第10話『1000連ガチャの影響 その2』
《視点 ミカエル》
私はミカエル。天使長である。
緊急事態だ、ウリエルとファニールがお導きされたのである。
お導きは、神聖で素晴らしいのだが、ファニールはともかく、働き者のウリエルがいなくなったのは、かなり問題である。
私は急いで、クロノース神様のところにいった。
彼なら、どんな事でも、解決できるだろうし、アドバイスをしてくれるだろう。
ドアをノックする。
「どうぞ」という声が聞こえた。ドアを開き、中に入る。
「クロノース様!!」
「なんじゃ?」
執務室で働く、クロノース様は眼鏡を外し、顔を上げる。
「ウリエルがお導きされました」
「おお、とうとうウリエルはお導きにあったか。めでたいじゃないか」
白髪の美しい男性は笑顔で言う。
時を司る神様で、タイムスリップや転移を得意としている。
「ウリエルだけじゃありません。ファニールもです」
「ふむ? 何か問題でもあるのか?」
クロノース様は首をかしげる。
「私の仕事が増えます」
いや、本当はそこじゃない。彼が心配なのだ。
「ほほほ、そうかい。まあ、頑張れ」
ええッ! そんなのあんまりだ!
「どうしたら良いですか? アドバイスをお願いします」
私は頭を下げる。
「そうだ。ワシの部下をそちらに配属する。お主は、その間、お導きの主人であるマスターの所にいって、説得するのはどうか? 上手くやれば、キャラ化を解き、ウリエルを取り戻す事ができるやもじゃぞ?」
「それは!! いいアイディアです!!」
「だが、止めといた方がいい」
「なぜです?」
「ちょっと、そのマスターを調べた所。町田市の英雄だとわかったぞ」
「!!」
それは知っている。日本で有名な英雄の1人だ。
「魔神が復活するやもしれぬ。できれば、援助したい」
「わかりました! そうであれば、私もその英雄であるマスターに会ってみたいと思います」
「ふむ、それはいいかもな」
「助言、助力、ありがとうございます。失礼します」
《視点 ルダ》
あれ? あたし、お導きにあったのかな?
あたしはルダ。気づいたら、よくわからない空間にいた。
さっきまで、友人の魔女と話していたのに、どういう事だろう?
眼前には綺麗なお花畑が広がっていた。
「あなたも、キャラ化したのですか?」
そこにあらわれたのは、銀色の全身タイツを身につけた美少女がいた。
よく、見ると木星や、木をかたどった刺繍が施されている
「あなたは?」
「わたしの名前はジュピタルです。木星人です」
「あらら、あんたもかい。あたしは、ルダ」
「ルダさんですね」
「呼び捨てでもいいけど?」
「では、ルダで」
「そうね。じゃあ、あたしもジュピタルって呼ぶね」
うん、この子とは、仲良くなれそうね。
「てかさ、マスターって何者? 普通は宇宙人をキャラとしてゲッドするのは、困難よ」
「そうですね。あなたの言うとおりです」
格好こそ、アレだけど。この宇宙人、結構、美人ね。
「あなたも、美人ですよ」
「あら、ありがとう」
褒める事もできるなんて、良い子ね。
「マスターは、八雲空音さんらしいですよ」
「ふ~ん、聞いた事がある名前ね」
「町田市魔神襲撃事件の英雄です」
「ああ、その子ね! 知ってる! 知ってる!」
「おそらくですが、もうすぐ魔神と戦う事になるでしょう」
「封印が解けそうなのよね……」
あたしは日本を担当していないので、わからないが。封印が解けそうなのは、他の神様からも聞いている。
「あなたの力が必要です」
「そうなの? だったら、力になるべきね」
驚いた事に、あたしやジュピタルだけじゃなく、熾天使のウリエルや上位大悪魔のルシファーとかもいた。ますます、八雲空音が気になるわ。