第13話『大いなる進化』
だが、難が去った後。俺は唐突に睡魔に襲われた。
「主様??」
「す、すまいない。眠い」
俺は眠りに落ちた。
『――悪魔の魔力浄化中――悪魔の魔力浄化中――悪魔の魔力浄化中――』
『――天使――悪魔――堕天使――なりませんでした――大悪魔に――なりませんでした――』
『――精霊系統の進化ツリーに移行――しました――聖天魔大精霊セイントテンマ・ザ・グレートスピリットに進化しますか?――【はい】【いいえ】』
『了解――受諾します――これにより進化が始まります、安静にしていてください――』
俺は目が覚め、上半身を起こす。
「空音が、目が覚めた!!」
ウネちゃんが俺を抱きしめる。
「良かった!! このまま起きないのかと思った!!」
「ウネちゃんじゃないか、家に帰ってきたんだな」
「そうよ、馬鹿!! もう、心配したんだからね!!」
ウネちゃんは、涙を流しながら、俺を抱きしめる。
「里帰りなんてしてる場合じゃなかったわ!! 空音が大変な思いをしてるのに!!」
俺はウネちゃんが泣かせてしまった事に、罪悪感が湧き、かなり申し訳ない気持ちになった。
「いいんだよ。ウネちゃんは、いろいろと頑張ってもらっているし、里帰りしたって
いいんだよ。じゃないと、ウネちゃんに申し訳ない」
ウネちゃんは、俺から離れ。腕を組んでプンスカ怒る
「もう、空音の馬鹿! おたんこなす!」
「ごめんな」
2分後には、ルピナスやビナ、セイラ達が俺の部屋に入り、俺を抱きしめる。
「良かった!! 無事で!!」
「主様~!」
ルピナスも涙をボロボロ流しなら、俺をぎゅーっと抱きしめる。
3人のお胸が当たって、幸せです。
ビナは俺が無事だと安心したのか、俺の部屋にあるスナック菓子を取り出し、ポリポリ食べ始めた。
「俺って、どれくらい寝てたんだ?」
「3日間です」
セイラが答える。
「そっか、そんなに寝てたんだ」
3日間も寝込んだなんて、いつぐらいだ?
「良かったわ。後遺症はなさそうだし」
「そっか。それは良かった」
2人としばらく話した後。セイラがおかゆを作って持って来てくれた。
俺は腹が減っていたので、熱くても、パクパク食べられた。
空真や彩良音も、俺の部屋に入り、話す。
「良かった。無事で」
「心配したぜ、兄貴」
彩良音も空真も安心した様子だ。
心配かけたんだな、なんか申し訳ない。
俺は部屋から出て、トイレに用を足す。
それからシャワーを浴び、お風呂に入る。
居間にあるソファーでルピナス達とくつろいでいると。
イケメン男性が居間にやってきた。
「主様、体調はどうでしょうか?」
「えーっと、君は」
「ルシファーです」
灰色の髪と黒い瞳の、超絶イケメンが笑顔で言う。
「ああ、そうだった!!」
確か、サタンを強制転移させたのはルシファーだ。
何が起きたのか、思い出した。
「主様!」
「は、はい!」
「進化、おめでとうございます!」
ルシファーが笑顔で拍手する。
「進化?」
「はい、空音様は進化したのです」
「えーっと、俺、進化したのか?」
「そうです。極めて珍しいのですが、精霊系の者に進化したのです」
「俺、精霊に進化したのか?」
そういえば、夢で、アナウンスされたような。
「はい、しかも。聖天魔大精霊セイントテンマ・ザ・グレーットスピリットです! かなりすごいですよ?」
「へぇ~、そうなんだ」
なんか、すごそうだな。
「聖天魔大精霊の強さは、第1神階梯の神様と同格の存在です」
「第1神階梯って?」
俺は首をかしげる。
「漢検に1級や2級とかあるわよね? 神様のレベルにも1級、2級と存在しており、一番低いレベルが第1神階梯。数字が大きければ大きいほど、レベルの高い神様なのよ?」
ルピナスが説明する。
「なるほど」
てか、神様ぐらい強い存在に進化したって事か?
「今なら、サタンを倒せるほどの強さだと思いますよ」
ルシファーが、そんな事を言う。
マジかよ! だったら、サタンをボコボコにする事もできるのか。
「そうなのか?」
「はい」
ルシファーは頷く。
どうやら、俺は低位の神様くらいの強さを持っているらしい。
「良かったわね、空音。これなら、刺客があらわれても、対抗できるわ」
ルピナスが嬉しそうに話す。
「そうですね。わたしもそう思います」
セイラも嬉しそうだ。
「ボクも進化したいな~」
ビナはあいかわらず、スナック菓子をポリポリ食べている。
ウネちゃんは、俺の部屋で寝ている。
俺が心配で、あまり眠っていなかったらしい。
妹は、うちのお母さんと夕食の買い出しだ。
俺は思う。1000連ガチャをして良かったのか?
まあ、進化したのはいいかもしれないが。
また、サタンみたいな者が俺の命を狙いに来るだろうか?
まあ、俺は強くなったのだ。
話し合いで解決できないなら、力で返り討ちにすればいい。