第12話『サタンの自己紹介』
俺はルピナス達を説得し、外に出てもらった。
なぜなら、俺の勘だが、ルピナス達が束になっても勝てない相手であるのが、鑑定スキルを使ったので、わかった。
ここは、話し合いで解決する事に決めたのだ。
お母さんや妹は外に出かけてもらった。
これでよし。
そして、俺の居間でサタンと向き合った。
サタンはソファーに座り、俺はイスに座る。
短髪のオシャレな黒髪に赤い瞳。やはり、悪魔なのだろうか?
サタンはお茶をすすり、湯飲みを机に置く。
そして、俺を見つめる。
「……」
「……」
サタンはゴホンと咳払いし、ソファーに座り直す。
「自己紹介がまだだったな。俺の名はサタン。悪魔界全土と地獄界の一部を統治している悪魔の帝王だ。特技は365日無休で働く事だ。趣味は読書。特技はカラオケだ」
「そうですか、スゴイですね」
どんな曲を歌うんだろう? ちょっと、興味がある。
でも、そんな事、聞くのは怖い。
「……」
「……」
ああ、気まずい!! 何を話したらいいんだろう??
下手に、変な話をしたら○されそうだ。
何が正解だ??
「その、どうして、サタンさんが、ここに?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「わたしの同志である、ルシファーがいなくなってしまってな。探しに来たのだ」
「そ、そうでしたか」
ルシファーとサタンって、仲がいいんだろか?
そうだとしたら、結構、マズいよな。
「単刀直入に言う。ルシファーを解放し、別れてくれないか?」
なるほど、このサタンという悪魔は、俺がガチャでゲットしたルシファーを助けに来たんだろう。そうだとしたら、早急に返還しないとマズいな。
「……」
そうなると、さっさとルシファーを解放して別れなければならない。
「お前は彼を所持している。間違いないか?」
「は、はい!」
ここで否定したら、マズいよな。
だが、俺は、今、魔力欠乏症になっている、解放したくてもできない。
「貴様、魔力欠乏症なっているな?」
おお、気づいたか!!
「そうですね」
俺は素直に頷く。
「だったら、わたしが魔力をやろう」
そういって、ソファーから立ち上がる。
「え? いや、いいですよ!!」
こ、来ないで!!
「遠慮するな」
両肩をがしっと掴まれ。
「さあ、受け取れ」
そして、彼は俺に魔力を注ぎ始める。
「!!」
ヤバい!!
触れられ危険を感じた。だが、動けない。
「うあああああああああああ――――!!」
俺の体に、とてつもないエネルギーが流れていく。滅茶苦茶、熱いし、痛い!
ドス黒いエネルギーが体内に流れ、俺は悶絶する。
サタンは瞳をギラギラさせ、不気味な笑顔を向ける。
「どうだ、わたしの魔力の味は? 極上だろ?」
『危険! 危険! 危険! 危険! 危険――』
俺の中で、危険信号がなる。ヤバい!
マジでヤバい!!
「うあ、かはっ! うあぁ、ぐぅ――!!」
俺は吐血し、苦しく悶える。
そして、俺は床に崩れ落ちた。
持っていた、『スマグリ』も床に落ちた。
「MPは回復したはずだ、さあ、ルシファーを解放しろ」
「む、むり……ッ!!」
こんな状態で解放なんて、出来る状態じゃない。
「無理ではない。やれ」
俺の両脇を持ち上げ、無理矢理たたせられた。
「!!」
滅茶苦茶、熱いし、痛いし苦しいが、しょうがない、やるしかない。
俺はなんとか『スマグリ』を拾い、操作。
「か、解放!!」
頼む、ルシファーよ! すぐに出てきてくれ!
すると、部屋中が虹色に輝く。
虹色の光から、突然、男性があらわれた。
灰色の髪と黒い瞳。超絶イケメンである。
黒いスーツに背中には黒い羽と白い羽がはえている。
美しいオーラと禍々しオーラが混じっており、なんとも歪な雰囲気をかもしだしている。
「ルシファー、向かいに来たぞ」
サタンが笑顔で手を差し伸べる。
「……」
「ルシファー?」
サタンは首をかしげる。
どうした? そいつはルシファーじゃないのか??
すると、サタンの体に蛇をかたどった鎖が巻き付く。
「何をする、ルシファー!!」
「サタン」
ルシファーが口を開く。
「ルシファー、貴様、寝ぼけてるのか?」
「主様に危害を与えたな!!」
ルシファーは突然、怒り出した。
コラッ!! ルシファーよ、サタンを怒らせないでくれ!!
「!!」
サタンは驚く。俺も同じ反応だよ。
「僕は主様の僕だ。主様を傷をつける事は絶対に許さない!」
「ルシファー!! 貴様はこいつを主だと認めるのか!?」
「ああ、そうだよ」
ルシファーは当然のように頷く。
おいおい、ルシファーよ。それでいいのか??
俺を主として認めるのか??
「貴様、自分が何を言っているのか理解が、できているのか?」
サタンはルシファーを睨む。
「しているよ。僕はキャラ化し『お導き』されたんだ」
「八雲空音にキャラの別れをしてもらえ。そうすれば、うちに帰ろう」
「帰らない」
ルシファーは首を横にふる。
「なんだと?」
どうして、ルシファーは帰りたくないんだ?
「だから、君とはバイバイだ」
ルシファーは氷のように冷たい眼差しをサタンに向ける。
俺はゾッとした。
「!!」
サタンは何かに気づき、一瞬で無詠唱でマジックシールドを発動する。
「《悪魔ノ呪縛ⅩⅤ》《強制転移ⅩⅥ》」
「まッ――!!」
詠唱から、ものの1.5秒でサタンは消えた。
「……」
「……」
サタンも怖いが、ルシファーもヤバいな。
だが、難は一つ去った。
「……助かったのか?」
ルシファーはハッとし、すかさず、床に正座し。
「申し訳ない! 親友であるサタンが君を害した!」
そう言って、深い深い、土下座をする。
「大丈夫です!! その、土下座はしなくていいです!!」
すると、ルシファーは土下座をやめ、立ち上がる。
「主様!」
「は、はい!」
「僕を僕にしてください」
ルシファーを僕にするのは嫌です。
「僕っていうか仲間だ。ルシファー」
「仲間?」
「そうだ」
そういう関係じゃなくて、ルシファーとは仲間として迎えたい。
俺は手を差し伸べる。
ルシファーは感動したのか、とびっきりの笑顔になる。
超絶イケメンの笑顔は眩しいな。
「わかりました。主様」
ルシファーは俺と握手する。
うん、そういう関係がいいよな。