はガバッと顔を上げる。
「えッ!? あるんですか!?」
「あるよ」
「どんな案ですか!?」
「ここで、話せないよ」
「そうですか」
俺達は、地下に一旦、戻った。
俺達は集まり、情報共有する。
「強司くんが黒幕だったなんて」
優美ちゃんは、驚きを隠せなかった。
「強司は強いです。もしかしたら、ルダ様より、強いかもしれないです」
ルピナスが弱々しく話す。
「そうだろうね」
ルダ様は、腕を組み頷く。
「それは、本当ですか?」
ウリエルが驚く。
「強司は破壊神と支配神との間にできた神、エデロスじゃろう」
ルダ様が答える。
「強司は神様なのか!?」
俺は驚く。友人である強司が神様だなんて。
「ふむ、あんたの記憶を見たが、間違いない。エデロスだね」
「エデロスは強いのか?」
「強いよ。何せ、強い神様ランキング2位の破壊神、7位の支配神から生まれた神様だからね。あたしより強いね」
「マジかよ!?」
それって、かなり強い神様じゃないか!
「わたしより、強いかもね」
宇宙人であるジュピタルが答える。
「マジかよ……」
「強司を倒す方法あるよ」
ルダ様が言う。
「あるんですか?」
ルピナスが質問する。
「あたし達が融合進化すればいいのさ」
「「「!!」」」
「どういう事ですか?」
優美ちゃんが手を上げ、質問する。
「そのままの通りだよ。みんな一つになって進化し、黒幕である強司を倒すよ」
「みんな一つに?」
それって、できるのか??
「あたし、ジュピタル、ルシファー、ウリエル、ファニール、ルピナス、セイラ、ビナ、そして、主である八雲空音が一つになり、融合進化すれば、強司を倒すほどの存在になるよ」
「「「!!」」」
みんな、驚き、固まる。
なるほど、みんなと融合して進化すれば、強司を倒す事ができるかもしれない。神様である強司を。
「わかりました」
俺は頷き言う。
「空音!!」
「「主様!!」」
ルピナス達が驚く。
ルピナスは俺の両肩を掴む。
「自分が何を言ってるいるのか、わかるの?」
鬼の形相で問いかけられた。
ルピナスの怒りはもっともだ。だけど。
「このままだと、強司は世界の支配者になってしまう。それって、かなりマズい事だと思うんだ」
強司はどんな風に、世界を支配しようとしているかは知らないし、わからない。
だけど、強司のあの加虐的な笑顔を見たら、彼は独裁的な支配をして、世界を不幸にするような気がする。
「ルピナスは怖いか? 俺と融合するのは?」
「そんな事ないわ! むしろ望む事よ!」
「なら、いいだろ?」
「それは……」
ルピナスは困惑を隠せず、下を向く。
「嫌ならいいんだぞ?」
「嫌じゃない! わたしも進化融合に加わるわ!」
ルピナスは真剣な眼差しで言う。
「ありがとう」
ルピナスのお礼を言うと、俺を抱きしめた。
ルピナスは落ち着き、体を離す。
「みんな、どうだ?」
みんな、腕を組み、思案し。
「いいと思いますよ」
ルシファーが手を上げ、答える。
「僕は、主様の願いを叶えられてなら本望です」
真剣な眼差しで言う。
「わたしも、それでいいです」
「ボクもいいよ~」
セイラとビナが手を上げ、了承する。
「そうだね。わたしはいいよ」
「あたしも、いいよ」
ジュピタルとルダ様も頷き、了承する。
「いいだろう。それで地上世界が救えるならな」
「わたしもいいですよ」
ウリエルもファニールも了承してくれた。
「みんな……」
俺は感動し、涙が出そうになった。
「空音くん、私も融合進化に加わっていいかな?」
優美ちゃんは手を上げる。
「優美ちゃんは、融合進化しなくていい」
「え?」
優美ちゃんは驚く。
「優美ちゃん。俺は君の事が大好きだよ、だから人間として幸せになって欲しい」
「そんな! 私も融合進化したいです!」
優美ちゃんは、前のめりで訴える。
「優美ちゃん!」
「は、はい!」
「これは俺のワガママだ。優美ちゃんは、融合進化しちゃ、ダメだ」
彼女は人間として幸せに暮らして欲しい。これは、俺のワガママだが。
「そんな……」
優美ちゃんはショックを受け、落ち込む。
「ルダ様」
「ん?」
「融合進化したい」
俺は覚悟を決め、ルダ様に伝えた。
「わかったよ。だったら、広い場所を用意して欲しいね」
「でしたら、僕が用意します」
ルシファーが手を上げる。
優美ちゃんは、何か訴えようとした。
「私も――――」
そんな彼女にルピナスは優美ちゃんの肩に手を置き。
「優美、空音の願いを尊重してちょうだい」
「……」
優美ちゃんは、涙をこらえ、小さく、頷いた。