第18話『話し合い』
《視点 大魔王ジェイド》
『……』
『……』
『あの、サタン様』
俺は念話で伝える。
『何だ?』
サタン様はイライラしているのか、目つきがヤバかった。
ここで、ビビったら負けだ。俺は、一呼吸し。
『もしかして、ルシファー様を取り戻しに来ましたか?』
サタン様は少し驚き、フフと笑う。
『ほぉ、よく知っているな』
やはり、そうか。
『俺も、大魔王であるデグラスを取り戻しに来ました』
『ふむ、知っているぞ。デグラスも導きにあったと』
『本当はめでたい話なんでしょうが。デグラスがいないと、他の魔王連中が面倒を起こすと思うんで、困るんですよね』
『そうだ、ルシファーがいないと、俺も困るのだ。特に仕事だ! そう、仕事が増えてしまう!!』
どうやら、サタン様もお困りのようだ。
『デグラスはあの少年に、いたく気に入ったみたいなのです。それで、地下世界に戻る気がなくたったようなのです』
『そうだな。ルシファーも、なぜか、あの少年を気に入っている』
デグラスも、同じなんだよな。デグラスはあの大精霊である少年が、面白いとか可愛いとか、なんとか言って、気に入っているらしい。
だが、大魔王であるデグラスがいないと、いろいろと困る。
他の魔王連中が、大魔王の座をかけて、大きな戦争になるかもしれない。
そうなると、俺も大魔王として指揮をとらなくてはならいない。
『どうしますか?』
『そうだな。決闘を挑んで、勝利したら別れてもらうようにする』
『なるほど……』
確かに、決闘を挑んで勝てば取り戻す事ができる。
『そうなると、いかに相手が決闘を引き受けてくれるか、どうかですね』
『そうだな――』
《視点 八雲空音》
ジェイドという大魔王とサタンが何やら話しあいをしている。
正直、嫌な予感しかない。もうさ、帰ってくれないかな?
デグラスのおっちゃんと、ルシファーを取り戻しに来たのは、わかる。だが、デグラスもルシファーも地下世界に戻る気がないみたいなのだ。どういうわけか、2人とも俺を主として、一緒にいたい、らしい。俺を説得するんじゃなくて、あの2人とを説得するべきじゃないか?
「どうしたの、八雲くん?」
「ああ、花輪囲さん。ちょっと、いろいろあって」
「そっか、わかった。ちょっと、早いけど、当番を代わってもらいましょう」
「え、いいのかな?」
「いいの、いいの」
花輪囲さんは『スマグリ』を操作。5分後に、当番の子があらわれた。
「花輪囲さん、来たよ~」
「来ました!」
確か、高橋さんと斉藤さんである。
「ごめんね。2人とも、まだ時間はあるけど、代わってもらうね」
花輪囲さんが申し訳なさそうに、手と手をあわせる。
「うん、いいよ~」
「了解~」